軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 4

【混迷】ドリンクバー調合対決と、終わらない愚痴

「……見てくださいぃ! 私の新作オリジナルドリンクですぅ!」

入店から3時間。

すっかりリラックスモードに入ったルナが、怪しく発光するグラスを得意げに掲げた。

「メロンソーダをベースに、カルピスと**『エリクサー(原液)』、隠し味に『最高級聖水』**を1:1:1で配合しましたぁ!」

ボコォッ……ボココココッ……!

グラスの中で、緑色の液体が沸騰し、不穏な紫色の煙を上げている。

「ちょっとルナ! 爆発しないでしょうね!?」

ルチアナがのけ反る。

「大丈夫ですぅ。これを飲むと、MPが全回復して、ついでに肌が光りますぅ。……誰か飲みますかぁ?」

「遠慮するわよ! 誰がファミレスで聖属性のダメージを受けなきゃいけないのよ!」

ルチアナは丁重に断り、自分の「オレンジジュースとアイスティーのハーフ&ハーフ」を啜った。

「……はぁ。それにしても」

風紀委員長リベラが、深いため息をつきながら、ホットココア(生クリーム乗せ)をかき混ぜた。

「あの男たち……本当にデリカシーというものが欠落していますわ」

「あら、どうしたのリベラ? カイトへの愚痴?」

ラスティアがニヤニヤしながら尋ねる。

「ええ、聞いてくださいまし。……先日、カイト様と夕日を見ていた時のことです」

リベラが遠い目をした。

「とてもロマンチックな雰囲気でしたわ。私が『綺麗な夕焼けですわね』と言ったら、カイト様は何と言ったと思います?」

「『君の方が綺麗だよ』とか?」

「いいえ。……**『あの雲の色、明日あたり良い雨が降りそうだね。堆肥の発酵が進みそうだ』**ですって」

「うわぁ……」

「農業脳だ……」

全員がドン引きする。

「しかも、その後にプレゼントをくれたのですが……何だと思います? **『Sランクミミズの標本』**ですのよ!? 『土壌改良に役立つから、枕元に置いてね』って!」

「最悪ね……」

「枕元にミミズは、法的に訴えていいレベルよ」

リベラはココアを一気飲みした。

糖分でストレスを流し込まないとやってられない。

「まだマシよ、リベラ」

今度は魔王ラスティアが、氷を噛み砕きながら憤慨した。

「ウチのデュークなんて、会話の語尾が全部**『 筋肉(マッスル) 』**に聞こえるわ」

「どういうこと?」

「この前、久しぶりに『肩を貸してくれ』って言われたの。私、てっきり悩み相談か、それとも甘い雰囲気で寄り添うのかと思ったわ」

ラスティアがテーブルをバンッと叩いた。

「そしたらあいつ、私を『ベンチプレスの重り』にしやがったのよ!!」

「ぶふっ!」

フレアがジンジャーエールを吹き出した。

「『お前くらいの重さが、上腕二頭筋のパンプアップに丁度いい』ですって! 私は魔王よ!? ダンベル扱いしないでほしいわ!」

「ひどすぎる……」

「色気が皆無ね……」

「フェンリルもそうよ!」

今度はフレアが参戦する。

「あいつ、私の炎を見て『いい火力だ。焼き芋に丁度いい』しか言わないのよ! 私の不死鳥の炎は、調理器具じゃないのよ!」

場がヒートアップする。

男たちへの積年の恨みが、ファミレスのボックス席で爆発していた。

「……結局、男って『機能性』とか『効率』しか見てないのよね」

「私たち、こんなに可愛いのに」

「ほんと、見る目がないわ」

結論の出ない愚痴。

だが、それが女子会の醍醐味だ。

怒りのエネルギーは、さらなる食欲へと変換される。

「……すいませぇーん!」

ルチアナが呼び出しボタンを連打した。

「ポテト追加! 『マウンテン・フライ』を二つ! あと『辛口バッファローウィング』も!」

「あ、私も! 『とろ~りチーズの鉄板焼き』追加で!」

「私もですぅ! 『チョコパフェ』も食べちゃいますぅ!」

深夜1時。

もはや「ドリンクバーだけ」という当初の誓いは完全に崩壊していた。

テーブルに次々と運ばれてくる高カロリーなサイドメニューたち。

デュークのブートキャンプで消費したカロリーなど、とっくにオーバーしている。

だが、誰も止めない。

なぜなら、彼女たちは今、共通の敵(デリカシーのない男たち)を肴に、固い結束で結ばれていたからだ。

「さあ食べるわよ! 明日の筋肉痛なんて、食べて治すのよ!」

「「「おー!!」」」

ファミレスの夜は、まだまだ終わらない。

次に訪れるのは、深夜特有の「謎のテンション」と「別腹スイーツ」の時間帯である。