作品タイトル不明
255.アリアケの元に集う賢者パーティーの少女たち。そして英雄は魔王を屠る
255.アリアケの元に集う賢者パーティーの少女たち。そして英雄は魔王を屠る
~アリアケ視点~
「なんで俺が刺され無いといけないんだ?」
「おお! 戻ったかアリアケ!! って、その恰好は?」
「ああ、もう聖剣を使用する必要はないから、憑依は解いている。ビビアはなぜかアーアー言うばかりで使い物にならないので、そこに置いておいた。それより……」
俺は戻って来てみて驚いた。
アリシアやコレット、そしてラッカライにローレライといった、賢者パーティーの女性たちが大集合していたからだ。
どうやってこんな神代まで追いかけてこれたんだ?????
「愛のパワーです!!」
「それはもういいのである! ≪結婚≫というスキルによって二人は分かちがたい縁を結んでおるから、時空転移した際に引っ張られたらしい! 」
「愛ってすごいですね! アリアケさん、分かりますか? 伝わってますか? 二人の愛は時空を超えて今ここに奇跡の邂逅を果たしたんですよ! いやー、感動的ですねー!!」
「愛のゴリ押しはやめんかい」
ナイアが辟易とした表情で言った。
だが、
「なんの! 儂なんて結婚予定ゴニョゴニョ……なだけなのに、こうして神代までやってこれたし! これこそまさに奇跡と言っても過言でもないと思うのじゃ! のじゃ!」
「僕もそうです! 突然大地が揺れたと思ったら、この時代に飛ばされて……。これも、し、し、し、師弟を超えた何か特別な絆だと思います! ええ、異論は認めません」
「私もです。これは将来習合したブリギッテ・ワイズ教を二人で盛り立てるよう神様がお導きになっているとしか思えません」
他の女性たちも口々に言った。
「まぁ、ぶっちゃけ異変が起こったので大結界で空間を保護したら、丸ごと転移しただけなんですけどね。偶然、女子会をしていたので、このメンバーになったのです」
「なんの女子会だったんだ」
「自分の胸に手を当てて聞いてみてくださいねー、私の旦那様~?」
何か鬼気迫るような、自分に圧倒的に不利な気配を感じたので、俺は話題を変えた。
というか、本題に戻ることにする。
まぁ、要するに、
「俺のために助けに来てくれたということだろう。ありがとう、みんな」
そのなんの衒いもない俺の言葉に、彼女たちは一斉に赤面したり、笑顔になると、
「かー、この朴念仁は~。ええ、ええ、その通りですよ!」
「うむ! 旦那様のためなら例え神代であろうとアビスであろうと駆け付けるのじゃ!」
「僕の槍を捧げた御方ですから当然です」
「こんなか弱い私でも駆けつけた点をご評価ください」
ならば、と俺は天空を仰ぐ。
それは彼女たちも同じだ。
そして、他の魔法使いの兵士たちも。
俺が騎乗するフェンリル、冥王ナイアも天空を見上げた。
残る月の欠片はまだ20以上ある。
しかし、
「アー君。では支援を頂けますか?」
アリシアが言った。
「星を救うスキルを、私たちへ使用してください」
「ああ」
俺は杖を振るいながら、
「もちろんだ」
英雄として仕事の仕上げに取り掛かる。
「スキル多重展開」
俺は第3の魔王に微笑みかけながら告げるのだった。
「さらばだ、 月(イルミナ) 」
≪魔力攻撃アップ≫付与
≪攻撃力アップ≫付与
≪クリティカルアップ率≫付与
≪クリティカル威力アップ≫付与
≪時間経過による魔力・体力回復≫付与
≪攻撃時体力回復≫付与
≪俊敏≫付与
俺の使用した人では到底不可能といわれる多重スキルの使用によって、甚大なる加護と支援を受けた戦士たちは、本来の力の1000倍以上の力を発揮する。
そして、10時間にわたる戦闘の末……。
『ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン』
見事、最後の魔王 月(イルミナ) の欠片を、跡形もなく粉砕したのであった。
「ほ、本当にやったのか!?」
最初は信じられない様子であったが、それ以上月の落下が無いと確信するやいなや、戦場は歓喜の声に包まれた。
と、同時に。
「さすがアリアケ様だ!」
「ああ、我らが救世主様!」
「アリアケ様しかこの神代を救える方はいない!!」
そんな声があちこちから聞こえてくるのだった。
だが、
「ははは、そんなことはない。勘違いするな、みんな」
俺は全員に、
「皆の力があってこその勝利だ。全員で今回の勝利をもぎとったんだ。俺だけの力ではないさ」
と告げたのだった。
ただ、俺への賞賛の声は鳴り響き続ける。それは無理もないことだった。
俺と言う英雄と戦い、勝利を得たということは、それだけで生まれて来た理由や誇りにもなろう。
ナイアもこの勝利に微笑んでいた。
ただ、俺はそんな光景を見ながら……。