軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

27話.クレハとの邂逅③

「消えよ」

「「「「「ギャァァァァッ!!」」」」」

「「「……」」」

強すぎて、リーシャさんや紅葉さんの出番がない。

当然だけど、俺の指示すら必要がない。

「退屈だな、少し話をしながら進むか。何か話題を振れ玲央」

また無茶ぶりを!?

「え、えっと……クレハさんの体を創るって言うのかな? それって錬金術なのかな?」

「ふむ、良い質問だな。だが、根底が違うな」

「根底?」

「うむ、錬金術は基本等価交換である事は知っているな?」

それは聞いた事がある。

ゲームでも素材の価値が低いと目的の物は決して出来上がらなかったから。

鉄系でミスリル系を作る事は出来ないのだ。

「例えば、指定を重さにした場合だ。水と砂の量が同じ場合、等価交換は成ると思うか嬢ちゃん」

「あ、はい。市場的にはありえませんが……」

「ククッ……そうだな。水の価値は、場所によって変わろう。砂漠での水が、常時安定した状況での水と同じ価値ではないように。だが、錬金術に俗世の価値など関係がない」

成程……それで金を創るとか夢見て錬金術師に成る人が多かったんだな。

実際金を作るにはかなりのレベルが必要になるので、この世界の人達は作れるようになる前に大抵が挫折すると聞いている。

「そして目的の物を作る為に、それを導く物……料理のレシピとでも言おうか。その材料で作れる物がある。それもまた錬金術だ。玲央や嬢ちゃん達の持つ『魔法のカバン』もその一種だな」

リーシャさんもどこから剣を出したのかと思っていたけれど、形の違う『魔法のカバン』を持っていたからか!

見かけがアクセサリーのように小さいし、あれならバッグと思われないよね。

特注品だろうな。

「今回創るのはその亜種でな。『アストラルボディ』という器を創る為に必要な素材を集める。この素材はちょっと特殊でな。そのダンジョンのボスを倒し、手に取ってから一日で消えてしまうのだ。これには『魔法のカバン』の時間停止も効果が及ばぬ」

成程。それで今回、マカロンが直接来ると言ったのか。

すぐに取り掛かれるように。

「「「「「ギャァァァァッ!!」」」」」

しかし、話しながらだと言うのに、マカロンの魔法が容赦ない。

出てきたモンスターが一瞬でチリになる。

このダンジョンのモンスターは大型の動物系が多く、耐久型とも言えるのだけど。

「これが、『魔王』の力……」

「仮に今戦えば、勝てそうですかリーシャさん……」

「……多分、いえ……絶対に負けるわね」

「そう、ですか……」

後ろを歩く二人の会話が聞こえてくる。

マカロンは気にした様子はなく、先へと歩いていく。

ゲームの素材の中に、これ何の為に使うんだろう?

というような、ネタ素材が数多くあった。

恐らく今回の素材も、その中の物だと思う。

俺は『アストラルボディ』なんて錬成物を聞いた事がない為だ。

「さて、この先か」

何の苦労もなく、ボス部屋の扉前へとたどり着いた。

なんなら味方に最強のボスが居るんですけどね。

マカロンが扉を魔法で吹き飛ばし、中へと入る。

「グハハハハハ! よく来たな下等生物共よ! この大悪魔、ダンタリオン様の餌となるがよい! ハハハ……!」

「おお、ダンタリオン公爵か。久しいな」

「ハハ……ゑ?」

「この私が出向いてやったというのに、頭が高いとは思わんか?」

「に、ニグルメウム様ぁぁぁぁ!?」

おお、凄い。

ボス部屋に居た、大きな黒い翼を生やした悪魔が、平伏した。

なんだこの異様な光景。

「この場でのお前は確か幻覚の存在だったな?」

「は、はい! そうでございます!」

「お前を倒したら落とす素材が欲しいのだが」

「畏まりました! ニグルメウム様のお手を煩わせる事はありません! 今自決しますので、お受け取り下さいませっ! では、これにて! ゴフッ!」

そうして、地面に倒れた悪魔は、アイテムに変わる。

それを手にしたマカロンは、

「では次に行くか」

と簡単に言うのだった。

「ねぇ玲央君、私達要るかしら……?」

「私達の方こそ、部屋で待っていれば良かったかもしれませんね……」

おおう、二人が自信喪失してしまっている!?

こんな時こそ、俺がフォローしなければ!

「その、俺は二人が一緒に来てくれて安心だなぁ! 二人が居てくれるから、頼もしいなぁ!」

「玲央君……」

「玲央さん……」

うぅ、急だったからとはいえ、もっとマシな事言えないのか俺は……!

とはいえ、二人の表情が幾分か明るくなったので、良しとしよう。

「ククッ……モテモテだなご主人様」

「「ご主人様!?」」

「おっと、つい猫の時の言葉が、すまぬ」

それ絶対わざとですよねぇ!?

その後数ヵ所ダンジョンを攻略し(マカロン無双)、無事に素材を集め終えたので、再度俺の部屋へと集まった。

「これで完成だ。後はクレハの魂を移せば良い」

「ようやく……クレハが出て行ってくれるのですね……」

おお、紅葉さんが涙を。そうだよね、クレハさんがこれで本当の自分として生きられるんだ、嬉しくないはずがないよね。

「やっと……夜静かに眠れます……」

「紅葉……」

なんか別の意味で涙したように感じるけど、きっと気のせいだ。

「少しの間は体調に異変を感じる事もあるだろうが、時間で回復するだろう」

「分かりました。では、お願いします」

「ああ。じっとしていろよ嬢ちゃん」

マカロンが手を前に出すと、巨大な魔法陣が部屋全体を包むように召喚される。

その中心にクレハさんの体になる『アストラルボディ』が移動した。

「ぅ……ぐぅぅ……」

そして、紅葉さんの心臓から、青い光の球が出てくる。

これが、クレハさんの魂なのだろうか?

その光は、ゆっくりと『アストラルボディ』に入っていった。

まばゆい光と共に、『アストラルボディ』が変形していく。

「これで終わりだ」

そうマカロンが言ったかと思うと、目を開けられないほどの凄まじい光が発生し、輝いた。

「ウチの、体……ウチ、生き返れたんですね魔王様☆」

「うむ。よく帰ってきたクレハ」

目の前には、ピンク色の髪をした……サキュバスのような少女が立っていた。

色々と刺激が強い恰好をしている。

大事なところはちゃんと黒い衣装が隠しているのだけど……露出度が極めて高い。

『ブレイブファンタジー』はエロゲではないので、そういうシーンはないのだけど……そんなシーンを連想してしまいそうな見た目である。

「魔王様☆ ウチ、もう一度魔王様に生涯を捧げますから☆」

「そうか。お前はもう知っているだろうが、今の私はこの大陸に興味は無い。お前が侵略したいのならば止めはせんが……」

「いいえ☆ ウチ、この大陸の本に興味津々です☆ 紅葉、ウチも紅葉の家に住んで良い?」

「え、ええ!?」

「見た目もほら、この触覚隠せば人間じゃない☆」

お、おお。確かに今のクレハさんは、単なる痴女にしか見えない。

「ふむ……この大陸の者から身の危険に晒されるような時以外は、力を使わぬのなら……好きにするが良いクレハ」

「畏まり☆ 魔王様の命があれば別ですけど、それ以外は自由にさせてもらいます☆」

「はぁ……分かりました。御爺様に相談……するには、この事を話さないといけないのですが、良いんですかマカロンさん」

「構わぬ。あの小僧とは少し話をしたい事もあった」

「こ……わ、分かりました。少しお待ちくださいね、電話をかけます」

そう言ってスマホを手に取る紅葉さん。

少し落ち着いたので、部屋を見渡すと……この部屋女性しかいない。

すっごく居心地が悪いです、はい。

「あの、玲央さん」

「あ、うん。どうしたの?」

「その……詳細を聞きたいから、玲央さんが良ければ明日うちに連れて来いと御爺様が……」

「え、えぇぇぇぇっ!?」

絶対に関わる事が無いと思ってた紅葉さんのお爺さんと、俺が会うの!?