軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 9

【決戦】必殺! 聖獣剣一刀両断斬り!!

『ガオガオン、ここに降臨ッッ!!!』

カイトの(ストレスと怒りに満ちた)咆哮と共に、全高50メートルの聖獣機神ガオガオンが、カイト農場の大地にそびえ立った。

白虎の腕が、巨大死甲虫兵器の踏みつけをガシィッ!と受け止めている。

「バ、バカな……ッ! 我々死蟲軍の解析データに、このような『合体魔導兵器』の存在など……!」

巨大死甲虫兵器の 脳壁(ブリッジ) で、魔人ギアンが仮面の下で目を見開いた。

「チッ、イレギュラーが! 総員、攻撃を開始せよ! データの再解析を行う!」

ギアンの命令で、周囲の死蜂型が毒針ガトリングを、死蟻型が酸のオーラをガオガオンへ向けて一斉に放った。

『うわあああ! すっごい攻撃が来るよ!!』

コックピットのカイトが悲鳴を上げる。

「落ち着けコマンダー! 下半身(玄武)の力を借りるのだ! 『玄武シールド』を展開させろ!」

胸部のコアからガオンの声が響く。

『玄武! シールドだよ! 早くして!』

カイトが脳内で念じると、即座にメンヘラ亀の声が返ってきた。

『……えー、無理。朱雀がさっき青龍と目を合わせたから、私もう死にたい。シールドなんて張る気力ないもん……。このまま攻撃受けて、みんなで一緒にチリになろうよ……』

「戦闘中にメンヘラ起こすなぁぁぁ!!」

カイトのツッコミがコックピットに木霊する。

『玄武! お前のトマトへの愛はその程度か! このままじゃ、お前が愛する大地のトマトが、全部酸で溶けちゃうんだぞ!!』

『……ト、トマト? 私の愛する、トマト……? ……トマトをいじめる奴は、許さない……ッ!!』

『玄武シールドッッ!!!』

カイトの「トマト愛」への訴えが、玄武の病んだ心に火をつけた。

ガオガオンの下半身(玄武)から漆黒の重力波が放出され、死蜂型の毒針も死蟻型の酸も、全てがガオガオンに届く前に地面へと叩きつけられた。

「よし! 次は反撃だ! 右腕(青龍)のレーザーと、左腕(白虎)のドリルを使うぞ!」

『青龍! 白虎! やって!』

『了解(孫子兵法:不動如山)。……だが白虎、お前のドリルの回転数が朱雀の羽ばたきと同期していない。計算が狂う、やり直せ(方法序説)』

『うるさいインテリ竜! 俺は俺のソウル(武士道)でドリルを回すんだ! 朱雀殿! 俺の回る姿を見ていてください!!』

「腕の中で喧嘩するなァァァ!! 早く攻撃しろォォ!!」

『あはは、二人とも、私のために争わないで♡ 頑張った方に、後で特別なご褒美(念話の長電話)をあげるわ♡(悪の華)』

『『うおおおおおおッ!!! 朱雀殿(ちゃん) のためにィィッ!!!』』

『紅蓮青龍レーザーッ!!』 『白虎強力ドリル砕ッッ!!!』

朱雀の邪悪な鼓舞によって、青龍と白虎の連携(物理的痴話喧嘩)が炸裂。

青龍のレーザーが死甲虫兵器の装甲を焼き、白虎のドリルがそこに風穴を開けた。

「クッ……! ならば、機動力で翻弄してくれる!」

ギアンが死甲虫兵器を後退させ、上空の死蟷螂型を差し向ける。

「カイト! 背中(朱雀)の翼で空を飛べ! 一気に懐へ飛び込むのだ!」

『朱雀! 飛んで!』

『えー、飛ぶとお肌(装甲)が荒れるからヤダ。白虎に運ばせればいいじゃん』

「お前が飛ばなきゃ誰が飛ぶんだよ!! 背中だろ!!」

カイトの精神ゲージがゴリゴリと削られていく。

『カイト……お前のその、必死な顔……ゾクゾクするわ(失楽園)。……いいわ、私の華麗な舞い(飛行)を、世界中のリスナー(死蟲軍)に見せつけてあげる!」

『 朱雀紅蓮翼(ウイング) ッッ!!!』

朱雀が紅蓮の炎をはためかせ、ガオガオンが上空へと舞い上がった。

サークルクラッシャー特有の「注目されたい欲望」による超速飛行。

ガオガオンは死蟷螂型の超振動ブレードを紙一重で躱し、巨大死甲虫兵器の真上へと陣取った。

『……もう、いい。もう十分だ。……僕は、このドロドロの精神リンク(職場)から、一刻も早く解放されたい……ッッ!!!』

カイトの瞳が、涙とストレスでギラギラと輝いた。

世界を救う正義の心? そんなものはない。あるのは「早く帰って土をいじりたい」という、農民としての切実な願いだけだ。

「ガオン! 咆哮だ!! こいつらの雑念を全部かき消せ!!」

「承知ッッ!!! 雑念払拭(ストレス解消)ォォォッッ!!!」

『獅子の 大咆哮(ガイア・クラッシュ) ッッッ!!!!』

ガオガオンの胸のライオン(ガオン)が、この世の全ての愚痴と怒りを込めた超重低音の咆哮を放った。

死甲虫兵器の動きがピタリと止まり、同時にカイトの脳内を支配していた四神のドロドロした心の声も、物理的に(咆哮の音圧で)掻き消された。

『……静かだ。……今なら、束ねられる……ッ!』

カイトはコンソールのガオンマグナムを最大出力にセットした。

「四神たちよ! 痴話喧嘩は後だ! 今だけは僕に力を貸せ!! ……僕の、僕の精神衛生のためにィィッッ!!!『 聖獣剣(ゴッドブレード) 』ッッ!!!」

カイトの叫びに呼応し、ガオガオンの両腕(青龍・白虎)の間に、黄金に輝く巨大な剣が現れた。

創世の力を秘めた、究極の退魔剣。

カイトはゴッドブレードを天高く掲げ、四神の力を無理やり剣に集中させた。

朱雀の炎、青龍の雷、白虎の闘気、玄武の重力。

ドロドロの修羅場パワーが、カイトの「早く終わらせたい」という執念によって、一つの破壊衝動へと昇華される。

「バ、バカな……ッ! あの剣のエネルギー値は……死蟲王サルバロス様ですら……ッ!?」

ギアンが初めて絶望の声を上げた。

『食らえ害虫共ッ! これが……僕の……農民としての怒り(と、社内恋愛へのドン引き)だァァァッッ!!!』

カイトは、ゴッドブレードを巨大死甲虫兵器に向かって、力任せに振り下ろした。

「必殺ッッ!!! 『聖獣剣・一刀両断斬り(アース・リセット・スラッシュ)』ィィィィィッッッ!!!!!(と、俺の精神リンクを切れェェッ!!)」

黄金の光の刃が、天から地へとかけ抜けた。

――ズ、ザァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!

巨大死甲虫兵器は、魔人ギアンが脱出(死蝿型で逃走)する間もなく、その巨躯を真っ二つに両断された。

「……あ。……終わった?」

コックピットのカイトが、へたり込んだ、その直後。

ドゴォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

両断された巨大死甲虫兵器が、ロボットアニメのお約束として、背景で大爆発を起こした。

夕暮れの農場に、巨大なキノコ雲と「完」の文字が見えるかのような大団円の爆発。

『よし! よくやったコマンダー・カイト! これで世界は……』

『『『『合体解除コマンド、入力!!!』』』』

ガオンの言葉を遮り、カイトと、そしてドロドロの精神リンクに疲れた四神(朱雀、青龍、白虎、玄武)の声が、完璧に一致した。