作品タイトル不明
102話.学年対抗戦・vs二年生⑤
--轟 烈火視点--
二年の先輩、沖田 麗子。
クラスは恐らくアサシンだろう。両手に持つ武器が短剣な事と、足運びでなんとなくだがそう思う。
「烈火君、気を付けて下さい……彼女の武器は、普通ではありませんよ」
「!?」
「私は先程の攻撃を剣で防ごうとしました。けれど……途中で武器が消えたんです。そして気付けば、私の剣の内側に武器があって……避ける事が出来ませんでした」
「ふふ、そこの彼の邪魔が無ければ両方潰せたと思うんだけど、ね。まさかあの一瞬で軌道を逸らされるとは思わなかったわ。ま、キングを庇って自分の紋章は守り切れなかったのは、こちらとしては助かったわ」
「……」
剛毅のお陰で、紅葉は助かったって事か。
流石玲央が認めただけの事はあるぜ。
「烈火、殿」
「任せろ剛毅。俺は絶対に負けねぇ」
「言うじゃない。私のスピード、貴方についてこれるかしらっ……!」
消えたっ……!?
いや違う、気配を極限まで薄くしたんだな。
その上で足音を消した動きで場所を悟られなくして、周りを移動しながら近づいてるんだな。
へっ……美樹也、お前のお陰でこういう手合いが得意なんだよなぁっ!
「そこだぁっ!」
「なっ……!?」
俺の右側のすぐ近くまで来ていた先輩に大剣を振るう。
直撃しそうになった先輩は、ギリギリで回避して後ろに下がった。
「逃がさねぇぜっ……!」
「ぐっ……おもっ……なんてパワーなのっ……!?」
「おおおおらぁぁぁぁっ!!」
「きゃぁぁぁぁっ!?」
先輩に追いつき大剣をもう一度振るう。
後ろに下がりながらでは防ぐしかなく、短剣で受けるも、耐えきれるはずもなく後ろへとぶっ飛ばされた。
「!! いねぇ!?」
「『ダンシングソウル』!」
「ぐぅぅぅっ……!!」
倒れた先を見ればすでに姿はなく、目の前にすでに居た。
凄まじく速いぞこの先輩はっ……!
「頑丈ねっ……! でも、これで終わり……!」
「させっかよぉ! 『ガイア・ブレイカー』!」
「っ!!」
両肩の紋章を狙ってきたが、衝撃波を避ける為に横へと飛ぶ先輩。
その隙を逃がさねぇ!
「燃えろっ! 『ファイアーストーム』!」
「なっ!? そんな魔法をここで使ったら!!」
「紅葉!」
「了解ですっ! 広がれ! 『フィアフル・ストーム』」
「ばっ……! 正気なの一年共はっ!?」
俺の放った火炎の魔法を、紅葉が放った暴風の魔法で広げる。
辺り一面が火で包まれる。
「さーて、第二ラウンドだぜ先輩」
「あつっ……こんな場所で戦ったら、居るだけでライフが削られ……って嘘でしょ、貴方火にもしかして耐性が……?」
「へへっ。ああ、この程度全然熱くねぇな」
「……こりゃ長期戦は不利ね。一気に仕留めさせてもらうわよ一年!」
「やれるもんならやってみやがれっ!」
「はぁぁっ……!」
また姿が消えたが、今度は追える!
「そこだぁっ!」
「『ダブル』ッ!」
「何っ! 分身かっ!?」
「奥の手ぇっ! 『インビジリティ・ダガー』!」
「これかぁっ!!」
「嘘っ……!?」
……戦いの前。
玲央から聞いていた事があった。
「烈火、敵の中に凄腕の暗殺者が居ると思う。その敵がもし攻めてきて、戦う事になったら覚えておいて欲しい事があるんだ」
「覚えておいて欲しい事?」
「うん。『インビジリティ・ダガー』っていう技。これ、見えない武器を投擲するスキルなんだけど、見えないだけで直線的な動きしかしない。だから……狙いが双肩なら、ただまっすぐに大剣を振り下ろして。そうすれば確実に防げるから」
「ははっ。玲央、お前はホント……分かったぜ。玲央も役目をしっかり果たせよ? その間、持ちこたえて見せるからよ」
「うん、頑張るよ。烈火の心配はしてないからね!」
「ははは! おうっ!」
ったく、あいつはどこまで見据えてるんだ?
言っていた通りになったじゃねぇかよ!
「馬鹿なっ……この技を初見で防ぐなんてっ……!?」
「俺達には、頼りになるリーダーがいんだよぉっ! くらぇぇぇっ! 『オメガ・ブレイカー』!!」
「きゃぁぁぁぁっ!!」
全力で奥義を放ち、先輩をぶっ飛ばす。
「くぅっ……千鶴ちん、ごめん……ここまで、強いとは……予想外、だったよ……」
「先輩も強かったぜ。アサシンと一対一で戦う時点でおかしい状況だしよ。そんじゃ、壊させてもらうぜ」
「はぁ……。私は負けたけど……二年がこれで負けたと思わない事よ。この私より強い人が千鶴ちんを守ってるし、陽葵ちんに勝てる人なんて、いやしないんだから」
「へっ……その点も心配いらねぇな。こっちにゃ玲央と……リーシャさんが居るからな」
なんとかこっちは凌いだぜ玲央。
「烈火君、念の為場所を移しましょう」
「ああ。氷もそろそろ溶けそうだしな」
「はい。後は、玲央さん待ちですね」
「だな。ま、あいつなら心配いらねぇさ」
「ですね。私達は準備を万全に」
「おう!」
--轟 烈火視点・了--