軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ガインの回想 前半

「みなさん勢揃いで送ってくれなくても良いのですよ?」

「ついでだよ。教会から『全員で』って呼ばれてんだ。たまにはいいだろ?」

マリーが嬉しそうに頷く。

「護衛に囲まれちゃって、私って贅沢ですよねー」

今日のマリーは特に機嫌が良かった。

くるくる回ってスキップしながら、楽しそうに笑っている。

「うふふ。制服がとーってもよくお似合いですよ!」

前を歩くマリーは、追いかけるテッドを 揶揄(からか) っていた。

俺達は聖女巡礼の時に渡された聖騎士と色違いの灰色の制服を着ている。

特に指定された訳ではないが、あれ以来、教会に行く時には制服を着るのが当たり前になっていた。

裏庭が見えてくると、渡り廊下の先で体の大きな聖騎士が直立不動の姿勢で立っている。

今からあれで大丈夫か?

フェルネットがボソッと「今からあれで大丈夫かな?」と呟いた。

思考が似て来て嫌になる。

「じゃ、ニール。マリーを頼むな」

「はい! 聖女様の護衛はお任せください!」

いつものハートの代わりに、今日は聖騎士が護衛に入る事になっていた。

「ニールさん、中でくつろいでくださいよ」

「いえ、私はここで」

気合が入りまくった若い聖騎士は、ドアの外に椅子を運ぶとどっかり座って腕を組む。

マリーが助けを求める様に俺を見た。

「ははは。本人があれで良いって言ってんだ。ほっとけ」

やる気に満ち溢れるのもいいが、あれじゃ疲れてバテそうだな。

「ニール。あんまり 気張(きば) ってへたばるなよ」

「はっ!」

俺達は聖騎士に後を任せ、マリーの研究室から長い長い渡り廊下を渡った先の会議室に向う。

いつものように雑談しながら気楽な気持ちで会議室に入ると、何か異様な雰囲気だ。

みんなが怪訝な顔で俺を見るから『何も知らない』と首を振った。

モーラス司教が前に出ると神官達に目配せをする。

「実は君達を呼び出したのは、教会から提案があってね」

神官達に案内されて会議室の大きなテーブルに座ると、俺達は資料をそれぞれに渡される。

よく見ると、既に席に着いている他の教会上層部の者はみんなその用紙を手にしていた。

早く見ろと言わんばかりの圧力に、俺達はとりあえず急いで資料を 捲(めく) る。

「今後の聖女派遣の方針?」

パラパラとざっくり資料に目を通したフェルネットが首を 傾(かし) げた。

「はい。現在の教会から冒険者ギルドに依頼するやり方を、 安(・) 全(・) 面(・) を考慮して見直したいと思っています」

モーラス司教がそう言うと、上層部の者達も 揃(そろ) って 頷(うなず) く。

「では、従来通り聖騎士と白神官だけでマリーを守ると?」

「いえいえ。そうではありません」

モーラス司教は慌ててそれを否定した。

「代わりに聖女様専用の警護隊を作ろうというご提案なのです」

「「「聖女様専用の警護隊?」」」

俺達は一斉に声を上げる。

「はい。今着用されている制服を、そのまま聖女様専用の警護隊の制服として採用し、皆様方にはその任に就いて頂きたいと教会は考えております」

そう言うとモーラス司教は大きな紙を白神官に持たせて俺達の前で広げさせた。

そこには教皇様を頂点に指揮系統が書かれている。

俺達はモーラス司教の下、全聖騎士団の団長より上の位置づけだ。

「こうする事で依頼が、教会からギルド、ギルドからガインさん達へ。また、聖騎士の要請は、ガインさんからギルド、ギルドから教会、教会から聖騎士と。この遠回りが解消され、伝達ミスの減少、時間短縮にも繋がるはずです」

改めてそう言われると、確かに複雑だったな。

「その為にガインさん達には教会に所属して頂きたいと、我々は思っております」

なるほど。それがメインの話か。

ハートもフェルネットもテッドも話が見えたようで納得した顔をしている。

「すぐに返事が出来る事ではないと思います。よく考えてお返事を頂きたい」

「ガインさん。俺は異存ありません」「僕も」「私もです」

三人は一斉に立ち上がると、まっすぐに俺を見てそう言った。

即答か。

俺は苦笑いをしながら頭を掻いて立ち上がる。

「よろしく願いします」

俺が手を出すと、モーラス司教が「こちらこそ」と俺の手と取り、その場にいた上層部の者達が笑顔で集まり手を取り合った。

「手続きはこちらでします。今後は聖女様がいる場所すべてが、あなた達の居場所です」

----------

「その後、俺達はマリーにこの事を早く伝えたくて、急いで会議室を出たんだ」