軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

授業はどうしたのかしら?

「あは~。良く~似合って~るぞ~。3人~とも~」

本日は『月に一度のあれな日』と言う理由で寮に残っていたシュシュは、それを見てフワフワと踊る。

本人的には踊っているつもりは微塵も無いらしいが、傍から見ると踊っているようにしか見えない。

他にも女子寮に残っていた者たちがゾロゾロと出て来て……アイルローゼの弟子たちの格好を見て色々と言い合う。

「ミローテは普通過ぎて面白く無いわね」

「……」

「誰か? スカートの丈をもう少し詰めることは出来る?」

「任せて下さいアイルローゼ!」

「ひぃぃ」

魔女の声に反応し、飛び出して来た女子の手によりミローテが着ている服のスカートが短くなる。

「こうなるとソフィーアのが長く感じるわね」

「先生。もう十分に」

「ひざ丈まで短くしてみましょう」

「そんな……」

顔色を蒼くしたソフィーアのスカートも短くなる。

「フレアの場合は短くすると、ちょっとね……」

「それはどう言う意味ですか!」

可愛らしいメイドが顔を真っ赤にして怒りだす。

アイルローゼは生温かな目を弟子に向けた。

「大丈夫。今の貴女なら何があっても引く手数多よ。本当に可愛いわ」

「わたしのご主人様はあの人だけです! って、色気なんてあの人は気にしません!」

「そうね。貴女を愛してくれている人がそれで満足して居るんだから問題無いわね」

「どうしてそんな同情的な視線をっ! 周りからも哀れんだ目がっ! わたしだってもう少しすれば、色々と育って凄くなるんだからっ!」

まだ幼さの残るフレアの場合、スカートの丈を詰めても色気など出ない。胸も無い。

それでも幼さを指摘された彼女は、自分の手でスカートの裾を上げだすが……周りに居る女性陣が涙ながらにそれを制する。どんなに頑張っても越えられない壁は存在するのだ。

そう考えると壁を楽々と越えている存在が居る。

色気に関してはソフィーアが頭1つ飛び抜けているのだ。

「やはり胸かしら?」

「ソフィーア~。おっき~し~ね~」

「なら少し首元を」

「先生っ! お願いしますっ! 御慈悲を……もうこれ以上はっ!」

「ボタン1つ分くらい胸元を開いた方が良いと思う人」

見学者の全員が手を挙げたせいでソフィーアの胸を隠すシャツのボタンが1つ開けられた。ついでにまた多数決が行われ、もう1つ追加でボタンが外される。

「でも何て言うか……こんな煽情的な服を着たメイドなんて傍に置くのは変態貴族ぐらいよね?」

やらせているアイルローゼが言う通りに、ミローテとソフィーアは見た限り男性が喜びそうなほど煽情的な格好になってしまっている。

特に胸の大きなソフィーアに至っては、生足と胸の谷間を見せているから大変だ。見学者の何人かがハァハァと熱い息を発して大興奮している。この場に居るのは全員同性であるが。

「ところでミローテ?」

「何ですか先生っ!」

今にも泣き出してしまいそうなミローテの表情は恥辱で真っ赤に染まっている。

必死に短いスカートを下に引っ張り足を隠そうとしているが、ひざ丈以上までカットされたスカートは完全にミニスカ状態だ。

そんな弟子を見やり……アイルローゼは静かに口を開いた。

「どうしてこんな馬鹿なことをしているのかしら?」

「貴女がそれを言いますかっ!」

普段師に対して文句の1つも言わないミローテですらキレるほどの状態だった。

事の始まりは弟子たちが何もせずに寮の自室へと来たことに対する罰のはずだった。

普段の罰なら研究室内の掃除で済むのだが、私室の為に掃除は必要としない。

毎日暇を持て余しているリグがやって来ては、掃除をしてくれるお陰でアイルローゼの私室は常に綺麗なのだ。ただ掃除疲れを起こしたリグがベッドを独占して寝ていることが多々あるが。

代わりにどこかの掃除をと、ならば寮の大食堂の掃除をさせようと弟子たちを連れてやった来て……掃除をするならそれ相応の格好をと言うことでメイド服になった。

言い出したのはフワフワと踊るように食堂に居たシュシュのはずだ。

「色々と思い出したわ。結果としてシュシュが悪い」

「濡れ衣~だよ~」

フワフワと踊りながら、しかし早足でシュシュはその場から逃げ出した。

「まあ良いわ。格好だけでもメイドになったのだからちゃんと掃除なさい」

「先生?」

「言葉は要らない。手を動かしなさい」

「「……」」

スカートの丈を短くされた年長の2人は、必死に片手でスカートを押さえながら掃除をする。

その様子と恥じらう姿が重なって……より一層激しく興奮する見学者が多数発生した。

「フレア」

「はい」

「紅茶でも頂こうかしら?」

「はい」

唯一普通の丈のスカートを穿くフレアは軽やかな足取りで歩いて行き、紅茶を淹れたティーカップをお盆に乗せて戻って来た。

「どうぞ先生」

「ありがとう」

カップを受け取りアイルローゼは弟子を見る。

幼いが大貴族の娘である彼女は、この国の王子の許嫁でもある。

メイドを演じるよりもメイドを使う立場の彼女だが、美形なのもあってメイド服が良く似あっていた。

「胸があれなのと色気を全く感じないのが難点かしら?」

難しそうな顔をして、フレアは軽くスカートを抓むと左右に体を振った。

「似合いませんか?」

「似合ってるわよ。ただ色気は……もう少し大人になると出れば良いわね」

「本当は……リグぐらい欲しいです」

心の底からの言葉に、フレアだけではなく胸に自身の無い女性たちが自身の手を胸に当てた。

「アイル~。似合う~?」

ブルンブルンと狂暴な双丘を震わせ、メイド服に着替えたリグが駆けて来た。

全体的に露出を抑えた作りに改造され……装飾の得意な女子の努力が垣間見れる。

「アイル? 痛い……」

「どうしてこうも揺らして来るのかしらね? こんなの邪魔でしょうに。取り外しなさい」

リグの胸を掴んで外そうとするアイルローゼに少女は必死に抵抗する。

その様子を見ていたソフィーアは自身の胸を押さえてその場から逃げ出そうとして……もっとも見つかってはいけない相手に捕食された。

「きゃぁ~!」

「なになになに? なんか美味しそうなのが居るんだけど……食べて良いの?」

ソフィーアの背後から、彼女の胸を鷲掴みした髪の短い女性が全力で揉む。

ミャンだ。

同性愛者の彼女の手は決して容赦しない。服の裾から直接手をねじ込み直接揉み出すのだ。

その様子を見たミローテも弱腰になり、慌てて逃げようとして足をもつれさせて転んだ。

結果として短いスカートの中身を晒すこととなり、彼女もまたミャンに襲われる宿命を得た。

「ねえリグ」

「なに? アイル?」

「みんな授業はどうしたのかしら?」

本当に今思い出したかのようなアイルローゼの言葉に、流石のリグも嫌な汗を浮かべた。

「……先生のアイルが言っちゃいけない言葉だと思う」

「そうね」

リグを護るように背後から抱きしめ、アイルローゼは明日は真面目に授業をしようと決めた。

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