軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 9

【勘違い】壁ドン! ざまぁないわね小娘ども!

ドンッ!!

重厚な音が廊下に響き渡る。

鬼神・龍魔呂の右手が、創造神ルチアナの顔の横にある壁に深くめり込んでいた。

いわゆる「壁ドン」。

だが、その 圧力(プレッシャー) は恋愛ドラマの比ではない。鬼神の膂力により、壁には蜘蛛の巣状の亀裂が入っている。

「……逃がさんぞ」

龍魔呂が顔を近づける。

その距離、わずか数センチ。

彼の吐息がかかるほどの至近距離で、ルチアナは完全に硬直していた。

(ち、ちか……! まつ毛長い……! 肌綺麗……!)

ルチアナの心臓が早鐘を打つ。

数億年生きてきた女神だが、こんなシチュエーションは初めてだ。

龍魔呂は鼻をひくつかせ、ルチアナの首筋あたり(に隠した酒の匂い)を嗅いだ。

「……たまらん。この香り……理性を狂わせる」

「ひゃうッ!?」

ルチアナが変な声を上げる。

(理性を!? 狂わせる!? 私のフェロモンが!?)

「もう待てん。……今ここで、『全て』をさらけ出してもらうぞ」

龍魔呂の瞳がギラリと光る。

くさやが冷める前に、一刻も早く酒瓶を取り出させたいだけなのだが、ルチアナの脳内では「情熱的な求愛」に変換されていた。

「あ、あぁ……ついに……ついに来たのね……!」

ルチアナは潤んだ瞳で龍魔呂を見上げた。

(今までクールぶっていたけれど、本当は私のことが好きでたまらなかったのね! 野獣! ムッツリ!)

その時、廊下の角から悲鳴が上がった。

「「「キャアアアアアアッ!?」」」

覗き見していたラスティア、リーザ、リベラの三人が、あまりの衝撃に腰を抜かしていた。

「う、嘘でしょ!? あの堅物の龍魔呂様が、廊下で押し倒そうとしてる!?」

ラスティアが口元を押さえる。

「大人の 恋愛(アダルト) ですわ……! 刺激が強すぎます!」

リベラが眼鏡を曇らせる。

「龍魔呂様……ルチアナさんのこと好きだったんだ……」

リーザが呆然とする。

その声を聞いたルチアナは、パッと顔を向けた。

そして、勝ち誇った満面の笑みで、後輩たち(敗北者たち)に向かって高らかに叫んだ。

「――見たかしら、小娘どもォォォッ!!」

「えっ!?」

ルチアナが龍魔呂の腕の中にいながら、ピースサインを決める。

「ざまぁないわね! いつも『おばさん』扱いしてくれたけれど、最後に勝つのはこの私よ! 私に春が来たのよぉぉ!」

ルチアナのテンションが爆発する。

「悔しい!? 悔しいでしょ!? でも残念! このイケメン鬼神は、今から私の・モ・ノ♡」

ルチアナは龍魔呂の胸板にすり寄った。

これ以上ない勝利の美酒。

……まあ、実際にあるのは美酒(大吟醸)だけなのだが。

「……おい、ルチアナ」

龍魔呂が低い声で囁いた。

「騒ぐな。……さっさと『出せ』」

「えっ……? こ、ここで……?」

ルチアナが頬を赤らめてモジモジする。

「だ、大胆ね……。みんなが見てる前で……? でも、貴方がそこまで言うなら……」

ルチアナは覚悟を決めた。

女神としてのプライドを捨て、愛に生きる。

彼女は目を閉じ、唇を突き出した。

「いいわ……。さあ、奪って……♡」

静寂。

廊下に緊張が走る。

ラスティアたちが「見ちゃダメ!」と目を覆う。

そして、龍魔呂が口を開いた。