軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 8

【科学】狂気のガジェット、農業トラクターを作る

ポポロ村、カイト農場。

今日のカイトは、親友である鬼神 龍魔呂を畑に招き、次に育てる新作物の打ち合わせをしていた。

「たつまろ、この新種の『爆裂大根』だが、火を通すと文字通り爆発する。どう調理する?」

「……問題ない。爆風の威力を俺の『化勁』で殺し、おでんの出汁に強制変換する」

世界一物騒な農民と料理人が、平和な青空の下で真剣に語り合っていると、横で麦茶を飲んでいたリリスが空を指差した。

「ふぇ? カイトさぁん、空に真っ黒なジッパーみたいなのが開いてますぅ」

リリスが指差した上空。空間そのものが物理的に「バリバリッ!」と引き裂かれ、次元の裂け目が現れた。

そこから飛び出してきたのは、白衣を着た三白眼の痩せこけた男だった。

「ヒャハハハハ! 次元座標、特定完了! 探しましたよぉぉ、我が崇拝する究極の死神、DEATH4様ァァ!」

「……チッ。面倒な奴が来やがった」

龍魔呂が、忌々しそうにマルボロを噛み潰す。

白衣の男は、龍魔呂の足元にスライディング土下座を決めた。

「お久しぶりですDEATH4様! 貴方様の専属メカニックにして狂信者、このガジェット、次元の壁を越えて馳せ参じました! さあ、再び共に世界を血で染め――」

ガジェットが顔を上げると、そこには【牛刀】ではなく、泥だらけの【大根】を真剣な目で品定めする龍魔呂の姿があった。

「……え? DEATH4様……? なぜ、大根を……?」

「……俺は今、料理人だ。そして、ここの農場主は俺の親友だ。荒らすなら、その首を物理的に次元の彼方へ飛ばすぞ」

龍魔呂の背後から、ボワァッと【赤黒い闘気】が漏れ出す。

普通なら恐怖で失神する場面だが、ガジェットの脳回路(狂信者モード)は違った。

「はっ……!! なるほど、理解しましたァァ!! この極限のオーラを放つ『大根』……。DEATH4様は、暗殺の技術を『農業』という新たなフェーズへと昇華させたのですね!? 素晴らしい、素晴らしすぎます!!」

「……話が通じねえな」

龍魔呂が角砂糖をかじって溜息をつく。

「ならば! 貴方様の偉大なる農業(という名の破壊活動)を支援するため、私からの貢物を献上いたしましょう! 出でよ、【人型機神ラビーク(農業用トラクター換装型)】!!」

ガジェットがリモコンのボタンを押すと、上空の次元の裂け目から、巨大な鉄の塊が降ってきた。

ズドォォォォォンッ!!

大地を揺らして着地したのは、全高20メートル、伝説の超硬度金属「ヒイロガネ」で作られた漆黒の巨大ロボットだった。

「アバババババ!! 完全にファンタジーの世界観壊れるぅぅ!!」

リリスが絶叫する。

しかし、カイトの目は少年のようにキラキラと輝いていた。

「お、おいガジェット! こいつ、背中に付いてるのは……超大型の『ロータリー(耕耘機)』か!?」

「ヒャハハハ! ご名答! 両腕にはチタン製の『種まきバズーカ』、胸部からは毎分10万リットルの『スプリンクラー・レーザー』を射出可能です!」

「すげぇ!! ポチ(古代地獄竜)に次ぐ、完璧な農機具じゃねえか!!」

カイトは麦わら帽子を飛ばしながら、驚異的な身体能力でラビークのコックピットへと跳躍した。

「よし、動かすぞ! S級農業スキル:【 機械化同調(ライド・オン) 】!!」

カイトの農業への情熱(魔力)が機体に注ぎ込まれると、漆黒のロボットの目が「農作業モードの緑色」にピコン!と発光した。

「行けぇぇぇ! ラビーク! 100ヘクタールの畑を一気に耕せ!!」

ギュイィィィィィンッ!!!

凄まじい轟音と共に、機神ラビークが畑を超高速で疾走する。

背中の超絶破壊ロータリーが、大地の岩盤ごと粉砕し、最高級の「ふかふかの土」へと変えていく。

両腕のバズーカからはガトリング砲のような勢いで種が精密射撃され、胸部からは虹色の水流レーザーが完璧な水量で散布されていく。

「ヒャハハハ! 見ましたかDEATH4様! 世界を滅ぼす機神が、見事にキャベツを植えていますよ!!」

ガジェットが歓喜の涙を流す。

「……カイトの奴、また変なオモチャを手に入れやがって。だが……土の仕上がりは悪くないな」

龍魔呂も、ふかふかに耕された畑の土を指でつまみ、満足げに頷いた。

「ふぇぇぇ……。もうこの村、魔王軍が束になっても勝てないんじゃないですかね……」

リリスが遠い目で、ロボットが耕した後の畑にペタンと座り込む。

こうして、カイト農場には『古代地獄竜』に続き、『超硬度ロボット(トラクター)』という、オーバーテクノロジーの極みのような農機具が導入されたのである。

圧倒的な生産力を得たカイト農場は、いよいよ次元の壁すら超える大豊作の時代へと突入していくのであった。