軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 4

【女子会】ファミレスと恋バナとドリンクバー

「「「カンパーイ!!」」」

天魔窟ファミレスの一番奥にあるボックス席。

メロンソーダ(リーザ)、100%人参ジュース(キャルル)、そして持参したSランク茶葉で淹れた 紅茶(ルナ) が入ったグラスが、軽快な音を立ててぶつかり合った。

「くぅ~っ! 奢りのドリンクバーは五臓六腑に染み渡るわねぇ!」

リーザがメロンソーダを一気に飲み干し、至福の表情を浮かべる。

彼女の目の前には、ルナの奢りということで注文した『特上サーロインステーキ』と『タワー・オブ・苺パフェ』が鎮座している。

「リーザさん、食べ過ぎですよぉ。……でも、私も人のことは言えませんけど」

キャルルの目の前には、オレンジ色の山脈がそびえ立っていた。

『季節の人参サラダ・山盛り(人参5倍増し)』だ。

彼女はフォークで器用に人参を掬い、リスのようにポリポリと食べ始めた。

「ん~っ♡ 天魔窟の人参は甘くて最高ですぅ!」

「あらあら、二人とも健啖家ね。見ていて気持ちがいいわ」

ルナは優雅にカップを傾けた。

彼女が注文したのは「お湯」だけ。そこに懐から取り出した『世界樹の若葉』を浸しているため、ファミレス内には不釣り合いなほど神聖で高貴な香りが漂っている。

「さて、お腹も落ち着いたところで……」

ルナが悪戯っぽく瞳を輝かせた。

「せっかくの女子会よ。……『恋バナ』、しましょうか?」

「ぶふっ!?」

リーザがパフェの生クリームを吹き出しそうになった。

「こ、恋バナぁ!? ルナ、あんたそういうキャラなの!?」

「興味あるのよ。下界の女の子たちが、どんな男性を求めているのか」

ルナが頬杖をつく。

その問いに、まずはリーザが鼻息荒く答えた。

「そりゃあもう決まってるわよ! 『石油王』一択よ!」

「……具体的ね」

「ドバイに別荘を持ってて、私が何を買っても笑顔でカードを切ってくれる人! 愛なんて二の次! 『 愛(アイ) = 金(カネ) 』なのよ!」

リーザがステーキ肉を力強く噛みちぎる。

その欲望に塗れた回答に、キャルルは苦笑いした。

「リーザさんはブレないですねぇ……。私はもっと現実的かな」

「あら? キャルルさんはどんな人がタイプなの?」

キャルルは人参スティックを齧りながら、夢見るような目をした。

「そうですねぇ……。まずは『安定した収入』があること。公務員とか、Sランク冒険者とか」

「ふむふむ。堅実ね」

「そして何より……『私の足を愛してくれる人』ですね!」

キャルルがテーブルの下から、自慢の『鉄芯入り安全靴』をヒョイっと持ち上げた。

「私の脚力って、うっかりすると人を殺しちゃうじゃないですか? だから、私がキックしても壊れない頑丈な人か、あるいは『君のその凶器のような蹴りが好きだ!』って受け入れてくれる包容力のある人がいいんです!」

「……それは、包容力というより物理防御力の問題じゃないかしら?」

ルナが冷静にツッコミを入れる。

「あと、この安全靴を『可愛いね』って言ってくれるセンスの人! これ絶対条件です!」

「難易度高いわね……」

リーザが呆れる。

「ルナさんはどうなのよ? エルフの次期女王候補様のお眼鏡にかなう男なんているの?」

「私?」

ルナは紅茶の水面を見つめ、少し遠い目をした。

「そうねぇ……。私の莫大な魔力と、わがままを受け止めてくれる器の大きさ……。そして、退屈な私を驚かせてくれるような、刺激的な人がいいわね」

「刺激的……?」

「例えば、鬼神のような強さで、壁ドンして強引に迫ってくるような……そんな殿方かしら♡」

「(……あ、これ理想高すぎて結婚できないタイプだ)」

キャルルとリーザの心が一つになった。

その後も、「ドリンクバーの黄金比率(カルピスとオレンジの混合)」の研究や、「最新の冒険者ファッション」の話で盛り上がり、三人の夜は更けていった。

種族も性格も違う。

けれど、「楽しいことが好き」という一点で繋がった三人。

この幸せな時間が、月末の「支払い」という現実によって崩壊することを、今の彼女たちは知る由もなかった。