軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 7

【取立】ニャングル再登場と、天から降り注ぐ10トンの「黄金(肥料)」

カイト農場の第4エリア(旧ルナミスパーラー跡地)。

軽トラの導入により作業効率が劇的に向上したカイトは、上機嫌で『太陽芋』の箱詰め作業を行っていた。

一方、助手席で「カロリー(燃費)」を供給し続ける係のリリスは、すでに特大おにぎりを10個平らげ、腹鼓を打っていた。

「むにゃむにゃ……カイトさぁん、もう食べられませんぅ。燃費満タンですぅ……」

「よし! その調子でしっかり太れよ、俺の愛車(軽トラ)のために!」

ヒロインにかける言葉としては最低のセリフをカイトが吐いた、その時だった。

「チッチッチッ。ずいぶんと景気がええやないか、カイトはん」

畑の入り口から、下品な金ピカのスーツを着た猫の獣人が、葉巻をくわえながら歩いてきた。

かつてパチンコ店でカイトたちに全てを更地にされたゴルド商会の悪徳商人、ニャングルである。彼は今、仮設のテントを拠点に「ヤミ金業」で再起を図っていた。

「ニャングル……。お前、まだこの村にいたのか。何の用だ」

カイトが警戒してクワを構えるが、ニャングルはいやらしい笑みを浮かべ、一枚の羊皮紙を取り出した。

「ワイは今、天界の『オリンパス・プラチナ・デッドマスター』の地上取り立て業務を委託されとるんや。そこのジャージのねーちゃん(リリス)のカード、先月の利息は太陽芋で払ってもろたが、**『利息に対する利息』と『訪問手数料』**がまだ未払いやで?」

「ふぇっ!? 利息の利息!?」

助手席からリリスが顔を出す。

「せや。合計で『10万ポポロゴールド』や。今すぐ払えんかったら、ワイの後ろにある『どこでもドナドナ・スーツケース(手動版)』に詰めて、マグローザ漁船に直行してもらうで!」

ニャングルが指差した先には、禍々しいオーラを放つスーツケースが口を開けて待っていた。

「アバババババッ! 嫌ですぅ! まだおやつの時間前なのに、マグロ漁船なんて嫌ですぅぅ!!」

リリスはパニックになり、ジャージのポケットから『エンジェルすまーとふぉん』を取り出した。

「カイトさぁん! 今すぐカイトさんの売上から10万ゴールド払ってください! 私のアプリで送金しますぅ!」

「バカ言え! 今手元にそんな現金あるわけないだろ!」

「ふぇぇぇ! じゃあ、じゃあ何か『価値のあるもの』を天界からお取り寄せして、それで手を打ってもらいますぅ!」

リリスは震える指で、エンジェルすまーとふぉんの検索窓に文字を打ち込み始めた。

支払いに使えるような『 黄金(ゴールド) 』を検索しようとしたのだ。

「えーっと、『おうごん』を検索して……ぽちっとな!」

『ピピッ。エラー:リリス様の検索履歴(農業関連)が影響し、サジェスト機能が作動しました。【 黄金(おうごん) 】を【黄金の土(最高級・牛糞発酵肥料)】に自動変換して決済します』

「……アババッ!?」

『決済完了。10トンの【黄金の土】を、 対象者(ニャングル) の頭上に直接転送します』

「は? 牛糞……? なんやそ――」

ニャングルが空を見上げた瞬間。

彼と、彼の仮設テント、そして忌まわしきスーツケースの真上から、巨大な魔法陣が出現した。

ドッッッバァァァァァァァァァァァァンッ!!!!

それはまさに、文字通りの「クソ展開」であった。

天界の特別な魔法牛から採取され、完璧なバランスで発酵熟成された「10トンの最高級肥料」が、濁流となってニャングルたちを完全に飲み込んだのである。

「ギャァァァァァァッ!! ワイの……ワイの金ピカスーツがァァァ!! 臭い! 臭すぎるでぇぇぇ!!」

肥料の山の中から、茶色く染まったニャングルが涙と鼻水を垂らしながら這い出してきた。スーツケースもテントも、完全に肥料の海に沈没している。

「あわわわ……! ご、ごめんなさい! 間違えましたぁぁ!」

リリスが頭を抱えてしゃがみ込む。また借金を増やしてしまい、カイトに怒られると覚悟したのだ。

しかし。

「おおお……! おおおおおッ!!」

カイトは怒るどころか、目を輝かせながら「10トンの肥料の山」に駆け寄り、その臭いを深く吸い込んだ。

「素晴らしい! なんて完璧な発酵具合だ! これだけの量の最高級肥料があれば、第5エリアの土壌改良が一瞬で終わるぞ!! リリス、お前……天才か!?」

「ふぇ? 怒らないんですか?」

「怒るわけないだろ! これは金以上の価値がある! よくやった、リリス!」

カイトは歓喜のあまり、泥(肥料)だらけの手でリリスの頭をポンポンと撫でた。

「えへへ……♡ 褒められちゃいましたぁ!」

リリスは嬉しそうに目を細め、カンペの『(ここで照れ笑いをする)』の通りに微笑んだ。

一方のニャングルは、悪臭に耐えきれず白目を剥いていた。

「あ、アカン……。こんな臭い状態じゃ、取り立てもできへん……。覚えとけよォォォ!」

ニャングルは捨てゼリフを吐きながら、ポポロ村の彼方へと逃げ去っていった。

『警告:【黄金の土(10トン)】の購入により、借金残高がさらに50万円増加しました』

無慈悲なシステム音声が鳴り響いたが、最高級肥料と軽トラを手に入れたカイトにとっては、もはや些細な問題(?)であった。

リリスのポンコツっぷりは、確実にポポロ村の農業を(斜め上の方向に)発展させているのである。