軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 9

【覚醒】銀河の果てまで! ユニークスキル『アイドル支配』

会場の熱気が最高潮に達した時、ふと、演奏が静まり返った。

照明(キノコ) が全て消え、一本のピンスポット(大根ライト)だけがリーザを照らし出す。

荒い息を吐くリーザ。

だが、その表情に疲れはない。あるのは、獲物を前にした慈愛に満ちた(?)微笑みだ。

ここからは【Cメロ】。

彼女は諭すように、優しく歌い始めた。

『♪だって女の子だもん 夢見るだけじゃお腹は空くの』

その歌詞に、会場の魔物たちや、画面の前の乙女たちが深く頷く。

「そうなんだよ……」「 霞(かすみ) じゃ腹は膨れないんだよ……」

『♪綺麗なドレスも ガラスの靴も 維持費がかかるのよ』

(カイトたち:『そうだー!!』)

維持費。ランニングコスト。

夢を見るにも金がかかる。

その残酷な真実を、リーザは肯定した。

「……だから」

リーザがカメラに顔を近づけた。

上目遣い。

魔王ラスティア直伝の『 魅了(チャーム) 』が、50億人の心臓を鷲掴みにする。

『♪だから…もっともっと、愛して(課金して)ね?』

『♪覚悟はいい?』

ドクンッ……。

全視聴者の心臓が跳ねた。

次の瞬間、カイト農場のステージが黄金色の光に包まれた。

カッッッ!!!!

「な、なんだ!? リーザちゃんが光ってる!?」

カイトが目を覆う。

リーザの全身から、神々しいオーラが噴き出したのだ。

それはただの魔力ではない。彼女の強欲さが昇華され、世界の 理(ことわり) をねじ曲げる力――ユニークスキル『銀河の 歌姫(ギャラクシー・アイドル) 』への覚醒だった。

【ラスサビ】

「いくわよおおおおおッ!!」

リーザの絶叫と共に、曲はラストスパートへ突入する。

『♪世界中が私の為に愛を叫ぶ』

(カイトたち:『まわって! まわって!』)

『♪全部抱きしめるわ』

(カイトたち:『最強!』)

リーザの背後に、巨大な幻影が現れた。

それは、世界中の金貨や宝石を抱きしめる女神の姿。

彼女は、清貧な天使のように「欲を捨てろ」とは言わない。欲も、金も、全てを肯定し、抱きしめる。

『♪愛も富も同じ輝き』

(リーザ:『どっちも本物ー!』)

そう、金は汚くない。

金は、誰かの汗と涙の結晶であり、愛の対価なのだ。

『♪ダイヤも株も♪ 土地も愛も♪』

(カイトたち:『All Need! All Need!』)

そして、リーザは両手を広げ、究極の殺し文句を放った。

『♪貴方の全て(人生)を背負って生きていける』

(カイトたち:『Fuuu~!』)

「人生」と書いて「すべで」と読む。

それは、「あんた達の老後の資金も、生活費も、全部私が使って輝いてあげる」という、悪魔的な契約。

だが、その覚悟に触れたファンたちは、涙を流して歓喜した。

『一生ついていくッ!!』

『俺の人生(貯金)を背負ってくれぇぇ!!』

『リーザしか勝たん!!』

スパチャのカウンターがカンストし、 測定不能(エラー) を起こす。

ステージ上の野菜たちが、リーザの波動を受けて一斉に黄金色に熟した。

【Outro】

『♪だから私は 銀河の果てまで歌って行けるわ』

『♪だから、何処までもついて来てね♡』

(カイトたち:『一生ついていくよー!!』)

『♪ダーリン!』

(リーザ:『チュッ♡』)

ジャーン! ……ジャン!

最後の音が消えるのと同時に、リーザが完璧なポーズを決めた。

その瞬間。

チャリーン♪

という効果音(?)と共に、彼女のウィンクが星のように弾けた。

「……はぁ、はぁ……」

静寂。

そして、数秒後。

地鳴りのような拍手と、電子の海を埋め尽くす賞賛のコメントが、カイト農場を包み込んだ。

「やった……やったよリーザちゃん!!」

カイトが涙ぐみながらステージに駆け寄る。

リーザは汗だくのまま、満面の笑みでピースサインをした。

「見た……? これが私の……100億の輝きよ!」

貧乏アイドルが、銀河の頂点に立った瞬間だった。