軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

249.三十四『分割』障壁作戦立案

249.三十四『分割』障壁作戦立案

「間もなく落下か」

「これは参ったな。降参するしかないか。わはははは!」

「何を落ち着いてやがる! どうすんだよ! どうすんだよ! なんとかしろよ、ひいいいい!!!」

「うるさいぞ」

落ち着いて空を見上げる俺とナイアと、焦燥をあらわにするビビア。そしてそれを 窘(たしな) めるフェンリル。

とはいえ、ビビアの気持ちも分からないでもなかった。

「そう言ってやるな、フェンリル。俺の立案した完全な作戦が、第4の魔王が突如出現することになり不可能になったんだ。師匠である俺に頼っていたビビアがおののく気持ちもわかるさ」

「さすがアリアケ様は寛容ですね」

彼女の言葉に俺は微笑む。

一方のビビアは顔を赤くしたり、青くしたりしていた。

「アリアケの言葉に興奮したり、 魔王(月) の接近に怯えたりと忙しい奴じゃなぁ。ちっとは師匠を見習え。で、アリアケよ」

ナイアがそう言うのと同時に、俺の方を見た。

ああ、分かっているさ、とばかりに頷く。

「無論、誰も乗り切れないこの危機を脱するのも救世主である俺の役割だ」

「ふむ。して、策は?」

「ああ」

この危機を脱する切り札が俺であることは前提にさっさと話は進む。

「三十四『分割』障壁作戦を提唱したい」

「三十四重障壁作戦のアレンジか。どのようなものか?」

「ああ。とりあえずその聖剣を俺が装備する」

「はあああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

ビビアが絶叫した。気持ちは分かる。

「だめだ! 絶対貸さねえ! これは俺んだ! 俺が選ばれし勇者の証なんだ!!」

「スキル≪聖剣装備≫があるから、装備自体に問題はないんだが……」

「嫌だ嫌だ嫌だぁ!!!!」

「世界の危機なんだがなぁ……」

俺は困る。

「そんなに俺に聖剣を貸すのが嫌なのか?」

「あったりめえだあ! お前だけには貸さねえ! お前だけにはぁ!!」

ビビアが再度叫ぶ。フェンリルが、

「ビビア、こんな時に我儘を言っている場合か」

と窘めるが、俺は彼女へ首を横に振って止める。

「無理強いは逆効果だ、フェンリル」

「は、はい。アリアケ様。ですがこのままでは……」

「そうじゃぞ、アリアケ。寛容なのは良いけど、我ら死ぬぞ?」

彼女たちが心配する。

俺は安心するように微笑みながら頷き、

「ああ、だから俺がビビアの身体に≪憑依≫スキルで乗り移る。それによって聖剣を使用する!」

「は?」

「それならビビアも文句はないだろう。俺も聖剣を借りなくて済むしな」

「い、嫌だ! 俺はそもそも魔王と戦うこと自体がもう嫌でっ……!」

なぜか走りだそうとするビビアを、

「おっと」

「うおっとっとー」

フェンリルと、ナイアが羽交い絞めにするようにして止めた。

よく分からないが好都合だ。あまり離れていてはこのスキルは発動できない。

「ではその身体、借りるぞ! ビビア! スキル≪憑依≫!!」

「嫌だあああああああああああああああああああああああああああ!!!!! ガクガクガクガクガクガク!!!!!」

俺がビビアの中に入るのと同時に、激しくビビアの身体が痙攣する。

一方、俺の身体は地面に横たわる。

そして、

「ふぅ、憑依完了だ」

俺はビビアの身体を完全に制御する状態となる。

同時に、最も心配していた点を確認した。

「はっ!!!!」

俺が聖剣を一振りする。

すると、

『キン!』

という不思議な音が響いた。いや、この音は聞いたことがある。

「すごい。それは……空間自体を切り裂いている音です」

「うむ! さすがビビアではなくアリアケである!!!」

フェンリルとナイアが驚きの声を上げた。

そう。

これは空間自体を切り裂く音だ。

俺の愛弟子たるラッカライが聖槍ブリューナクで空間を切り裂いた際に耳朶を打つ音と同質のものである。

「本来はここまでの力があるものなのですね」

「聖剣の名に恥じぬ力である。そしてその潜在能力を引き出せるアリアケもさすがであるなあ」

「大げさだな。大したことじゃないさ」

俺は聖剣を鞘に収めながら言う。

そして、空を見上げた。

魔王が迫っている。

「では、作戦の詳細を説明する」

俺の言葉に、彼女たちは頷いた。

ちなみに、

(返せ! 俺の身体を返せ!)

ビビアの意識もちゃんと残っていて、散々身体を返せと中で叫んでいるのだが、緊急事態だ。勘弁してもらうことにしよう。