軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 2

【告知】賞金100億! 『全次元・配信アイドルフェス』開催

『――聴こえるか!? 銀河の乙女たちよ!』

『――そして、夢見る野郎どもよ!』

夜空に浮かび上がった巨大なホログラム広告から、DJのようなハイテンションな声が響き渡った。

カイト農場の上空が、まるでクラブのようにネオンカラーのレーザーで彩られる。

「な、何!? 敵襲!?」

「まぶしっ!?」

女子寮から、パジャマ姿のルチアナやラスティアたちが飛び出してきた。

カイトとリーザも、呆然と空を見上げている。

ホログラムには、神々しい天使と、セクシーな悪魔が背中合わせになったロゴが回転していた。

『神界・魔界、まさかの共同開催!』

『史上最大、全次元規模の歌姫決定戦!』

『その名も……『ギャラクシー・ストリーム・アイドルフェス』開催決定だァァァッ!!』

ドォォォォン!!

空中で大量の花火(魔法)が炸裂した。

「……アイドルフェス?」

リーザが呟く。

だが、次のアナウンスが彼女の脳髄を貫いた。

『優勝者には、「銀河全域での永年放映権」!』

『そして賞金は……なんと現金100億ゴールドだァァァッ!!』

「ひゃ……!?」

リーザの喉から、変な声が出た。

100億。

それは、半額シールの豚肉(250ゴールド)の、実に4000万倍の金額だ。

『参加資格は不問! 歌って、踊って、視聴者の「 愛(スパチャ) 」を集めろ!』

『予選は一週間後! さあ、新たな銀河の 歌姫(シンデレラ) は誰だ!?』

プツン。

ホログラムが消え、夜空に静寂が戻った。

だが、カイト農場の空気は一変していた。

「……100億……」

リーザがうわごとのように繰り返す。

彼女の瞳の中で、スーパーの割引シールの残像が消え去り、代わりに巨大な『¥』マークがギラギラと回転し始めた。

「100億あれば……豚肉を定価で買える……」

「いや、豚肉工場ごと買える……」

「ドバイ……石油……不労所得……!」

ブツブツと欲望の方程式を計算し始めるリーザ。

その背中から、どす黒い……いや、黄金色のオーラが立ち昇る。

「あらあら。神界も魔界も、思い切ったことをするわね」

創造神ルチアナが、あくびをしながら言った。

「最近、どちらの世界もエンタメ不足だから、ガス抜きのためのイベントでしょうね。でも、100億は本気だわ」

「ふん。どうせ出来レースじゃないの?」

魔王ラスティアが冷めた目で言うが、カイトは違った。

彼はリーザの肩をガシッと掴んだ。

「リーザちゃん!」

「……へ?」

カイトの瞳は、最高級のトマトを見つけた時のように輝いていた。

「出ようよ! これ、リーザちゃんのためのイベントだよ!」

「え、でも……私なんて、半額シールがお似合いの……」

「そんなことない!」

カイトは力説した。

「リーザちゃんの歌はすごいよ! 畑で歌うと、マンドラゴラの成長が3倍になるし、雑草も勝手に抜けるんだよ!?(※特殊効果です)」

「そ、それは褒めてるの……?」

「僕たちが全力でサポートするよ! ……ねえみんな、リーザちゃんを『銀河一のアイドル』にしようよ!」

カイトが振り返ると、農場の最強メンバーたちがニヤリと笑った。

「……面白そうですわね」

リベラが眼鏡を光らせた。

「優勝賞金100億。カイト農場の運営費としても魅力的です。私がマネジメントしましょう」

「歌なら私が教えてあげるわ。元・創造神の美声、スパルタで伝授するわよ?」

ルチアナがウインクする。

「ビジュアルとダンスは私ね。魔王の 魅了(チャーム) 、骨の髄まで叩き込んでやるわ」

ラスティアが腕を組む。

「ステージ設営なら任せろ。Sランク木材で武道館を建ててやる」

リュウとデュークが親指を立てる。

神、魔王、竜王、勇者、そして最強の農夫。

世界を滅ぼせるメンツが、一人の貧乏アイドルの「プロデューサー」になった瞬間だった。

「み、みんな……」

リーザは震えた。

恐怖ではない。武者震いだ。

100億というニンジンをぶら下げられた彼女の強欲エンジンが、フルスロットルで回転を始めた。

「……やるわ」

リーザはカイトの手からネギを奪い取り、マイクのように高く掲げた。

「やってやるわよぉぉぉッ!!」

「100億は私のものよ! 全次元のスパチャを吸い尽くして、私は『石油王』になるのよぉぉぉッ!!」

「その意気だよリーザちゃん!」

カイトが拍手する。

目的は若干不純だが、モチベーションは十分だ。

こうして、カイト農場を挙げた一大プロジェクト、『強欲アイドル・リーザ爆誕計画』が始動した。