軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

……面白く無いな

「近衛の人たちとかがいきなり来て大変でしたよ~」

日報を抱えてやって来たルッテがそんなことを言っている。

ノイエ小隊の待機所は現在開店休業中で、待機所の最終工事が行われている最中だ。

ぶっちゃけ人が待機しているのは工事の職人さんたちの護衛と言う建前で、その実鍛練や酒飲み等で時間を潰しているのだ。

普段あっちは夜間無人なので今の時期は無人でも良いぐらいなのだ。

貴重品はノイエの鎧ぐらいしか置いていない。あれを盗み出す剛の者が出て来ないのが不思議だが、この国におけるノイエは恐怖の象徴なので誰も手を出さないらしい。

何よりあれほどプラチナを使った一品は持ち出しても売る場所がない。

細かく砕いても一度加工した物はプレートに再加工できないらしいので売り物にはならない。使用済みのプラチナは地面に埋めて大地に返すのがこの世界の習わしだとか。

とても高価だけどリサイクルできないのがノイエのプラチナの鎧なのです。

で、それ以外に置いてある物は各員のちょっとした私物ぐらいで、重要な書類は全て僕の執務室にある。

お蔭で監査に行った人たちは空振りしまくって終わった様子だ。

「『なんでこんなにお菓子があるんだ?』とか失礼ですよね。わたしの大切な仕事道具なのに」

「お菓子は仕事道具に含まれません」

「……どうしてですかっ!」

半分休みなのもあって私服姿の彼女が吠えた。

プルンプルンと胸が揺れて……それを見ていたチビ姫がガクッと崩れ落ちている。

頑張れ君はまだ育つ可能性が残っている。あっちでまだダウンしているクレアは望み薄だけど。

「経費で落ちないからね」

「サラリと一番痛い所を言わないで下さいっ!」

干し肉とかなら経費で落ちるんだけど、ルッテのお菓子は経費で落ちずに自腹を切っている。

毎月結構な金額がお菓子代に消えるが、最近は僕のお店で買っているので特別に割引してあげているし、新作などの試作品を食べさせて評価をして貰っている。

ただそこで得ている糖分が全て胸に集まってているのか……だからうちのチビ共が狂ったようにケーキを食べてているのかもしれないな。

「で、家探しして終わったって感じ?」

「ですね。で、アルグスタ様?」

「ほい?」

「今回は何したんですか? みんなの賭けだと『ノイエ様の悪口を言われた』が一番人気でしたよ?」

「失礼な。今回は僕じゃなくてフレアさんです」

「先輩ですか?」

首を傾げるルッテは何も知らないのだろう。ある意味幸せで良いな。

「うん。ちこっと殺人と逃亡の容疑で追われてるだけ」

「何だ。そんなことですか……はい?」

カクンとルッテの首が傾いた。

やはり耳から入った言葉が理解できていない様子だ。

しばらく様子見で放置していたら……ガクガクとルッテが震えだした。

「どどどどどうしますか? アルグスタ様? 大変です。大変ですよ。大変ですよね? つまりこれってあれがこうしてそれしてこうなってどうなってどうしたらこうなってああしてそうして……はうっ!」

呼吸困難から卒倒した。崩れ落ちて胸をクッションにして完全にダウンだ。

まあ仕方ない。気持ちは分かるがメイド長は情報収集に出てて帰っていない。

「ノイエ」

「はい」

「ルッテをソファーに捨てておいて」

「はい」

ひょいと持ち上げてルッテを空いているソファーに投げる。

その衝撃でルッテが目覚めたが、何故かまた気絶したのでスルーしておく。

「さてと。問題が山積して来たな」

呟いてゆっくりと部屋の中を見渡す。

一応これで現在の対ドラゴン遊撃隊のメンバーが……揃っていないな。

なんか足りない。ああ。ミシュとモミジさんが居ないのか。

「ミシュはまだ新領地?」

「そうだと思います」

看病する相手が増えてイネル君がおしぼりを手にクルクルと回っている。

って別にメイドさんを呼んでやらせれば良いのにと今更ながらに思う訳です。

「モミジさんは?」

「さあ? あの人はアルグスタ様の担当なので」

「あんな変態少女を預けるな。そろそろ国に返品しようか真剣に悩んでいるのだ」

「そうですか」

スルーしてあげるなイネル君。流石にちょっと陰口が過ぎるな。

それにしてもあの変態少女はどうした? 温泉から帰って来て一度も会っていないような?

「まさか……変態をこじらせて?」

自室でとんでもない変態プレイを自主練しているとかか? その場合本格的に返品を考えよう。

それはさておき……そろそろ現実逃避もこれぐらいにしておこう。

椅子に座り直して真面目に考えこむ。

トコトコと走って来たノイエが僕の膝の上に座ったのはいつものことなので気にしない。ある意味これで集中できる。

フレアさんが人を殺す……過去そんなことをしたとか言う話は聞いたことがあるが、過去のユニバンスは結構酷かったらしいから仕方ないと思う。

それにこの体だって実際何をしていたか分からない。

今の僕だって間接的に人を殺しているかもしれない。敵対した貴族たちに厳しい対応をして家を取り潰された者たちだっている。その人たちがどんな人生を歩んだのかまで僕は知らない。

直接手を下していないだけである意味もっと始末に負えない手段を使っているとも言える。

まあそれは良い。たらればの話をしても結論なんて出ない。

人殺しの話はひとまず避けておいて、話を元に戻そう。

フレアさんが人を殺して逃亡する。で、何の為に? 意味が無いな。そんなことをして逃亡する理由が思いつかない。だったら何かしらに巻き込まれたと考えた方がしっくり来る。

ただどうしてフレアさんを攫う? ……まさかね?

馬鹿兄貴に対して使うとか言う理由だったら面白く無いな。

「……面白く無いな」

「……はい」

「とりあえずで頷くのは止めなさい」

「はい」

素直に頷いたノイエの頭を撫でて、僕はちょこっとだけ頬を膨らました。

今回はノイエのことではないんだけど……やはり面白くは無い。

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