軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二聖騎士団と合流

国境警備隊の待機所に到着した第二聖騎士団達が、ぞろぞろと会議室を埋めていく。

「ハート様、これはどういうことですか?」

事情を知らない聖騎士団長が、敵に戦闘体制のままの包囲されている事に困惑している。

更に我々が待機所に足止めされている事にも戸惑っているようだ。

「賊は国境を越えた」

「国境を越えた?」

ざわざわと聖騎士達が騒がしくなる。

想像以上の事態が起きている事を理解したんだろう。

しばらくの間どよめいていたが、聖騎士団長が彼らを手で制すと次第に静かになっていった。

ハートさんはそれをじっと待ってから落ち着いた声を出す。

「その件は既に教皇様に手紙を飛ばしてある。そっちの持っている情報をくれ」

「聖女様はハート様が追っていた賊に連れ去られました。国境を越えたとなると……」

「マリーも国境を越えたという事か……」

ハートさんが悔しそうに唇を噛んだ。

「はい。そして、研究所には毒を受けた聖女様の妹君が倒れていました」

ハートさんが珍しく感情を表に出して驚いている。

「リリーがか?」

「はい。始めはガイン様も聖女様が倒れていると見間違えましたが、応急処置が間に合い落ち着くと、これは妹君だとシド様が……」

「ガインさんが見間違え?」

ハートさんも私と同じ疑問を呟き、怪訝な顔をした。

そんな馬鹿な。

「ええ。『見事に化けた』とガイン様がおっしゃっていました」

あの薄汚い女が?

にわかには信じがたいが、ガインさんが言うならそうなのだろう。

ハートさんも納得は出来ないようだが事実は受け入れたようだった。

「マリーについていた護衛はどうした?」

「一命は取り留めましたので、聖女様が開発していた強力な回復薬をシド様が……。あれですっかり」

ああ、あれか。第三騎士団で治験していた。

まだ試作段階で、喉が焼け付くような 痺(しび) れがあるんだよな。

団長もハートさんも私もあれを想像して苦い顔になる。

「他には?」

「いえ、すぐにハート様達の後を追いかけたので、これ以上の情報はありません」

団長はビシッと背筋を伸ばす。

「ご苦労。今は教会からの指示待ちだ。それまで聖騎士達に休憩させろ」

「はっ」

私は急いで警備兵に軽食や水差しなどを用意させ、聖騎士達に出すよう指示する。

「こちらをお使いください」

警備兵達が両手で沢山のケットを運んできてくれた。

それを聖騎士達がそれぞれに受け取り、待機所のテーブルは聖騎士達により一か所に集められる。

「お前達、これから長丁場だ! しっかり休め!」

「「「「「はっ!」」」」

団長がそう言うと聖騎士達はそれぞれ分かれて眠りについた。

「テッド。お前も食事が済んだら出来るだけ休んどけよ」

「はい」

ハートさんが私に軽食をいくつか乗せた皿を手渡して、自分も軽くつまみだす。

「まさかマリーの妹が関与しているとは……」

「顔が同じならどこでも入り放題だ。警備なんて何の役にも立たなかっただろうな」

そうか。

あの薄汚い女でも、どこでも開くマスターキーにはなれるのか。

「成人した聖女の身内の大きな犯罪は今まで無かったんですよね。今回はどうなるのですかね?」

「さあな。マリーがどう望むのか。マリーに処分を選択させるのも酷な話だがな」

小さな犯罪が無かった訳ではないが、犯罪歴を残す事は無かったはずだ。犯罪歴が残れば戦闘能力のない女が一人で生きて行ける訳が無い。逆に処刑してやる方が慈悲なのか?

「余計な事を考えていないでさっさと寝ろ」

ハートさんにケットを投げられ、私はそれをかぶって目を瞑る。

疲れた……。

けたたましい足音で目を覚ますと警備兵が手紙を持って会議室に入って来た。

なんだよ、もう。いい加減、寝かせてくれよ。

頭がくらくらする。

「ハート様。教皇様からです」

はっきりしない頭でノロノロと立ち上がり、ハートさんの表情を読み取ろうとじっと見る。

ハートさんは手紙に目を通すと、付いていた書状をしばらく眺めて固まっていた。

いったい何が……。

「全員立て!」

ハートさんの声に一斉にガシャンと音を立て聖騎士、警備兵が整列する。

私も慌てて横に並ぶ。

「教皇様からの命だ。よく聞け!」

「はっ!」

「第二聖騎士団はこの俺の指揮下に入れ」

「はっ!」

「第三から第五までの聖騎士がまもなく到着する。その者達のフォローと情報交換を頼む」

「はっ!」

「それと……。“神の託宣” が俺に発行された。これから作戦を練る。地図を出せ!」

「はっ!」

神の託宣が?

“神の託宣” と言う言葉に全員が息を飲む。

一瞬間をおいて、聖騎士達が一斉に動き出した。

警備兵達もあわてて地図を大きなテーブルの上に広げる。

そこに警備兵が、いくつかの石を置いた。