軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

254.アリアケへの愛は星を救う!

254.アリアケへの愛は星を救う!

(前回からの続きとなります)

~ナイア視点~

「アリシアについては、≪ 唯一の絆(結婚) ≫とか言うスキルでバフ盛り盛りなのは分かったけど、そなたらは違うんであろう? (この時点で)重婚しておるとは聞いておらぬ。ゆえに、アリアケの愛のパワー!とかいうでたらめバフを得てはいないそなたらでは、月を押し戻す力はないのではないか?」

我は突然現れた三人の美少女たちに聞く。

だが、

「にゃははははは! 儂と旦那様の縁はそんな形式に縛られたものではないので大丈夫なのじゃ! 何せ我が旦那様は唯一の乗り手! 乗り手を得たゲシュペント・ドラゴンとして儂は既に覚醒済みである! 愛以上の絆と言っても差支えない、と自分の中では議論の余地なしとなっておるのじゃ! にゃはーっはっはっはぁ!」

彼女はそう反論を言いながらも、黄金の竜へと変貌してゆく。

そして、

「 焔よ立て(ラス・ヒューリ) ! 旦那様の愛を一身に受けしこの儂が一番役に立ってみせようぞ! そして後でナデナデのご褒美をもらうのだ! うむ、完璧なのじゃー!!!」

伝説級の攻撃と極大の惚気を一気に解放した!

それと同時に、魔法使いたちが一旦押し戻した月の欠片が更に粉々に砕け散る。

とんでない破壊力である!!

アリアケへの愛のパワーって半端ない!

そう思っておった時であった。

「あ、僕は別に一番でなくても大丈夫なので。お姉様たちを出し抜こうなんて考えてません。でも、やっぱり先生の愛は深く広いですから、独占すべきものじゃないと思うんですよね。きっと姉妹で分かち合えますよ、うふふ♪」

ボーイッシュであるが、よく見ればその美しい容貌や端正な顔立ち。上品な仕草が目に留まる黒髪美少女が、聖槍を構えて、落下してくる月たちに対峙している。

何気にとんでもないことを言っておる気がしたが、次の瞬間にはそんなことは忘却の彼方へ飛んで行く。

「あの辺から、あの当たりまで…‥」

彼女は指でツーっと宙をなぞる。何をしておるのかと思って見ておれば、

「『次元切断・第2階層』まで」

その声を聞いた兵士たちは意味が分からなかったであろう。また上空で起こった現象にも理解が及ばなかったはずだ。

彼女の聖槍ブリューナクが鳴動しはじめたかと思うやいなや、槍を水平に振るった。

そこには落下する月たちが蠢いていた箇所である。

それらが、

『ベロリ』

と、まるで皮膚を切った時に皮がめくれるように、空間が切断されたのである。と、同時に空間ごと切断された月たちは、次々に爆発四散する。

魔法使いたちはその破片を防ぐだけで良くなる。三十四分割された月一個を受けるよりも格段にたやすい仕事だ!

「凄まじいのである。これが聖槍のちか……」

「はい! 先生への信頼と愛の力です!!」

「ええー……。いやー、百歩譲ってさっきのドラゴン娘はそうかもしれんけど……」

「先生のお役に立てると思うと、何層も次元を切断できる気持ちが湧いて来るんです!!」

「うーん、それを聞くと一番狂愛っぽいな。冥王なのにちょっと怖くなったわ」

そして、最後の一人。

「ローレライ・カナリアです。私には大した力はありませんが、皆さんを回復させることくらいは出来ます! さあ、皆さん立ち上がりましょう! 私のような少女でも、アリアケ様の期待にこたえるべく頑張っています! 本当の救世主様と戦える栄誉を自ら捨てて、本当の戦士と言えるでしょうか! いや、言えない! さあ、今こそ決戦の時! この星を救うのです!!!」

そう言って、全体への回復魔法をかけおった。

マナがほぼ枯渇している中で魔法を使用していることも凄いのであるが、恐ろしいのは彼女の演説である。

年端の行かぬ少女すらも戦っている。

なおかつ、英雄と戦える栄誉。そして、星を救い魔王と戦うという大義。

戦士たちの心をこれほど揺さぶる言葉があろうか。

案の定、弱気になりつつあった魔法使いたちの瞳には力が宿る。

「そ、そうだった。俺たちは星を救う最後の希望なんだ」

「それにアリアケ様がついててくださる」

「しかもアリアケ様を愛する女性たち? なのか? よく分からんが、そんな凄い人達まで助っ人に来てくれた! こんな少女まで戦おうとしている!」

「ああ、アリアケ様の期待に応えるんだ!! 情けないところは見せられないぞ!!」

「「「「おう!!! アリアケ様の加護ぞある!!!」」」」

彼らはそう叫ぶと、アリアケより譲渡されてきた魔力を最大限に活用して、再び落下する月から星の防衛を始めたのである。

と、ちらりと彼らを奮起させたローレライという少女の方を見れば、

「ふふふ、これでアリアケ様に褒めてもらえますね。リズレットお母様ゆずりの人心掌握と操作を使うのはイヤ極まりますが……。アリアケ様のためですしね。それに計画のためにはいい所を見せておかないと、ふふふ」

「腹黒さが隠しきれてないなー、この小娘」

「おおっと、はわわ。何のことですかー?」

少女らしい天真爛漫な表情に変わるが、もう遅い。

とはいえ、

「いい感じである。これは何とかなりそうであるな。うーんそれにしても」

我は感慨深げに呟いた。

「アリアケよ……そなたそのうち刺されるぞ?」

そんなこんなで月防衛戦は、最終局面を迎えようとしていたのであった。