軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 7

【召喚】ドロドロの四神、渋々降臨!

「来いッ! 四神たちよ!! 地獄の 合体(シフト) の時間だァァァァッ!!」

メカライオン・ガオンの悲痛な咆哮が天を衝いた。

その直後、分厚い雲が円形にパカリと割れ、神々しい四色の光の柱が、カイト農場の大地へと突き刺さった。

「な、なんだあの凄まじい神気は……!」

死蟲軍を率いる魔人ギアンが、巨大な死甲虫兵器の上で思わず身構える。

光の中から姿を現したのは、伝説に謳われる四柱の巨大な神獣たちだった。

「おおお! さすがは創世の英雄! 荘厳な姿だ!」

農民・カイトが感嘆の声を上げる。……が、その期待は次の瞬間に木っ端微塵に砕け散ることになる。

「ちょっとガオン! 何よ急に呼び出して! 私、今すごく『大事なところ』だったのに!」

紅蓮の炎を纏う美しい鳥――朱雀が、羽を乱しながら不満げに叫んだ。

そのすぐ隣で、蒼き鱗を持つインテリ眼鏡風の竜――青龍が、首元のネクタイ(装甲)をコソコソと直しながら咳払いをする。

「ゴホン。……『兵とは詭道なり(孫子)』。予期せぬ召喚もまた戦場なれど、朱雀と私は、決して『ラブホテル(天界の密室)』的な空間で休憩していたわけではない。……決して、な」

「青龍、お前自分から墓穴掘ってるぞ! バレバレの言い訳するな! 息ぴったりで現れやがって!!」

ガオンが吐血しそうな勢いでツッコミを入れる。

そこへ、猛烈な砂埃を上げて駆けつけてきたのは、白き巨虎――白虎だった。

「おおっ、朱雀殿!! こんなむさ苦しい戦場に呼び出されるとは、さぞ恐ろしかったでしょう! この白虎、命に代えても貴女をお守りしますぞ! 『武士道と云ふは、死ぬ事と見付けたり(葉隠)』!」

「あ、あら白虎。来てくれたのね。あなたのその真っ直ぐなところ、私嫌いじゃないわ♡(ウインク)」

朱雀が小悪魔全開の愛想笑いを振りまきながら、青龍の視界に入らない角度で白虎に擦り寄る。

「おい朱雀! お前さっきまで俺と……」

「しっ! 黙りなさい青龍! 『目的のためには手段を選ばない(君主論)』のよ! ここは白虎の武力を適当に利用して、私の負担を減らすの!」

「おのれこのサークルクラッシャー鳥がぁぁぁ!!」

ガオンが頭を抱えて地面を転げ回る。

そして、そのドロドロの修羅場の端っこで。

ズゥゥゥゥン……と、周囲の重力(空気)を物理的にも精神的にも極限まで重くしている亀――玄武が、どんよりとした目で呟いていた。

「……恥の多い生涯を送って来ました。私には、人間の、いや神獣の生活というものが、見当つかないのです(人間失格)」

「出たよ玄武の『人間失格』モード! 戦闘前にメンヘラ発動すんな!」

ガオンが叫ぶ。

「どうせ私なんて、合体しても『下半身(土台)』だし。誰からも見られないし。朱雀は白虎と青龍とイチャイチャしてるし。もういいもん……。私の『玄武シールド』で、自分の首を切り落として、この戦場ごとブラック企業(天界)の闇に葬ってやるんだから……」

「やめろ玄武! シールドでリストカット未遂しようとするな! 重力異常で農場が更地になるだろ!!」

ガオンが必死に取りなすが、四神たちは完全に自分たちの世界(昼メロ)に入り込んでおり、目の前にいる数万の死蟲軍団のことなど、完全にガン無視していた。

「…………」

完全に蚊帳の外に置かれた魔人ギアンは、仮面の奥で目を瞬かせていた。

「あー……。君たち。私は君たちに絶望を……」

「うるさいわねピエロ! 今、青龍が私のLINE(念話)を既読スルーした話をしてるのよ!」

「そうそう。敵の分際で、我らの 社内恋愛(ドロドロ) に口を挟むな(方法序説)」

「……私の『群衆心理』が、全く通用しない。なんだこの、すでに精神が崩壊している(絶望している)狂気的な集団は……!」

サイコパスであるギアンの常識(悪の教典)が、完全に置いてけぼりを食らっていた。

「……ガオン。君、いつもこんな奴らと一緒に仕事してるの?」

事の顛末を呆然と見守っていたカイトが、哀れみの目をガオンに向ける。

「わかってくれたかカイト……。私が胃を壊して逃げ出した理由を……ッ! 私はもう、こいつらのまとめ 役(メインコア) は限界なのだ!」

ガオンは、黄金の銃『ガオンマグナム』を、スッとカイトの足元に押しやった。

「だから頼む! 農民よ! 俺のコマンダー(契約者)となって、この最低最悪な奴らの 思考(リンク) を強引に束ねてくれ! お前ならできる! トラクターとして一生タダ働きするから!」

「いやいやいや! 僕、ただの農民だよ!? こんなドロドロの修羅場に巻き込まれるの、絶対嫌だ!!」

カイトが全力で後ずさる。

しかし、ギアンの操る巨大な『死甲虫兵器』が、ついにカイトの背後――彼が一番大切にしている『最高級トマトのビニールハウス』に、その重い足を踏み下ろそうとしていた。

「あっ……!」

カイトの目が、血走った。

「あああああっ! 僕のトマトがァァァ!!」

背に腹は代えられない。

農民の魂(作物)を守るため、カイトはついに、この世で最も握りたくなかった黄金の銃――『ガオンマグナム』を手に取った。