作品タイトル不明
EP 6
死を呼ぶ四番(DEATH4)、地獄を蹂躙す
ジャジャジャジャーン!! ジャジャジャジャーン!!
地獄のどん底、賽の河原に、ランクルのスピーカーから放たれた『怒りの日(Dies Irae)』の爆音が鳴り響く。
「あぁん? なんだあの鉄の箱と、五月蝿ぇ音楽は?」
「生きた人間が、変な鉄の 棒(サブマシンガン) 構えてやがるぜ。ギャハハハ! ここをどこだと思って——」
地獄の鬼が金棒を肩に担ぎ、下劣な笑いを浮かべた、その瞬間。
「CARシステム、起動」
極限まで身を沈めた龍魔呂の 姿勢(スタンス) が変化した。
超近接銃撃格闘術——【ガン・カタ】。
彼から噴き出す『赤黒い闘気』が二丁のサブマシンガンに流れ込み、銃身が地獄の業火よりも熱く赤熱する。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!
引き金が引かれた。
放たれたのは、単なる鉛の弾ではない。毎分2000発の速度で射出される、極太の【赤黒い闘気のレーザー】。
「ガ、ギィベェェェェェェッ!?」
先程まで子供たちを鞭打って笑っていた鬼の上半身が、金棒ごと「消し飛んだ」。
貫通ではない。一発一発が20mm機関砲を超える圧倒的質量を持った闘気弾が、鬼の強靭な肉体を豆腐のように抉り取り、血肉の雨へと変えたのだ。
「な、なんだァ!? ぎゃああああっ!」
「腕が! 俺の腕がァァ!」
パニックに陥り逃げ惑う鬼たち。だが、死神(DEATH4)は絶対に標的を逃がさない。
【琉球古武術・縮地】による神速のステップ。
龍魔呂は幽鬼のように鬼たちの懐へと滑り込むと、一人の鬼の顎下に銃口を突きつけ、ゼロ距離から闘気をぶち込む。頭部がスイカのように弾け飛ぶ。
背後から迫る鬼には、見向きもせずに腕だけを折り曲げて盲撃ちし、心臓を完全に粉砕する。
無駄のない、機械的で、しかし絶対的な殺意に満ちた【死の舞踏】。
子供たちを苦しめた悪鬼どもが、文字通り「 肥料(ミンチ) 」へと変えられていく。
【神界セレスティア —— 女神のコタツ部屋(生配信中)】
『やれェェェェッ! 龍魔呂もっとやれェェ!!』
『鬼どもを根絶やしにしろ!! 一匹も残すな!!』
『子供泣かす奴は地獄の底だろうと許さねぇ! 撃てェ!』
キュララのドローンが映し出す【賽の河原の惨劇(鬼の視点)】に、神界の視聴者たちはドン引きするどころか、大歓喜の渦に包まれていた。
子供たちの悲惨な状況を見た全宇宙の神々が、龍魔呂の圧倒的蹂躙に【極上のカタルシス】を見出していたのだ。
そして、画面には虹色に輝くスーパーチャットが、滝のように流れ始めた。
『【宇宙神ユニーバ:やっちゃえ龍魔呂くぅん! 私のボーナス全部あげる!】(1000万G)』
『【戦神アレス:素晴らしい闘気だ! 弾薬の足しにしろ!】(500万G)』
その時。ポポロ村の村長宅で算盤を弾いていた財務担当・ニャングルが、魔導端末の前でニヤリと笑った。
「よっしゃ。神様たちから投げられたスパチャ、L-Payのシステム経由で、全部ガジェットはんの次元要塞の口座に『弾薬購入費』として直結させときまっせ!」
ニャングルの【 経済封鎖(スキル・アウト) 】の応用、超高速資金洗浄&送金システムである。
『ヒャーハッハッハ! 最高だぜニャングル! 天界からの 寄付金(スパチャ) が、1秒で【特製・対悪魔用炸裂徹甲弾】に変換されていくゥ!!』
次元の彼方で、ガジェットが狂ったように笑う。
神々の投げ銭が、リアルタイムで龍魔呂のサブマシンガンの弾倉へと「 空間転送(リロード) 」されていくのだ。
「……リロード」
ジャキッ!
無限に供給される天界産(?)の銃弾を受け取り、龍魔呂は歩みを止めない。
「ひ、ひぃぃぃっ! バケモノだ! こいつ人間じゃねぇ! 悪魔だァァ!」
「助けてくれぇ!」
先程までの威勢はどこへやら、這いずり回って命乞いをする鬼たち。
だが、龍魔呂の漆黒の瞳には、一切の慈悲は浮かばない。
彼は鬼の顔面を軍靴で踏みつけると、冷酷に引き金を引いた。
「掟……その四。悪は根絶やしにする」
ズドンッ!
最後の一匹が動かなくなり、賽の河原を支配していた鬼の部隊は完全に全滅した。
『怒りの日』のコーラスが最高潮を迎え、そして静かにフェードアウトしていく。
赤熱した銃口から細い煙を上げながら、龍魔呂はゆっくりと振り返った。
その視線の先には、崩れた石の山の上で、震えながらこちらを見上げている小さな男の子——ユウの姿があった。
「……ユウ……」
龍魔呂の顔から死神の気配が消え、手を伸ばそうとした、その時である。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!!
三途の川の赤黒い水面が爆発したかのように隆起し、賽の河原の空間そのものが激しく揺れ始めた。
鬼の全滅を察知した【地獄の深層】から、先程の雑兵とは比べ物にならない、大悪魔の軍団と巨大な魔獣たちが、地平線を黒く染め上げるほどの数で湧き出してきたのだ。
「チッ……キリがねぇな」
龍魔呂が再び銃を構え直そうとした時。
「はいはーい! マスターさん、そこ退いてくださいな! 私のステージが見えなくなっちゃいますの!」
タッタッタッ。
いつの間にか、ランクルの荷台から持ち出した「みかん箱(お立ち台)」を河原のド真ん中に設置し、その上に立つ少女がいた。
芋ジャージに健康サンダル。
だが、その手にはマイクが握られ、瞳の奥には「地獄の 亡者(ファン) から全てを奪い尽くす」という、底知れぬ強欲の炎が燃え盛っていた。
「さぁ、地獄の皆さん! 準備はいいですか!? 宇宙一の幸せな時間(搾取)の始まりですの!!」
【強欲貧乏アイドル・リーザ】の、地獄のゲリラライブが、今まさに幕を開けようとしていた。