軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 6

次元コンテナ投下と、赤黒き『怒りの日』

「撃てェェェッ! そのバケモンをハチの巣にしろォ!」

廃教会の地下から湧き出した30人以上の重武装兵たちが、一斉にガトリング砲や魔導ランチャーの引き金を引いた。

秒間数百発の弾幕と爆炎が、龍魔呂の立つ空間を完全に飲み込む。

だが。

『——ヒャハハハ! 遅ぇよザコ共! 俺の【特製デリバリー】はもう届いてるぜ!!』

空気を切り裂くようなガジェットの狂った笑い声と共に、廃教会の天井(空間そのもの)がガラスのようにパリンッと割れた。

ズドゴォォォォォォォォンッ!!!

無数の弾幕が着弾するコンマ1秒前。

次元の裂け目から落下してきた巨大な漆黒の【鋼鉄製コンテナ】が、龍魔呂を庇うように教会の床に突き刺さった。全ての銃弾と魔導爆破がコンテナの超硬度装甲に弾かれ、虚しく火花を散らす。

「な、なんだあの箱は!?」

「空から……いや、空間から降ってきやがったぞ!?」

重武装兵たちが一瞬、射撃を止めて後ずさる。

『さぁ、最高に楽しいパーティーの始まりだ! 音楽(BGM)、スタートォ!!』

通信機越しにガジェットが叫んだ瞬間。

落下したコンテナに内蔵された超大型スピーカーから、荘厳にして絶望的なオーケストラの旋律が爆音で鳴り響いた。

——ヴェルディ作曲『レクイエム』より、「怒りの日(Dies Irae)」。

世界の終末と神の怒りを歌い上げる、最狂の処刑用BGMである。

ジャジャジャジャーン!! ジャジャジャジャーン!!

圧倒的な音圧が廃教会を震わせる中、プシューッ……と白煙を上げてコンテナの扉が開いた。

「……助かる、ガジェット」

煙の中から現れた龍魔呂の手には、先程までの柳刃包丁でもナイフでもない。

ガジェット特製の【二丁のサブマシンガン】が握られていた。

「バ、バカめ! たかがサブマシンガンで、俺たちの強化重装甲がブチ抜けるかよ!」

兵士の一人が嘲笑う。

「……抜けるさ」

龍魔呂の全身から立ち昇る『赤黒い闘気』が、両腕を伝い、二丁のサブマシンガンへと流れ込んでいく。

【鬼王の指輪】の力によって極限まで増幅された闘気が、銃身を赤熱させ、装填された銃弾一つ一つに「20mm機関砲」と同等……いや、それ以上の破壊質量を付与していく。

「CARシステム、起動」

極限まで身を沈めた龍魔呂の 姿勢(スタンス) が変わる。

超近接銃撃格闘術——【ガン・カタ】。

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!

引き金が引かれた瞬間、放たれたのは「弾丸」ではなかった。

毎分2000発の速度で射出される、極太の【赤黒いレーザーのような闘気の奔流】。

「ガ、ギィベェェェェェェッ!?」

最前列で重装甲の盾を構えていた大男の体が、盾ごと上半身を「消し飛ばされた」。

貫通力という次元ではない。闘気を纏った銃弾が命中した瞬間、装甲も、肉体も、背後の石壁も、全てが豆腐のように抉り取られ、爆散していくのだ。

「ヒィィィッ!? ば、化け物ォォ!」

「撃て! 撃ち返せェェ!」

パニックに陥った兵士たちが乱射するが、龍魔呂の姿はすでにそこにはない。

【琉球古武術・縮地】の足捌きと、【システマ】の滑らかな体重移動が融合した神速のステップ。

弾幕の間を幽鬼のようにすり抜け、敵の懐へ飛び込む。

ダンッ! ダンッ!

二人の兵士の顎下に銃口を突きつけ、ゼロ距離から赤黒い闘気をぶち込む。頭部がスイカのように弾け飛ぶ。

背後から迫る敵には、見向きもせずに腕だけを折り曲げ、盲撃ちで心臓を粉砕する。

『ヒャーハッハッハッハ! 最高! 最高だぜマイ・マスター! コーラとハンバーガーが止まらねぇ!!』

次元の彼方にある絶対防衛要塞のモニタールーム。

ガジェットはジャンクフードを両手に持ちながら、モニターに映る【死の舞踏】を見て歓喜の涙を流していた。

「うるさいわよガジェット! また夜中にドカ食いして! ダイエット中だって言ったでしょ!!」

「ひぃぃっ! ごめんなさいミザリー(妻)! 今、俺の 神(マスター) が最高のショウを魅せてくれてるんだ、邪魔しないでくれぇ!」

恐妻家のガジェットが妻に怒鳴られながらも、サポートの手は決して止めない。

『怒りの日』のコーラスが最高潮に達する中、廃教会は完全に「血と肉片と赤黒い闘気の嵐」に包まれていた。

「ば……バカな……俺たちの精鋭部隊が、たった数分で……」

生き残ったのは、両足を吹き飛ばされて這いずり回る親玉の男だけだった。

龍魔呂は赤熱したサブマシンガンの銃口から細い煙を上げながら、ゆっくりと親玉を見下ろす。

「掟……その五……いや。てめぇは殺す」

完全なるDEATH4(死神)の顔で、引き金に指をかけたその時だった。

ゴゴゴゴゴゴ……ッ!!

廃教会の地下から、先ほどの重武装兵たちとは比べ物にならない、圧倒的で邪悪な魔力反応が膨れ上がった。

「ヒ、ヒャハハハ! 殺してみろ! 地下に隠しておいた『古代の巨魔獣』の封印を今解いた! てめぇもこの村も、全部終わりだァ!!」

床が崩落し、中からビルほどの高さを持つ、おぞましい魔獣がその巨体を現した。

だが。

見上げるほどの魔獣を前にしても、龍魔呂の瞳は一切の揺らぎを見せなかった。

「……ガジェット」

『アイアイサー! お待ちかねの【特大のオモチャ】、射出準備完了だぜ!!』

次元の裂け目が、さらに大きく、空を覆い尽くすほどに広がり始める——。