軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二十四章 ポポロ村・狂乱のパチンコ&ホスト編

【誘致】ポポロ村にパチンコ店がやってきた!

「……ちゅうわけでな! 豊かな村には『娯楽』が不可欠なんや! 毎日毎日、草むしりばっかりやと、心も体もカサカサになってまうで?」

ポポロ村の集会所。

村の財務担当である猫耳商人のニャングルが、黒板をバンバンと叩きながら熱弁を振るっていた。

黒板には、デカデカと『ルナミスパーラー・ポポロ支店 誘致計画(※税収アップ間違いなし!)』と書かれている。

「ルナミス帝国で大流行中の最新アミューズメント施設! これさえあれば、村人たちのストレス解消になるし、他国からの観光客も呼べて村もガッポリ潤う! ええ事ずくめやないか!」

ニャングルは黄金の算盤を弾きながら、ニチャァ……とゲスい笑みを浮かべた。

(へっへっへ……建前は娯楽やが、本音はポポロ村の連中が農作業で貯め込んだ『 PG(ポポロゴールド) 』を、ワイの懐に全額回収する最強の集金システムや!)

「うーん……娯楽かぁ。カイトさんはどう思います?」

村長のキャルルが、隣に座るS級農民に尋ねた。

「僕はみんなが楽しく農作業できるなら、何でもいいと思うよ。たまには息抜きも必要だしね」

カイトは、泥だらけの麦わら帽子を直しながら、一切の裏を読まずにニコニコと賛同した。

これに誰よりも早く、そして激しく食いついた者たちがいた。

「大賛成よォォォ!!」

ジャージ姿の女神ルチアナが、机を叩いて立ち上がった。

「最近、月人くんのソシャゲのガチャ運が悪すぎてストレス溜まってたのよ! 脳汁ドバドバ出る刺激が欲しかったところなの!!」

「フッ……悪くない提案だ」

魔族の貴公子ルーベンスも、珈琲を啜りながらインテリぶって眼鏡を押し上げる。

「ルナミス帝国の競馬場まで通うのは、交通費(魔力)のコスパが悪かったからな。村内にギャンブル……いや、確率統計学の研究施設ができるのは大歓迎だ」

「おうおう! 俺のヒモニート生活にも、ついに本物の『シノギ(遊び場)』がやってくるってわけだな! 賛成に決まってんだろ!」

アロハシャツを着た狼王フェンリルが、テンションMAXで吠えた。

「よっしゃ! ほな、賛成多数で可決やな! 工事はワイの手配したドワーフの土建屋に任せとき!」

こうして、ポポロ村の真ん中に、資本主義のバグにして欲望のブラックホールである『ルナミスパーラー・ポポロ支店』の建設が決定した。

これが後に、村の第一産業(農業)を完全に崩壊させる引き金になるとは、この時のカイトは夢にも思っていなかったのである。

数週間後。

ルナミスパーラー・ポポロ支店、グランドオープン当日。

時刻は、早朝の午前6時。開店の4時間前である。

「……チッ。今日の『CR異世界転生トラックでドン!』の釘、どう調整してきやがったか。新装開店だからって、店長(ルナミス役人)が日和ってなきゃいいがな」

冷え込む早朝の空気の中。

店の入り口に置かれたパイプ椅子に深く腰掛け、魔導競馬新聞を険しい顔で睨みつけている男がいた。

インテリ魔族・ルーベンスである。

彼の右足は、マッハの速度で貧乏ゆすりをしており、口にくわえたポポロシガーから紫煙をモクモクと吐き出している。もはや貴公子の面影など微塵もなく、完全に仕上がった「駅前のパチンカスのおっさん」であった。

「ヘッ、新台初日だぜ? ぶっこ抜くに決まってんだろ。俺の【氷狼の勘】が、今日は 角台(かどだい) に座れって囁いてるぜ」

ルーベンスの隣のパイプ椅子では、狼王フェンリルが缶コーヒーを片手に、こちらも猛烈な貧乏ゆすりをしていた。

舎弟(ナンパした女)から巻き上げた軍資金が詰まった財布を、チャックを開けたり閉めたりと無意味にいじり続けている。これも立派な依存症の初期症状である。

「お前ら、早いな」

「おう。当然だろ。整理券は1番と2番をもらったぜ」

神話級の力を持つ魔族と獣王が、早朝からパイプ椅子に並んで開店を待っている。

世界を滅ぼせる力を持っていながら、彼らの今の最大の関心事は「いかに早く入店して、いかに良い台(ヘソ釘が開いている台)にタバコを投げ入れて場所取りするか」しかなかった。

ビーーーッ!!

午前10時。

ついに、ルナミスパーラーのシャッターが重々しい音を立てて上がり始めた。

眩いネオンの光と、軍艦マーチをさらにやかましく魔改造したような爆音が、外に溢れ出してくる。

「開いたぞォォォ!!」

「行くぜェ! 俺のシノギの時間だァァァ!!」

シャッターが半分も開かないうちに、ルーベンスとフェンリルが、ゴキブリのような這いつくばりダッシュで店内へと滑り込んだ。

神々すら狂わせる魔境、ルナミスパーラー・ポポロ支店。

ここに、欲望と銀玉が乱れ飛ぶ、地獄のパチンコ編が幕を開けたのである。