軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

聖騎士団到着

「ここが今、我々のいるところで、こちらが隣国の王城です。そして現地の教会がここです」

なるほど。

隣国も、教会と王城はそれほど離れていないんだな。

ハートさんと団長が地図を見ながら警備兵と話し始めた。

「ここから隣国の王城までどのくらいかかる?」

「はっ。馬で休まず山間部を抜けて約一日、強行すれば半日と一刻くらいかと」

この距離を半日と一刻は流石にな。

馬にかなりの無茶をさせることになるから、もう少し余裕を見た方が……。

「すべての馬に疲労回復薬を頼む。少し時間に余裕を持ってここを発つ」

「はっ!」

ハートさんと同じことを考えていた様でクスッとする。

その場にいた聖騎士が数人さっと部屋を出て行った。

それにしても、お爺様が第一聖騎士団を除いた全戦力をこちらに向けた上に “神の託宣” まで発行するとは思わなかったよ。

「テッド、これを持っとけ」

教会用の手紙を飛ばす綿毛の魔道具をいくつか渡される。

あの会議の後「何かあった時の為に持っていなさい」とガインさんとハートさんに、司教様が渡していた魔道具だ。

そうだった。もう私達は教会所属なのか。

「ハートさん。もし王城にマリーがいると厄介ですね」

「ああ。最悪の場合、城を落とすぐらいの戦力で行く必要が出てくるな」

ハートさんもやっぱりそれを危惧していた。

抗争になればマリーの身が危ないな。

夜襲でどうにかするにも王城内部に協力者が必要だ。

「神の託宣で全面降伏してくれると助かるのですが……」

そんな希望を口にしてみても気休めにもならないか。

「敵はマリーを 攫(さら) った時点で後がないからな」

「何をするかなんて、それこそ神のみぞ知る……ですね」

ハートさんが苦笑いで頷く。

「ハート様。仮に王城に聖女様がいた場合は夜半に突入、または教会の潜入班に聖女様を救出させ合流って言うのが現実的ですかね?」

団長が地図を 睨(にら) んでそう言った。

「そうだな。全面抗争になったら “神の託宣” を盾に全聖騎士団を王城に突入させて落とすしかないな。なんにせよ、第五の隠密部隊を潜り込ませて先にマリーを保護させなければ何も出来ない」

ハートさんが団長さんと目を合わせて頷いている。

カギは第五の隠密部隊か……。

マリーと連絡が付けば、マリーに暴れて貰うのも手なのか?

いや、死人が出ると聖女の評判に関わるのか。面倒だな。

「王城じゃ無ければいいですね」

私の一言に二人は笑って頷いた。

当たり前だよな。

「警備兵。他の聖騎士達が到着したら待機する場所はあるか?」

「この先に開けた土地があり、そこでキャンプが張れるようになっております」

「よし! そこに聖騎士達が到着したら案内してくれ」

「はい」

ハートさんの声にきびきびと警備兵が動く中、私は地図を見てマリーが他にいそうな所に石を置いて行く。

「どうした?」

「いや、王城では無く別の場所なら、マリーを幽閉するのにどこが最適かと……」

「国境警備を動かせるほどの人物となるとこの近隣の領主か王族。金持ちの大商人もありえるのか」

ハートさんがどんどん石を置いて行く。

「商人や領主なら楽ですね。第五の隠密部隊だけで落とせますし。やっぱり一番厄介なのが王族がらみですね」

地図を 睨(にら) んで 唸(うな) っていると、ハートさんが私の隣に来て「少し力を抜け」と肩を叩いた。

そんなに力み過ぎてたかな。

「ハート様。隣国の教会から手紙が届きました」

ハートさんは手紙を受け取ると、黙って読んで眉を 顰(ひそ) める。

マリーに何かあったのか?

私はハートさんに『早く言え』と殺気を向けると笑われた。

「フフ。すまん。団長! ちょっと来てくれ」

ハートさんが聖騎士と話をしている団長を呼び寄せる。

「どうしました?」

「隣国の教会から手紙が来た。マリーは無事だ」

「無事か!」「良かった!」

団長も私も思わず声を上げた。

「だが、厄介な事に隣国の王城にいるらしい」

王城?

「まさか王族がマリーを?」

「そうらしい。第一王子が黒幕だそうだ」

第一王子が……。

ヘンゼッタ王国は教会に 盾突(たてつ) く気なのか?

「全面抗争になりそうですね」

団長がそう言うとハートさんが首を振る。

「いや、第一王子の暴走らしい。それと、第二王子の全面協力が得られた。これは願ってもない内部協力者だな」

第一王子が黒幕で、第二王子の全面協力……。

「では作戦は先ほど言ったとおりに?」

「フフ。向こうも全く同じ作戦を立てていたようだ。俺達は夜半に王城に行く。抗争を避ける為、城の外で隣国の第二王子がマリーを引き渡してくれる」

「それは有難い。まさか第二王子 自(みずか) ら動いてくれるとは」

「ああ、城内で自国の王子に盾突く奴はいないだろ」

なるほど。隣国の教会の筋書きには感心するな。

第二王子を救出の立役者にして、国の裏切りではなく第一王子個人の暴走にしたのか。

「テッド、すぐに返事を書いて、こちらの作戦を伝えろ」

「はい」

マリーの無事が聞けて良かった。

それだけでも疲れが吹き飛ぶよ!

「ハート様。第三、第四、第五の聖騎士団が続々と到着して、キャンプを張っております」

「そうか。各団長に伝えてくれ。夜半に隣国の王城を取り囲む。昼過ぎに出発の準備を始める様にと」

さてと、隣国の教会に手紙を書かなくては。

こんな話だったよな、少し大げさでいいか。

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作戦通り夜半にマリーを引き渡して貰いに行く。

念の為、そちらの全聖騎士団には王城を取り囲んで欲しい。

全面抗争になったら “神の託宣” を盾に全聖騎士団を王城に突入させて城を落とすつもりだ。

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これで準備は整った。