軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 8

【攻略】カロリー消費型ダンジョン。歩くだけで痩せる!?

上空数千メートル。

黄金のドラゴンとなった竜王デュークは、背中に美女軍団を乗せて優雅に飛んでいた。

……はずだった。

『……重い』

デュークが低く唸った。

『おい貴様ら。昨夜どれだけ食った? 重力が通常の3倍になっておるぞ』

「失礼ね! 昨日のパフェは別腹よ!」

「レディに向かって重いなんて、デリカシーの欠片もないわ!」

創造神ルチアナと魔王ラスティアが抗議する。

だが、デュークは冷酷に告げた。

『……限界だ。これ以上は高度を維持できん。よって、積み荷を投棄する』

「「「はぁぁぁ!?」」」」

『安心しろ。ちょうど真下は、カイトがいるダンジョンの「深層部」だ。……そこで食べた分を消費してこい!』

デュークが空中で 一回転(バレルロール) した。

「「「きゃああああああッ!!!」」」

遠心力で振り落とされる女神、魔王、不死鳥、アイドル、オーナー、そして風紀委員長。

彼女たちは悲鳴を上げながら、地上のマンホールへと吸い込まれていった。

ドサッ……ボヨヨンッ!

彼女たちが落下したのは、地下深くに広がる奇妙な空間だった。

床はトランポリンのように柔らかく、壁はピンク色に発光している。

「……痛くない? 生きてる?」

リベラが恐る恐る目を開ける。

すると、目の前でカイトがツルハシを持って立っていた。

「あ、みんな! 奇遇だね! 空から降ってくるなんて」

カイトは爽やかに汗を拭った。彼の足元には、既に倒された魔物の山が築かれている。

「カイト! よかった、助けてぇ!」

ルチアナがカイトに抱きつこうとする。

だが、カイトは真剣な顔で、壁にある「石碑」を指差した。

「待って。このダンジョンのルールが分かったんだ」

石碑には、古代魔界語でこう刻まれていた。

【脂肪燃焼の迷宮へようこそ】

【ルール:運動エネルギー(消費カロリー)を魔力と金貨に変換する】

【出口:合計10万キロカロリーを消費せよ】

「……は?」

全員が凍りついた。

「しょ、消費カロリーが出口の鍵……?」

リベラが震える声で読み上げる。

「つまり……歩いたり、走ったり、戦ったりして痩せないと、一生ここから出られないということですの!?」

「嘘でしょぉぉぉ!!」

「私は楽して帰りたいのよぉぉ!」

ルチアナとラスティアが絶叫する。

だが、カイトは目を輝かせた。

「すごいよみんな! 昨日のパフェが、そのままポチの借金返済(金貨)になるんだよ!?」

カイトは、ルチアナのお 腹(ちょっとポニョっている) をまじまじと見つめた。

「ルチアナさん……今、すごい『財産』を持ってるね!」

「やめて! 私の贅肉を『埋蔵金』みたいな目で見ないで!」

ルチアナが腹を隠す。

だが、ダンジョンのシステムは容赦ない。

ズズズ……と、床から魔物が湧き出してきた。

現れたのは、ブヨブヨとした脂肪の塊のようなスライム――『メタボリック・スライム』の大群だ。

「ヒャッハー! 糖分よこせぇ!」

スライムたちが襲いかかってくる。

「ひぃぃッ! 来ないでぇぇ!」

リーザが逃げようと走り出した瞬間。

ピロン♪

頭上に数字が浮かんだ。

『消費:5kcal → 獲得:銅貨1枚』

「えっ? お金が出た?」

チャリン。リーザの足元に小銭が落ちてきた。

「なるほど……動けば動くほど儲かるってわけか」

不死鳥フレアがニヤリと笑った。

彼女の中で「ダルい」という感情が、「稼げる」という欲望に書き換わった。

「やるわよ皆! 私たちの贅肉を、金に変える錬金術よ!」

「望むところですわ! 35万ゴールド、取り返させていただきます!」

リベラが眼鏡を外し、戦闘モード(バーサーカー)に入った。

彼女の拳が唸る。

「オラァッ! 昨日のティラミス分! パフェ分! そして深夜のポテト分んんんッ!!」

ドガッ! バキッ!

リベラがスライムを殴るたびに、『消費:50kcal』『消費:100kcal』と表示され、金貨がジャラジャラと湧き出る。

「すごい! リベラさんが輝いてる!」

「負けてられないわ! 私の『バベルの塔パフェ(2000kcal)』を食らえぇぇ!」

ルチアナも走り出した。

魔法は使わない。使うとカロリー消費が少ないからだ。

神々が物理で殴り、走り、汗を流す。

「カイトさん! どんどん先へ進みますよぉ!」

ルナも必死に走る。

カイトはツルハシを担ぎ、頼もしい仲間たち(元凶)を見守りながら微笑んだ。

「うんうん、みんな健康的だね! デュークさんも喜ぶよ!」

こうして、借金返済とダイエットを兼ねた、地獄のダンジョン・マラソンが始まった。

目指すは最下層。

そこには、彼女たちの食欲の「 業(カルマ) 」を具現化した、恐るべきボスが待ち受けているとも知らずに。