作品タイトル不明
EP 4
究極のNTR(メロンによる寝取り)と、沈黙の家
権田農場の母屋は、まるで墓場のように静まり返っていた。
スタスタスタ……。
廊下の右側から、農作業着姿の源蔵が歩いてくる。
スタスタスタ……。
廊下の左側から、エプロン姿の恵が歩いてくる。
すれ違う二人。
……言葉はない。目線すら、一ミリも交わらない。
かつては「おはよう」「今日も頑張ろうな」と笑い合っていた夫婦が、互いを「すれ違う空気」程度にしか認識していなかった。
ガラッ。ピシャッ!
二人は無言のまま玄関を出て、源蔵は『第一温室』へ、恵は『第二温室』へと、吸い込まれるように消えていった。
【神界セレスティア —— 女神のコタツ部屋】
『ヒィィィッ……! こわっ! 今のすれ違い、温度が絶対零度だったわよ!』
画面の前で、ルチアナがスルメをポロリと落として身震いした。
『物理的な距離は数センチでしたのに、心の距離は銀河系の端と端ほど離れていましたわね。これぞまさに究極の 冷戦(コールドウォー) ……ですが、彼らの向かう先は灼熱の 熱帯(キャバクラ) ですわ』
カグヤが扇子をパチンと閉じ、ニヤリと笑う。
モニターの画面が分割され、第一温室と第二温室の内部が同時に映し出された。
そこには、神々すらドン引きする『異種間・昼ドラNTR(寝取り)劇』が繰り広げられていた。
『キャアアアアッ! え、えっちすぎますぅぅ!!』
画面の端(コメント欄)に、ファミレスのフリーWi-Fiから接続している見習い女神・リリスの赤いスパチャが飛ぶ。彼女は指の隙間から画面をガン見しながら、興奮で鼻息を荒くしていた。
【地上 —— 権田農場・第一温室】
「メ、メロ美……! 今日も君の 網目(ドレス) は最高に美しいよ……!」
『……ふふっ、源蔵さん。嬉しいわ』
ぽよん、ぽよん。
完熟期を迎えたメロ美の果肉が、源蔵の視線を釘付けにするように魅惑的に揺れる。
『ねぇ……さっき、奥さんとすれ違ったんでしょ? ちゃんと、奥さんのことも愛してあげなきゃダメよ?』
しゅるり……と、メロ美の 蔓(ツル) が源蔵の首元に絡みつき、ネクタイを直すように優しく撫でた。あからさまなマウント行為である。
「関係ない! 俺にはお前だけだ! あいつはただの同居人……いや、戸籍上のシステムに過ぎない! 俺の心は、お前という極上の果実に囚われているんだ!」
源蔵は血走った目で叫び、タローマンで買ってきた【高純度・陽薬水(金貨3枚)】を、ドボドボと土に注ぎ込み始めた。
【地上 —— 権田農場・第二温室】
「あぁっ……メロ彦……!」
同じ頃、第二温室では妻の恵が、プリンス・メロ彦の強靭な 蔓(ツル) によって、温室のガラス壁にドンッ!と押し付けられていた(※蔓ドン)。
『恵……。君からは、昨日食べた安物のカップ麺の匂いがするね』
「ご、ごめんなさい……! 料理をする気力すらなくて……」
『謝らなくていい。君の夫は、君のそんなSOSにすら気づかない愚か者だ。……俺の甘い香りで、君の安い匂いを全て上書き(オーバーライト)してあげるよ』
「メ、メロ彦ぉぉぉっ!! 好きっ、抱いてっ!!(※物理的に蔓で抱き締められている)」
恵は涙を流しながら、メロ彦の丸い果実に頬ずりし、完全に女の顔になっていた。
【神界セレスティア —— 配信コメント欄】
『権田夫妻、メロンに寝取られるwwww』
『あのメロン、人生クラッシャーすぎんだろwww』
『互いに不倫相手が【果物】ってどういう状況だよww』
『源蔵、それドンペリ(金貨3枚)やぞ! 家の貯金尽きるぞ!』
『メロ彦のイケボで俺も抱かれたくなってきた(男・25歳・農家)』
コメント欄の滝のようなスクロールが止まらない。
同接は瞬く間に20万人を突破し、神界のみならず、魔界の魔王ラスティアや、獣人王国の兵士たちまでが仕事をサボってこの『泥沼不倫劇』に釘付けになっていた。
『さぁ、視聴者の皆さん!』
ルチアナがマイク(エンジェルすまーとふぉん)を握りしめ、実況のボルテージを上げる。
『狂気に拍車がかかってまいりました! 互いへの関心を完全に失い、メロンへの貢ぎ(水やり)に全財産とエネルギーを注ぎ込む権田夫妻! 果たして彼らの「生活」はどこまで底辺へと堕ちていくのか!? 次回、伝説のディナータイムをお見逃しなく!』
ルチアナの煽り文句と共に、画面は再びフェードアウトしていく。
誰もが予想だにしなかった「究極の 食卓(ディナー) 」が、すぐそこまで迫っていた。