作品タイトル不明
EP 9
【暴走】激詰めされるルナミスパーラー
夜の22時。
ルナミスパーラー・ポポロ支店のバックヤード(店長室)では、村の財務担当・ニャングルと店長(ルナミス役人)が、ドンペリのグラスを傾けながら下品な笑い声を上げていた。
「ガハハハハ! 見ぃやこの売上グラフ! 完全に天を突き抜けとるで!」
「ニャングル様、天才です! あの女たち、ドワーフ闇金で借りた金貨を、そのまま当店のサンドに全ツッパしております! もはや村の経済は完全に我々の支配下です!」
ニャングルは黄金の算盤を愛おしそうに撫で回した。
「せやろ? どんな強い魔法や武術を持っとっても、結局『依存症』には勝てへんのや! この調子でいけば、明後日にはポポロ村の土地の権利書ごと、ワイらのモンやで!」
勝利の美酒に酔いしれる悪徳商人たち。
しかし、彼らはまだ気づいていなかった。パチンカスからすべてを奪い、逃げ道を無くした時……残された手段は「物理的な暴動」しかないという、歴史の真理に。
――ピタッ。
突然、パチンコ店内のBGMと眩いネオンサインが、一斉にシャットダウンした。
無音に包まれる店内。非常口の薄暗い緑色のランプだけが、不気味に点滅している。
「な、なんや!? 停電か!?」
ニャングルが葉巻を落とし、慌てて立ち上がる。
「て、店長ォォォ!!」
無線機から、ホールスタッフの悲痛な絶叫が飛び込んできた。
「どないしたんや! 早く自家発電を回さかい……」
『ひぃぃぃ! 外です! 外を……化け物(客)たちが包囲していますゥゥゥ!!』
ズドォォォォォォォォンッ!!!
その報告と同時に、ルナミスパーラーの堅牢な正面ガラス扉が、一撃で木端微塵に粉砕された。
粉々になった強化ガラスの雨が降り注ぐ中、ホールにゆっくりと踏み込んでくる5つの影。
「……マスターが、悲しんでいたわ」
先頭に立つ月兎族の村長・キャルルが、両手に握ったダブルトンファーに、バチバチと紫電を纏わせながら低く呟いた。
その瞳には、もはやウサギの愛らしさは微塵もなく、修羅の殺意が宿っている。
「マスターを悲しませた元凶は、すべて排除します……! それが、マスターを愛する私たちの使命……!」
「そうですわ。あの店の遠隔操作と釘のシブさが、私たちのポートフォリオを破壊し、結果的にマスターの心を痛めつけた……! これは極めて論理的かつ、ロウバストな防衛権の行使ですわ!」
首席国際法務官の桜田リベラが、完全に狂った法解釈(逆恨み)を堂々と宣言する。
「その通りよォ! 私が作った 神(ガオガオン) の激アツリーチを95%で外すなんて、世界に対する冒涜よ! あんたたち、神の怒り(大ハマりの恨み)を思い知りなさい!」
「アバロン魔皇国の国家予算を返せェェ! 朝倉月人くんのコラボ台で、単発しか出ないなんて絶対に許さないわよォォ!」
ルチアナとラスティアが、それぞれ神気と魔力を極限まで解放し、パチンコ店の天井がその圧力でメキメキとひび割れ始めた。
「えへへぇ♡ 私の年金(純金)、全部吸い取られちゃいましたぁ♡ だから、このお店ごと『ただの石ころ』に変えちゃいますねぇ♡」
ルナ・シンフォニアが、100%の善意と笑顔で、世界樹の杖を構える。
もはや「マスター(龍魔呂)のため」という大義名分は完全に消え失せ、単なる**「パチンコで負けた腹いせ」と「借金を踏み倒すための証拠隠滅」**へとシフトしていた。
「な、ななな……なんやお前らァァァ!!」
バックヤードから飛び出してきたニャングルは、最強ヒロインたちの圧倒的なオーラ(と理不尽なキレ方)に腰を抜かした。
「ま、待てや! ワイらは何も悪いことしてへんで! 釘もちゃんとボーダーギリギリで調整したし、遠隔なんて一回もやってへん! お前らが勝手に熱くなって、ヤミ金で金借りて突っ込んだんやろがい!!」
正論である。このパチンコ騒動において、ニャングルが商売の 倫理(グレーゾーン) は突いたにせよ、嘘は一切ついていない。
「うるさーい!!」
キャルルが、マッハの速度で踏み込み、ニャングルの足元のアスファルトを蹴り砕いた。
「借金まみれで、クマを作って、ボロボロになった私たちを見て……マスターは悲しそうな顔をしたのよ!! マスターの 龍儀(ルール) に反するこの店は、ポポロ村には必要ありません!!」
「そうよ! 私たちの美しい肌(と国庫)を返せェェ!」
もはや対話の余地はゼロであった。
ヒロインたちの背後に、それぞれの大技の予兆――『紫電の雷竜』『超巨大な火炎龍』『次元を飲み込むブラックホール』が、かつてない規模で顕現し始める。
「あ、あかん……! これ、マジで店ごと村から消し飛ぶヤツや……! 誰か! 誰かカイトはんを呼んできてェェェ!」
ニャングルの悲鳴が、チャージされる絶大な魔力の轟音に掻き消されていく。
すべてを終わらせる(借金をチャラにする)ための、理不尽極まりない一撃が、ルナミスパーラーに叩き込まれようとしていた。