作品タイトル不明
95話.学年対抗戦へ向けての戦略会議
午前の授業が終わり、自由時間となった午後。
今日は学年対抗戦で共に戦うメンバーで集まり、作戦会議を行う事になった。
とはいえ、現状で明かされている内容は多くない。
すでに経験している二年生と三年生との公平性の為に、俺達はすでに戦うフィールドは見せて貰った。
かなりの広さで、草原マップ、湖のあるマップ、その近くに森があるマップ、活火山のあるマップが合わさったフィールドである。
互いの始まる場所は草原で固定されており、視界を遮るものが無い。
場所の配置としては、
『一年生チーム-草原-森-湖-活火山-湖-森-草原-相手チーム』
という具合だ。
どちらのチームも草原から始まるが、超えると森があり、進めば湖のあるマップへと辿り着き、その中心に活火山がある。
つまり、同じスピードで進めば活火山で鉢合う事になるのだが……この活火山がまぁ、とんでもなく広いので、普通に進めばまずお互い通り過ぎてしまう。
かといってそこでぶつかり合うと、いつ火山が暴発するか分からない為危険だ。
ゲームでは勝負開始のわずか三十分で噴火する設定で、すぐ近くの湖がマグマの溜まり場と化す。
更に森に火が燃え広がるというとんでもマップなのだ。
製作者は絶対鬼畜である。
つまり、時間を掛ければフィールドが襲い掛かってくるようなものなのだ。
幸い草原まで火は襲ってこない……だから、ゲームでは草原でただ相手チームが来るのを待つだけでも良かった。
だけど、この世界はゲームじゃない。
そんなつまらない戦いにするわけにはいかない。
たくさんの応援してくれる仲間達が居るんだ。
そんな情けない戦い、選択肢にすら上がらないよね。
という事を、皆に予測として遠回しに伝えてみる。
その、こうなるって断定で言えないので、こうなるんじゃないかなぁという感じで。
「「「「「……」」」」」
そうすると、皆真剣な表情で黙ってマップを見ている。
い、いたたまれない。
やっぱり予測で言う内容にしては、最悪の想定すぎるかなぁ?
活火山だからって火山が噴火するとは限らないわけで。
そういうマップがあるってだけで考えるのも普通だろうし。
「……やはり、流石ですね玲央さん」
「ああ。これを頭に入れておくのと、入れておかないのでは雲泥の差だろう」
「!!」
紅葉さんがジッと俺を見てそう言い、美樹也も相槌を打ちながらそう言った。
「つーことはよ、火の対策はしておかねぇとだよな? 魔道具の持ち込みって良いんだっけか?」
「馬鹿烈火。そんなのアリだと私達一年生が不利でしょ」
「あー、それもそうか」
二年生と三年生の方が錬金術や魔道具生成において、一歩も二歩も先を行くからね。
まぁ、アリならアリでやりようなんていくらでもあるけど。
「なんつーか、玲央なら魔道具ありでもなんとかしそうな気がするけどよ?」
「うっ……それは、否定できないけど」
そこは否定しましょう美鈴さん。
いやなんとかしますけどね?
「まず役割のおさらいするね。キングは紅葉さんに任せるよ」
「はい、不肖の身ではありますが、役割を全うさせて頂きます」
「紅葉さんなら大丈夫。そしてクイーンはリーシャさん。戦場を縦横無尽に駆けまわって貰うから、そのつもりで」
「ええ、任せて頂戴」
「うん。次にナイトは烈火と剛毅。二人にはキングの護衛についてもらうよ」
「おう! 任せな玲央!」
「しょう、ち!」
「お願いね。そしてビショップは美鈴さんとティナさん」
「オーケー!」
「はいっ!」
「二人にはやってもらうことが滅茶苦茶多くなるけど……俺が度々戻って魔力譲渡するから、安心して魔法使いまくってね!」
「うっ……なんか嫌な予感がするけど、分かったわ」
「ふふ、榊様の指示ならばどんな事でも!」
美鈴さんの若干蒼白な顔と、興奮しているように見えるティナさんが対照的である。
「ルークに美樹也と旋風さん。二人もやってもらう事は多いけど、ビショップの二人と違って対人戦が主だから、危険度は高い。でも、二人ならいけると俺は思ってる」
「フ……お前の信頼には必ず応えよう。任せろ」
「大丈夫ネ! アタシの力、役立てて見せるネ!」
二人の自信満々の表情に、こちらも笑顔になる。
頼もしい限りだ。
「最後、ポーンにアインと竜、ゼウスに俺の四人。俺はリーシャさんと似たような感じで、戦場を行ったり来たりする事になると思うから、代理のリーダーをアインに頼むよ」
「ぼ、僕!?」
「うん。ゼウス、竜、良いかな?」
「榊殿が言うのであれば!」
「おうよ。それに、こいつの強さは身に染みて知ってるからな、不満はねぇぜ榊の旦那!」
「!! わ、分かったよ。やるよ、僕!」
うん、アインならやれるはずだ。
ツヴァイも中に居るし、いざとなったら指示を出してくれるだろうという打算もあったり。
言ったら怒られるだろうから、心に留めておくけどね。
「俺達が最初に当たるのは二年生。そのメンバーの中でも、特に注意しなければいけないのが二人。一人は言わずと知れた、二年生筆頭・結月 陽葵先輩」
「結月先輩の斬撃は、正直私でも回避出来るか分からないくらい速いわ。対峙する事になったら、私が行くまで交戦は避けるか、なんとか時間を稼いで欲しいわね」
「うん。それに陽葵先輩は多分、リーシャさんと同じくクイーンで来る。だから、一対一だとリーシャさん以外で止める事は不可能だと思って欲しい」
「「「「「!!」」」」」
「そしてもう一人。二年生次席・本郷 千鶴先輩。皆も知ってると思うけど、三年生筆頭・本郷 彰先輩の妹さんだよ。そして、その実力は決して陽葵先輩に劣るわけじゃない。この二人が滅茶苦茶強い。正直、現時点で俺達が勝つには、この二人をどうにかしないと厳しい。他の先輩達だって、十二分に実力者達だからね」
「「「「「……」」」」」
皆俺の説明を静かに聞いてくれる。
「だけど、勝算はある」
「「「「「!!」」」」」
さぁ、勝つ為の戦略を始めよう!