軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 6

【添削】キャラ被りは即合併、恐怖の雷土魔将軍ドスンダ

創造世界『エターナル』、カイト農場エターナル支部(旧テンプレッタ村)。

炎魔将軍グレンによる完璧な焼き畑農業によって、地熱と栄養を蓄えた極上の大地が広がっていた。カイトの指導のもと、勇者ユートが「ふんっ! はっ!」と規則正しくクワを振るっていた、その時。

突如として空が真っ黒な雲に覆われ、激しい雷光が大地を打った。

「フハハハハ! 焼き畑農業に寝返ったかグレン! 魔王軍の面汚しめ!」

バリバリと音を立てる紫の電撃を全身に纏い、二振りの細剣を構えた男――雷魔将軍サンダが、稲妻と共に舞い降りた。

さらにその直後、ズドォォォン!と地響きを立てて、巨大なハンマーを担いだ大柄な男――土魔将軍ドスンが地中から飛び出してきた。

「裏切り者は生かしておけないドス! 覚悟するドス!」

魔王軍四天王が同時に二人生身で襲来するという、RPGなら中盤のクライマックスシーン。

だが、畑の 畝(うね) の長さをメジャーで測っていたカイトは、振り返りもせず、心底めんどくさそうに溜息をついた。

「ああ、もう良い、もう良いよ……! ドスドス煩いんだよ!」

「なっ、何だとドス!?」

「貴様、魔王軍四天王を前にしてその態度は――」

カイトはメジャーをシュルシュルと巻き取ると、懐から『極太の赤ペン』を抜き払い、二人の顔面に突きつけた。

「いいかお前ら! 読者のリソース(記憶力)を舐めるな! 幹部キャラが多すぎるんだよ! サンダお前はただの『雷の双剣使い』で特徴が薄いし、ドスンお前は『~ドス』って語尾つければキャラが立つと思ってんじゃねえ! そもそもこの世界の設定予算は100万ゴールドなんだぞ! 敵キャラに割くリソースはもう残ってねえんだ!」

「よ、予算の話を我々にされてもドス……!」

「それに俺の『雷』とコイツの『土』は属性が全然違う!」

「うるさい! Web小説の基本は『キャラの削減と効率化』だ! 似たような二番手・三番手の幹部は、一人の強敵にまとめた方が打率が上がるんだよ! おいリリス、スマホのステータス変更アプリ起動しろ!」

コタツの代わりに切り株に座り、天界ネットスーパーで買った『雷おこし』をモグモグ食べていたリリスが、「はーいですぅ!」とエンジェルすまーとふぉんをタップした。

「『キャラクター統合機能』、1回10万ゴールド決済……って、あぁ!? ルチアナ先輩のゴールド上限がまた減っちゃいましたぁ!」

「何をする気ドス!?」

「待て、身体が、身体が勝手に引き寄せられる――!?」

カイトが赤ペンで空間に大きな円を描くと、サンダとドスンの肉体が目に見えるほどの引力で激突した。

二人の叫び声が重なり、紫の雷と茶色い土煙が渦巻く。

「「フュージョン・バグッ!!!(強制改変)」」

光が収まったそこには、一人の『異形』が立っていた。

右半分はスタイリッシュな細剣を持つイケメン(サンダ)、左半分は巨大なハンマーを持つ筋骨隆々の 大男(ドスン) 。まるで設定画のレイヤーを無理やり重ねたような、アイデンティティ完全崩壊ビジュアル。

「あ……頭が二つあるドスサンダ……?」

「俺の右腕が細いのに左腕が丸太みたいだサンダ……!」

「よし、名前は『雷土魔将軍 ドスンダ』だ。語尾は『ドスンダ』で統一な」

カイトが赤ペンで『ハナマル』を書き込む。

「そんな無茶苦茶なドスンダ!!」と、新星ドスンだが絶叫した。

「四の五の言うな! ほら、その右手の双剣で畑の雑草を高速で刈り取って、左手のハンマーで土の塊を細かく粉砕(代かき)しろ!」

カイトがドスンダの背中を蹴り飛ばす。

「ふざけるな! 我らは魔王軍――う、うおおお!?」

ドスンだの身体に流れる『 雷(サンダ) 』のスピードと、『 土(ドスン) 』の大地同調能力が、カイトの農業バフによって奇跡のシナジーを生み出した。

右手の双剣が超高周波の雷を帯びて草刈機のように回転し、左手のハンマーがアースクエイクを起こして硬い土を一瞬でフカフカのパウダー状に変えていく。

バリバリバリ! ズドズドズドッ!!

「な、何だこの圧倒的な馬力は……!? まるで天界の超高級トラクター(耕運機)並みのスピードドスンダ!!」

あまりの農作業効率の高さに、リリスが雷おこしを喉に詰まらせそうになる。

「ははは! 気持ちいいドスンダ! 雷の速度で土が細かくなっていくサンダドス!」

「俺たち、最初からこうして二人で一つ(トラクター)になるべきだったんだドスンダァァァ!!」

脳内に溢れ出る「土いじりの快感」と、二つの人格が混ざり合う狂気により、ドスンダは涙を流しながら笑い、時速150キロで広大な荒れ地を完璧な農地に変え、畝を真っ直ぐに作り上げていく。

「ふっ、いい動きだドスンダ。お前は今日から『カイト農場・大型電動耕運機(四天王)』だ。しっかり働けよ」

「はいドスンダァァァッ!!(バリバリズドン!)」

こうして、魔王軍の幹部二人は、カイトの容赦ない「キャラリストラ(統合)」によって、アイデンティティと引き換えに最強の農業用重機へと生まれ変わったのであった。