軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 5

【強敵】重装甲ジェネラル・リザードの脅威

ズシン……ズシン……。

大地を揺らしながら現れたのは、通常の個体の三倍はある巨体、ジェネラル・リザードだった。

全身を覆うのは、黒光りする重厚なミスリル製のフルプレートアーマー。その厚みは、並大抵の攻撃では傷一つ付かないだろう。

『退け、雑魚ども。……俺が遊んでやる』

ジェネラルが巨大な 戦斧(バトルアックス) を肩に担ぎ、ニヤリと笑う。

その威圧感に、周囲の空気が重くなる。

「……少し、硬そうですね」

キャルルは警戒して距離を取った。

だが、引くわけにはいかない。彼女の背後にはカイトの農場があり、そして何より、龍魔呂へのアピールチャンスがかかっているのだ。

「速さで撹乱して……関節を狙う!」

キャルルが再び加速する。

ピンク色の残像となり、ジェネラルの死角である背後へと回り込んだ。

「月影流・鐘打ちッ!」

ガァァァァンッ!!!

鉄芯入りの安全靴が、ジェネラルの膝裏の装甲を捉えた。

しかし、響いたのは硬質な金属音のみ。

装甲は凹むどころか、傷一つ付いていない。

「うそっ!? 硬っ!?」

キャルルの足裏に、蹴った反動で痺れが走る。

『カカカッ! 痒いなァ、ウサギ!』

ジェネラルが裏拳で戦斧を振り回す。

ブォンッ!!

暴風のような一撃。キャルルはバックステップで辛うじて回避したが、頬を風圧が掠めた。

『どうした? 自慢のスピードも、通じなければただの徒労だぞ?』

ジェネラルが一歩踏み出す。それだけで地面が陥没する。

「くっ……! トンファーも、この装甲じゃ弾かれる……!」

キャルルは焦った。

彼女の戦闘スタイルは、スピードと手数で圧倒するタイプだ。これほど相性の悪い「重装甲タイプ」は天敵と言える。

『終わりか? つまらねぇ』

ジェネラルが鼻を鳴らし、キャルルを見下した。

『所詮は亜人の小娘か。……その貧弱な脚じゃ、俺の最高級ミスリル鎧に傷一つ付けられねぇよ!』

その言葉が、夜空に響いた瞬間。

ピタリ。

キャルルの動きが止まった。

「…………今、なんと?」

彼女の声から、感情の色が消えた。

うさ耳がゆっくりと持ち上がる。

『あ? 聞こえなかったか? その細っこい、貧弱な脚じゃ役に立たねぇと言ったんだよ!』

「……ひんじゃく?」

キャルルがゆっくりと顔を上げた。

その赤い瞳は、昏く、静かに燃え上がっていた。

「……私の脚が、貧弱?」

彼女の脳裏に、今朝の光景が蘇る。

憧れの鬼神・龍魔呂が、自分の頭を撫でて言ってくれた言葉。

――『中々、筋が良いぞ』

――『その脚力、期待しているぞ』

あの人が認めてくれた。あの人が褒めてくれた、自慢の脚。

それを、このトカゲごときが、愚弄した。

「…………許さない」

キャルルの周囲の空気が、ビリビリと震え始めた。

彼女は、安全靴の 踵(かかと) を、地面に強く打ち付けた。

カチリ。

靴底に仕込まれた特殊なギミックが起動する音がした。

「よくも……よくも、龍魔呂さんとの大切な思い出を汚しましたね……?」

バチッ……バチバチッ……!

キャルルの足元から、青白い火花が散り始めた。

靴底に埋め込まれた『 電竜石(エレキ・ドラゴン・ストーン) 』が、彼女の怒りの闘気に呼応して覚醒する。

『あァ? なんだその光は……?』

ジェネラルが怪訝な顔をする。

キャルルは深く息を吸い込み、クラウチングスタートの構えを取った。

その姿は、もはや可憐なウサギではない。

解き放たれるのを待つ、雷神の化身だった。

「後悔なさい……。その自慢の鎧ごと、消し炭にしてあげますから!!」