軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

179.荒稼ぎしてしまう人魔同盟学校であった

179.荒稼ぎしてしまう人魔同盟学校であった

~フィネ視点~

「ほら、今日も100個だ! どうだ!」

私が麻袋につめたマンドラゴラを、ギルドの交換所に持っていくと、『またか』と言う顔で受付のお姉さんが驚愕の表情を浮かべた。

アリアケ先生から特産品を作るアイデアを教えてもらってから1か月。

休みの日や、授業の一環として、マンドラゴラの採集は生徒達みんなで取り組んでいた。

ぶっちゃけ、アリアケ先生が『特産品にするぞ』と言って、魔族のルギが『貴族階級に絶対売れる』と言われても、人族の私にはぜーんぜんピンと来なかったわけだけど。

今はそんな自分の不明を恥じるばかり。

私は結構自分で言うのもなんだけど直感で動いちゃうから、あんまり人の話を聞かないんだけど、それだけじゃダメなんだなって。あの授業で思い知った。

「ホテルで売り出すや否や、魔族たちがどんどん、これでもかというくらい買っていくんだもんね!」

ほとんど供給のほうが追いつかなくて、今やマンドラゴラ狩りは空前の価格高騰素材だ!

正直、

「これが荒稼ぎってやつか」

面白いくらいお金が儲かる!

「世の中には知らないことや、分からないこと。人に聞かないといけないことの方が多いんだ」

あの授業はある意味、私の価値観を大きく変えてくれたような気がする。

みんな違うけど、それが良いことなんだって。

ま、それはともかく。

「はい、今日の報酬ですよ」

そう言ってお姉さんは、わざわざカウンターから出てきてくれて、銀貨のつまった袋を持ってきたくれる。

「はい、1000銀貨ですよ! ふー、重い!」

ドン! という重みで床が揺れる。

「おい、すげーぞあれ! せ、1000銀貨だとよ!!!!????」

「ああ、マンドラゴラ狩りだろ。人魔同盟学校パーティーどもだ。くーうらやましい。あんだけありゃあ何年も食えるぜ! ちょっとばかり俺たちにも融通してもらって……」

「やめとけやめとけ。国王アリアケ様の生徒だぞ。この国どころか、世界から居所がなくなる」

私も冒険者の卵なので、周りがお金を見てギラギラした目をしているのは理解している。

でも、アリアケ先生がすごすぎて、なんと一度もトラブルになったことがない。

あ、一度、なりかけた時も、わざわざ、オシムギルドマスターがやってきて、その冒険者をボコボコにしてしまっていた。

「アリアケに宜しくな」

そう言って、またスープづくりに戻ってしまった。どうやら先生とは友達らしい。ところで、オシムさんはギルドマスターだけど、ここでは料理も作る。しかもかなり美味しい。このギルドのお料理がギルドマスターお手製だと知った時は、ちょっとショックだった。私の腕を軽々と超えて……まぁ、それはどうでもいいか。なんだって焼けば食べられるんだ! ルギには呆れられるけど。

ま、それはともかく、

「よっしゃあああああああああああああああ!! 今日もお金が重い! でも心は軽いかるーい!!!!」

私はずっしりとした重みのある銀貨の入ったずだ袋を背負って、ギルドを後にする。

私一人なら数年、余裕で食べていけるくらいの銀貨の量だ。

(もし金貨なら……。今の金相場だと、金貨100枚くらいじゃない!!??)

それくらいの稼ぎなのだ。

(すごすぎだなぁ、アリアケ先生……)

ちょっと、あの先生は発想が尋常じゃないんだよね。

そんなことをつらつら考えながら、学校へ戻る。

で、とりあえず、

「よーし、山分けだー!」

「それよりも乾杯しましょう。たまには打ち上げをしようとおっしゃったのはあなたですよ。それに、お金は消えませんわ」

「キュールネ―は分かってないなー。お金を見ながら飲むジュースがうまいのに!」

「というか、ドラゴンは金銀財宝の類が好きだと 仄聞(そくぶん) していましたが?」

果実汁を片手に、ソラが疑問符を浮かべるが、

「人の作り出した金貨・銀貨程度ではときませんわ。もっと価値のあるものでないと。例えば、アリアケ先生のお持ちの賢者の杖などは頬ずりりしたくなるほどの一品ですわ」

「なるほどね。ま、それはともかく乾杯しよっか。みんなもいいかなー?」

「フィネ以外は大丈夫みたいですよ。元孤児のみんなもね」

「あははー、そっかー」

ルギのいつものツッコミに冷や汗をかきながら、あわてて、杯を掲げる。

「ではでは、我ら人魔同盟学校生徒限定パーティーの荒稼ぎにかんぱーい!!!」

「別に荒稼ぎに乾杯してるわけではありませんが、まぁ、無礼講ということで乾杯としましょう」

ソラもやれやれと呆れつつ、果実汁を口に含んだ。

「んじゃ、リーダーに分配するんで、グループの孤児たちに配分宜しく」

私はうずたかく盛られた銀貨を丁寧に5人分に均等に分ける。

学校に納めなくていいのか聞いたら、アリアケ先生が好きにしていいと言ってくれたのだ。

「お金の使い方も社会勉強だからな。うまくやれ」

と言われた。

全くその通りで、私のお父さんもドロップ品とか報酬の配分でもめることが多いって言ってた。でもって、それをきっかけにパーティーが崩壊したりするらしい。こわ!

というわけで、話し合った結果、私たちはともかく平等にすることにした。話し合いの重要さはこの前の授業で習ったからね。

これも話し合っておいてよかった。何せ、キュールネ―はお金に興味がないし、ソラも同じだったからだ。ルギなどは成果報酬を検討した方がいいと言っていた。それくらい考え方に違いがある。種族ごとの癖みたいなものがあるのだ。

「いろんな人が参加する時はルール作りが凄く大事」

これもここ何週間かで私が痛感したこと。うーん、アリアケ先生さすがっす!

でもって、リーダーのみんなは、自分たちが面倒を見ているグループの孤児たちにも平等に分けていく。これもルール。グループでストックしておく案を出す人もいたけど、グループごとにルールが違うと不平不満が出そうな気がしたのでやめた。とりあえず、即配分してしまうのがシンプルでもめごとが少ないのだ。

平等に配分すると、なんと1か月は衣食住に困らず暮らせるくらいの金額になる!

(元孤児たちの生徒たちも、自分たちで食べ物を買ったり服を買ったりできるわけだ。アリアケ先生すごい!)

……と思っていたんだけど、実は、最近分かったというか、当たり前の話なんだけど。

「すみません。お金の使い方が分からないのですが……。ブリギッテ教会へ全額寄付しておけばいいですか? ワイズ教徒ではありますが、今はブリギッテ教会にお世話になっている身ですので……」

「……え?」

こんなやりとりがあった。

そうなのだ。肝心なことを忘れていた。彼らにアリアケ先生は、お金の稼ぎ方は教えたけど、使い方までは教えていないのだ。

今になって思えば、

『お金の使い方も社会勉強だからな。うまくやれ』

というのは、実はお金の使い方も同年代のお前たちが教えてやれ、というアリアケ先生のアドバイスだったことに気づく。

「あの先生、本当にくえねー!」

「フィネ、あまり先生に失礼なことを言うものではないですよ」

「ルギ、わかってーよ。てか、褒めてんの」

「そうでしたか」

やれやれ。まぁアリアケ先生の無茶ぶりは今に始まったわけじゃないし。

それに、確かにお金の使い方を教えるのは、同年代の私たちの方がいいだろう。

だって、

「アリアケ先生とか、大聖女のアリシア先生たちのお金の使い方とか、参考になりそうにないもんねー」

そう一人ごちる。

というわけで、私たちは元孤児たちにお金の使い方を教えに町へ繰り出すことにしたのである。

貯金も大事だけど、使うことも同じくらい大事だしね!

「お金は使ってなんぼ! さあ、行こう!」

というわけで、週に一度の休日、私たちは何名かの孤児たちと一緒に、町に繰り出したのだった。

(続きます)