軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 10

【結末】優勝! 100億ゴールドと金貨1枚

『勝者、カイト農場代表……リーザァァァッ!!』

ファンファーレが鳴り響く中、ステージ中央でリーザは震えていた。

彼女の手には、自身の身長よりも巨大なパネルが握られている。

そこには『優勝賞金 100,000,000,000 G(100億ゴールド)』という、夢のような数字が刻まれていた。

「や……やった……」

リーザはパネルに頬ずりした。

「やったわぁぁぁ! これで私は正真正銘の石油王よぉぉ!」

会場が割れんばかりの歓声に包まれる。

カイトやルチアナたちも駆け寄り、リーザを胴上げしようとした、その時だった。

コツ、コツ、コツ……。

冷徹なヒールの音が響き、黒いビジネススーツに身を包んだリベラがステージに上がってきた。

その手には、分厚いバインダーと電卓が握られている。

「おめでとうございます、リーザ様」

「あ、リベラ! 見てこれ! 100億よ!」

「ええ。素晴らしい成果ですわ」

リベラは事務的に眼鏡の位置を直すと、一枚の書類をペラリとめくった。

「では、早速ですが……今回のフェス開催およびステージ設営にかかった『経費』の精算をさせていただきます」

「……へ?」

リーザの動きが止まる。

リベラは抑揚のない声で読み上げ始めた。

「まず、『Sランク有機野菜ドーム設営費(材料・技術料)』。カイト様の野菜は市場価値が高すぎますので、換算すると……30億ゴールド」

「さ、30億!?」

「次に、『全次元・超広域魔法通信費』。銀河の果てまで電波を飛ばすための魔力使用料……魔界と神界への支払いで、40億ゴールド」

「よ、40億!?」

「さらに、『神(ルチアナ様)・魔王(ラスティア様)・竜王(デューク様)への出演ギャラおよびレッスン料』。彼らを動かすコストは破格です。……20億ゴールド」

「に、20……」

「最後に、『賞金にかかる税金』および『雑費』を含めますと……」

リベラが電卓を叩く指が残像を残す。

タタタタタタッ……ッターン!!

「経費合計、99億9999万ゴールドになりますわ」

「…………は?」

リベラは、リーザの手から100億の小切手をスッと抜き取り、代わりにリーザの掌に「チャリン」と何かを落とした。

それは、たった一枚の**金貨(1万円相当)だった。

「残金、金貨1枚です。……お疲れ様でした」

「う……うそ……」

リーザはその場に崩れ落ちた。

膝から力が抜け、金貨がカランと音を立てて転がる。

「私の……私の100億が……。ドバイの別荘が……石油王が……」

泡となって消えた。

結局、手元に残ったのは、いつものお小遣い程度。

また明日から、半額シールを求めてスーパーを走る日々が始まるのか。

「……終わった。私の人生、何もかも……」

リーザがうなだれ、ステージの 床(カボチャ) に突っ伏そうとした時。

「リーザちゃん」

カイトが、彼女の肩を優しく叩いた。

彼は、転がった金貨を拾い上げ、リーザに握らせた。

「お金はなくなっちゃったけど……でも、見てよ」

カイトが客席を指差した。

「うおおおおおッ!! リーザ! リーザ!!」

「最高だったぞー!!」

「感動をありがとぉぉぉ!!」

そこには、数え切れないほどの魔物たちが、ペンライトを振り、涙を流して彼女の名前を叫んでいた。

配信画面のコメント欄も、『リーザ!』『アンコール!』の文字で埋め尽くされている。

「みんな、リーザちゃんの歌に感動してるんだよ。……これって、100億よりもすごいことじゃないかな?」

「カイト……」

リーザは顔を上げた。

目の前に広がる、光の海。

それは、彼女が「1LDK」の部屋で夢見ていた、憧れの景色そのものだった。

(……そうね。私は強欲なんだもの)

リーザが立ち上がった。

彼女は涙を拭い、金貨1枚を強く握りしめると、ニヤリと不敵に笑った。

「……そうよ! これくらいでヘコたれる私じゃないわ!」

リーザがマイク(アスパラガス)を奪い取り、高らかに叫んだ。

「よく聞きなさい! 私は『愛もマネーも両方頂く』、銀河一の強欲アイドルなんだからぁぁッ!!」

「「「うおおおおおおおッ!!!」」」

「100億が消えたくらいで諦めないわよ! 次は200億稼いでやるわ! ……だから!」

リーザがカメラに向かって、とびっきりのウインクを飛ばした。

「これからも、皆ついてきてねぇぇ! ダーリン♡」

ドォォォォォォンッ!!!

大量の花火(カイトの爆裂トウモロコシ)が打ち上がり、フェスは熱狂のまま幕を閉じた。

手元には金貨一枚。

けれど、その背中には50億人のファンの「愛」を背負って。

アイドル・リーザの強欲な伝説は、まだ始まったばかりだ。