軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 2

【没収】ルチアナのジャージが焚き火に。ラスティアの化粧品が海へ

朝食(青汁)の悲劇から数時間後。

カイト分校の校庭には、不穏な「焚き火」が焚かれていた。

その前で、風紀委員長の腕章をつけたリベラが、氷のような無表情で仁王立ちしている。

「次。創造神ルチアナ様、前へ」

「い、嫌よ……! これだけは……これだけは渡せないわ!」

創造神ルチアナが、自分の着ている**「薄汚れた緑色のジャージ」**の裾を握りしめ、涙ながらに抵抗していた。

「往生際が悪いですわ。そのジャージ、何年着ていますの? 襟元はヨレヨレ、袖にはポテチの油汚れ。……教育現場(学校)の長として、恥ずかしくありませんの?」

リベラが冷徹に指摘する。

「うっさいわね! これは私の皮膚よ! アイデンティティなのよ! これがないと落ち着かないのぉぉ!」

「規則正しい生活こそが人間(および神)の基本です。そのダルダルな精神を叩き直すには、まず形から入るべきですわ」

リベラが指をパチンと鳴らすと、屈強なゴーレムたちがルチアナを取り押さえ、ジャージを剥ぎ取った。

「ああっ!? やめてぇぇぇ!」

リベラは無慈悲に、そのジャージを焚き火の中に放り込んだ。

ボッ……メラメラメラ!!

化学繊維が燃える臭いと共に、創造神の 聖衣(ジャージ) が黒煙となって空へ昇っていく。

「私のお気に入りがぁぁぁ! 限定カラーだったのにぃぃぃ!」

ルチアナはその場に崩れ落ち、灰になったジャージに向かって絶叫した。

代わりに支給されたのは、糊の効いた窮屈な「 制服(ロングスカート) 」だった。

「……ひっく。信じられない……悪魔よ……」

「次。魔王ラスティア、不死鳥フレア」

続いて呼び出されたのは、この世の春を謳歌していた美女コンビだ。

彼女たちの前には、「廃棄ボックス」が置かれている。

『お二人ともぉ、お顔の色が不自然ですよぉ?』

ルナが近づき、ラスティアの顔をジロジロと覗き込んだ。

『ファンデーション、コンシーラー、マスカラ……。そんなに塗りたくっては、お肌が呼吸できません。素材の味を殺していますぅ』

「なっ……!?」

ラスティアが青ざめる。

彼女にとって化粧は「武装」だ。数千年の時を経た肌を、最新のコスメで誤魔化……いや、彩っているのだ。

「ルナちゃん、これは身だしなみなのよ? 大人の女の嗜みで……」

「言い訳無用ですわ」

リベラが六法全書(校則版)を開く。

「校則第5条。『過度な装飾は禁止。ありのままの 姿(すっぴん) こそが美しい』。……さあ、そのポーチの中身、全て出しなさい」

「嘘でしょ!? 限定のクリスマスコフレなのよ!?」

「私のリップは一本金貨10枚するのよ!?」

抵抗も虚しく、山のような高級コスメが廃棄ボックスへ投げ込まれていく。

ガシャン、ゴトッ。

瓶が割れる音は、彼女たちのプライドが砕ける音だ。

「あああ……私の『顔』が……!」

「すっぴんで外を歩けと言うの……!?」

『大丈夫ですよぉ! お野菜を食べて早寝早起きすれば、私みたいにプルプルになりますからぁ☆』

ルナ(実年齢20歳・肌年齢10歳)の無邪気な一言が、ラスティア(数千歳)とフレア(3000歳)の心臓を深々と抉った。

「……ふふ、私は関係ないわよね? アイドルだもの」

列の最後尾で、リーザがそろりと逃げ出そうとしていた。

彼女は「賽銭箱(スパチャ入れ)」を大事そうに抱えている。

「待ちたまえ、リーザ君」

リベラが逃走経路を塞いだ。

「アイドル(偶像)とは、人々に夢を与える清廉潔白な存在であるべきです」

「そ、そうよ! だから私は夢を……」

「『金』という不純物は、貴女の輝きを曇らせています」

リベラが賽銭箱をガシッと掴んだ。

「この皆様から頂いた浄財は、全額『天魔窟の緑化募金』および『ユニセフ(異世界福祉)』へ寄付させていただきますわ」

「はぁぁぁぁぁッ!?!? ふざけんなぁぁぁ!!」

リーザが鬼の形相になった。

「私の金よ! 私が汗水垂らして、五円玉の雨に埋もれて稼いだ金なのよぉぉ!」

「その執着心が罪なのです。……手放しなさい、楽になりますよ?」

「嫌だぁぁぁ! 金のないアイドルなんてただの無職よぉぉ!」

ズルズルと引きずられていく賽銭箱。

地面には、リーザの爪痕が長く残された。

数十分後。

校庭の隅には、魂を抜かれた女性たちの姿があった。

ジャージを燃やされ、制服を着せられたルチアナ。

すっぴんを晒し、顔を隠して震えるラスティアとフレア。

全財産を没収され、虚空を見つめるリーザ。

「……終わった……私の人生……」

「……鏡が見れない……」

その地獄絵図を、校舎の影から見つめる男たちがいた。

「……おい、見たか」

龍魔呂が震える声で囁く。

「次は俺たちだ。……隠し持っている『アレ』が見つかったら、俺たちも終わるぞ」

「ああ。……やるしかないようだな」

ルーベンスが決意の眼差しで頷く。

もはや、ただ従うだけの時間は終わった。

男たちは目配せをし、静かに地下への階段を降りていった。

残された希望は、リュウのパンツの中に隠された「最後の一本のタバコ」のみ。

レジスタンスの結成前夜である。