軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 4

【詐欺】ルチアナ先輩と悪魔の「ポイント倍増キャンペーン」

カイト農場の休憩スペース。

S級農民のカイトが、昨日の『マッチョ人参』の被害額を計算して頭を抱えている横で、見習い女神のリリスは、特大のすり鉢に山盛りにされたご飯を無心でかき込んでいた。

「はぐ、むぐ……ぷはぁっ! カイトさん、おかわりですぅ! 労働の後のご飯は最高ですね!」

「お前、さっきから食ってばかりで全然働いてないだろ! どんだけ食費で借金増やす気だ!」

カイトがツッコミを入れたその時。

農場の入り口から、優雅な足取りで近づいてくる一つの影があった。

「ごきげんよう、カイト。そして私の可愛い後輩、リリス。今日も精が出ますわね」

現れたのは、ポポロ村が誇る(?)永遠の17歳こと、女神ルチアナであった。

美しい純白のドレスを身に纏っているが、その手にはなぜか『ルナミスパーラーの景品袋(大量のタバコと栄養ドリンク入り)』が握られている。

「ル、ルチアナ先輩……!!」

リリスはすり鉢を放り投げ、マッハの速度でルチアナにすがりついた。

「先輩! このカード、お返ししますぅ! ふぇぇぇん! 昨日の夜、空からスーツケースが降ってきて、私、危なくマグローザ漁船で遠洋漁業させられるところだったんですよぉ!」

リリスは涙とご飯粒で顔をグシャグシャにしながら、憎き【オリンパス・プラチナ・デッドマスター】をルチアナに押し付けようとした。

「……あらあら。マグローザ漁船なんて、若い頃の良い経験になりますのに」

「ならてめぇが行け!! つーかお前がパチンコで作った借金だろ!」

カイトがクワを構えて怒鳴るが、ルチアナは涼しい顔で扇子を広げた。

「人聞きの悪いことを言わないでくださいな。これは後輩への『投資』ですわ。……それにリリス? あなた、今このカードを手放すなんて、本当に『もったいない』ですわよ?」

ルチアナは、悪魔のように甘い声でリリスの耳元に囁いた。

「も、もったいない……?」

「ええ。実は今、天界カードの【春のポイント倍増・大還元キャンペーン】の真っ最中なんですの」

「ポイント、ばいぞう……?」

リリスのウサギのような耳がピクッと動いた。

「そうですわ。使えば使うほど(=借金が増えるほど)、ザクザクとポイントが貯まる魔法の期間。……ちなみに、あと1万ポイント貯めれば、なんと『天界特製・みたらし団子(業務用500本入り)』と交換できますのよ?」

「ご、ごひゃくほん!!」

リリスの瞳が、一瞬で「$」ならぬ「団子」の形に変わった。

チョロい。あまりにもチョロすぎる。

「お前、騙されるな! そいつは自分がパチンコを打ちたいがために適当な嘘を……!」

「(カンペを勢いよくめくり)……先輩! 私、一生ついていきますぅ!!」

リリスはカイトの制止を完全に無視し、カンペの『(忠誠を誓う)』のページを読み上げながら、カードを自分のジャージのポケットに大切にしまい直してしまった。

「フフフ、素直で良い子ですわ。……じゃあ、せっかくポイントが倍増していることですし、先輩が少しだけ『お手伝い』してあげますわね」

ルチアナはリリスのポケットから『エンジェルすまーとふぉん』をスッと抜き取ると、手慣れた手つきで画面をフリックした。

「えーっと、『朝倉月人くん・プレミアム投げ銭チケット(10万円分)』を……購入、と」

『ピピッ。決済が完了しました。リリス様の借金残高がさらに増加しました』

『警告:次回のドナドナ・シークエンスのスーツケースが【特大サイズ】にアップグレードされました』

無慈悲なシステム音声が鳴り響く。

「はい、これでリリスのポイントがまた貯まりましたわよ。感謝なさい」

「わぁぁい! 先輩ありがとうございますぅ! 団子! 団子ぉ!」

「お前らいい加減にしろォォォ!!」

カイトの怒りのクワがルチアナの脳天に向かって振り下ろされるが、ルチアナはヒラリと躱した。

「おっと。今日のところはこれで失礼しますわ。また集金……いえ、ポイントを貯めに来てあげますわね! オホホホホ!」

ルチアナは高笑いを残し、パチンコ店(ルナミスパーラー跡地の仮設テント)の方向へと消えていった。

「……あいつ、マジで一度マグロ漁船に乗せたほうがいいんじゃないか」

カイトはワナワナと震えながら、完全に騙されて「団子ぉ♡」と幸せそうに笑っているリリスを見た。

「カイトさぁん! ポイントを貯めるために、もっといっぱい決済しましょうよぉ!」

「これ以上借金増やしてどうする!! 今日はもう絶対おやつ抜きだ!!」

「アバババババババ!! どうしてですかぁぁ!!」

クズすぎる先輩の巧みな話術により、リリスの借金地獄はさらに深く、絶望的なものへとアップデートされてしまったのである。