軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

絶対に気づいてるよね?

国王夫妻との話し合いを終えて僕らは屋敷に戻った。

大変有意義な話し合いになったと思う。

何故なら僕とチビ姫は蚊帳の外で、陛下とホリーが数字を並べた壮絶な言い争いをしていたからだ。あんなに数字が出ると僕の頭では処理しきれない。途中で開き直ってポーラにケーキを頼んでお茶を楽しんだ。チビ姫とポーラも巻き込んでのんびり3人でティータイムだ。

一応陛下とホリーにもケーキを提供したが、2人の会話は止まらない。

鎮魂祭の予算から何から全ての数字における一桁の位に至るまで詰めに詰めまくって……途中から鎮魂祭と関係のない話をしていた気がする。『今期の税収を……』とか陛下が言っていた。

鎮魂祭で税収が関係するのか? 謎である。

日が傾きだし沈む方向に頑張り出した頃、ようやく2人の会話が終わった。

陛下はまだ続けていたい様子だったがお付きの人たちが無理矢理次の仕事に引っ張って行った感じだな。あれ以上色々と何かが決まるのを阻止したいという風にも見えた。

で、話し合いを終えたホリーはマナーなんてどこ吹く風で、ケーキを手掴みで頬張った。

慌ててポーラがタオルを持って来ていたが、『久しぶりにいっぱい頭を使ったらお腹が空いたわ』とか言って頬張り続けた。

後始末は王妃と言うらしいチビ姫が居たので丸投げした。

『おにーちゃんは、裏切者です~』と言う新種の挨拶を寄こし快諾してくれたのは流石チビ姫だ。

決して強制ではない。ただ我が家を敵に回せば王国1のケーキが食べられなくなる不思議仕様なだけで。

あとは帰宅だ。

ノイエがまだ仕事をしている様子だったので、馬車に乗って急いで帰宅した。急いだ理由は、ホリーの帰還時刻の都合だ。せめてお風呂に入ってから帰って欲しいと思ったのだ。

入浴を済ませノイエを待ちながら寝室でのんびりする。

ブチブチと止まらないホリーの愚痴を延々と聞く羽目にはなったけど。

と言うか過去の話は勘弁して欲しい。

ノイエがどれほど可愛かったのかを知れて少し嬉しかったけどね。

「あ~。いっぱい吐き出した」

「それは良かった」

「ええ」

僕の横で街娘姿に戻ったホリーが寄りかかって来る。

こうしているとホリーは本当に可愛らしい。何度でも言おう。こうしているとホリーは可愛いのだ。

「ノイエ遅いな」

ただ今日のノイエはのんびりさんだ。まだ帰宅している雰囲気も無い。

ノイエが帰宅すると何となく分かる。まず我が家のお風呂場でノイエが伸び伸びと入浴する。次いで食堂で大戦争が勃発するからだ。あとはそれらの全てを忘れて寝室に来る。

今夜は現在の時点でまだ静かだ。

「あの子は優しい子だから私が帰るまで時間を作ってくれているのよ」

「かもね~」

確かにノイエならあり得る。

こちらの様子を伺いつつ、のんびりと歩きながら帰宅するノイエの様子が容易に想像できた。

「あっという間に時間が過ぎるわね」

「そうだね」

昨夜は……ホリーが出てきてやっぱり肉食で、その後お店に行ってコリーと会って、お城で仕事をして帰宅した。

はて? 僕とホリーはいつ寝たのだろうか? 気づけば徹夜が普通な感じになっている。

「でもアルグちゃんといっぱい話が出来たし」

「そうだね」

最後に延々と愚痴を聞かされた。でもこれでホリーが落ち着くなら安い物だ。

「だからアルグちゃん」

「ん? むぐっ」

抱き着いていたホリーが動き僕にキスをしてくる。

大丈夫。ただのキスだ。これ以上は……あれ? 自然な動きでホリーが僕のお腹を跨いでいるよ?

「最後にいっぱいキスさせて」

「……」

こちらの返事を聞かずにホリーが止まることのないキスを。

まあキスなら良いか。キスなら……あれ? とても自然な動きでズボンが脱がされているよ?

「ちょっとホリー?」

「……何かしら?」

唇を唾液で濡らしたホリーが凄くエロイ。

「どうしてズボンを脱がすのかな?」

「……」

『何のこと?』と言いたげに彼女は後ろを振り返り、そして顔を戻した。

「アルグちゃんが脱いだの?」

「ホリーが脱がしたの」

「そんな訳ない! だって私はアルグちゃんとの別れのキスに集中していたのだから!」

それもどうかと思うけど、ホリーが必死にそう言ってくるので信じよう。

きっと事故だ。今までの経験が彼女を自然と動かしたのだろう。だって彼女は本日たくさん愚痴を吐き出して……あれ? 気づけばホリーの手が僕の下着を?

「ホリーさん?」

「何かしら?」

「絶対に気づいてるよね?」

ジッと彼女の顔を見つめたら、何故かポッと頬を赤くした。

「だって……聞いてアルグちゃん」

「何でしょうか?」

「今日の私はいっぱい吐き出したの」

確かに愚痴とか不満とかいっぱい僕に吐いていたね。

「それで気づいたね」

「何に?」

「吐き出した分……補充が必要だって」

「つまりそれで?」

「ええ」

柔らかくホリーが笑う。

「アルグちゃんの愛情で私を満たして~!」

「やっぱりか! やっぱりなのか! 詐欺だ~!」

全力で叫んだけれど意味は無し。気づけばいつも通り普段通り……

「ただいま」

フルッとアホ毛を揺らして部屋の中を覗き込んだノイエが軽い足取りでベッドに来た。

「お姉ちゃんは?」

キョロキョロと辺りを見渡し、彼女はベッドの上に飛んで着地する。

もう一度辺りを確認して……ホリーが居ないことに納得した様子だ。宝玉はもうベッドサイドのクッションの上に鎮座されている。

リスがやって来てその場所に置くと出て行った。あれもあれで結構謎だ。

「アルグ様」

「……なに?」

「楽しい?」

「楽しくない」

うつ伏せでシーツに突っ伏している僕の何をどう見たら楽しそうに見えるのだろう?

けれどこれは仕方ないのだよ。ホリーの詐欺に遭って可哀そうな僕は彼女に襲われたのだ。

回数が2回だったのは少しぐらい自制を思い出してくれたのか、暗黒面から抜け出して底なしを忘れてくれたのか……どっちにしろ徹夜明けで2回とか普通に死ぬ。

そっとノイエが手を貸してくれて僕は枕を背に横になった。

あれ? これは……大変に宜しくない状況なのでは? まな板の鯉と化している僕を前にあのノイエが何もしないとかあり得ないよね? 続くの? このまま終わることのない何かが始まるの?

「あの~ノイエさん」

「なに?」

天蓋を見ていた僕の視界いっぱいにノイエの顔が映り込む。そのままゼロ距離になってノイエがキスして来た。

「寝る」

「はい?」

コロンと横になってノイエが眠ろうとする。

何があった? 餌を前にしたノイエが襲い掛からないだと?

「ノイエ」

「はい」

「寝るの?」

「……する?」

ムクッと上半身を起こしてノイエが僕の顔をまた覗き込んできた。

「今日はもう寝たいかな?」

「はい」

クルンとアホ毛を回してノイエがまたキスして来る。

「お休みなさい」

「はい」

また横になって……何故かノイエが抱き着いて来た。

ただ抱き着く腕と言うか位置が面白くないのか、何度も体勢を変えてベストポジションを探す。

これはこれで寝られない。

ノイエの柔らかな体がずっと押し付けられるのだ。寝られるわけがない。

「分かった」

「はい?」

「こう」

「……」

何かに気づいたノイエが僕の頭を抱える。

目の前にはスケスケな生地越しに見える彼女の白い胸が!

「……吸う?」

お嫁さんが新しい誘惑を覚えたのか、物凄い攻勢をかけて来るんですけど!

「寝よう。疲れた」

「はい」

あっさりと引き下がってくれたノイエが僕の頭に手を伸ばし、後頭部や背中を撫でたりポンポンと叩いてくれる。

母親にあやされているような感じで凄くリラックスする。疲労もピークだし……耐えられるわけがない。

突然その日からノイエの肉食が少し治まった。原因は謎だ。

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