軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

87.最後の素材

アマリアお姉様が周辺の安全確認に行った後、私は岩と向き合っていた。白粒石に手を掲げると、魔法を発動させる。

「【粉砕】!」

すると、目の前の白粒石がどんどん削られていった。岩が崩れ、足元に溜まっていく。しばらく、削っていくと手を止めた。

「さて、この中にあるかな?」

しゃがみこんで、削られた石を確認していく。一つずつ手に取って、属性石が出ていないか見ていく。

「うーん、これじゃないし……これでもないし……」

手に取るものは全部石。属性石のようなカラフルな石が見当たらない。そう簡単には見つからないか。そう思って、石を避けていくと――赤い水晶のような石が現れた。

「あっ、これって! 鑑定!」

【火石】

・火属性の力が備わっている

「やった! 一つ目を見つけた!」

ようやく、一つ目だ。だけど、思ったよりも小さい。

「うーん……。これだけだと素材として不十分かも。もっと、たくさん集めて調合に使えるようにしなくっちゃ」

使えるようにするためには量も必要だ。一応これは取っておいて、どんどん掘り進んでいこう。

再び立ち上がると、岩に向かって手を翳す。そうして【粉砕】を使って、どんどん穴を掘り進めていく。

しばらくすると、また足元に石が溜まってきた。しゃがみこんで、一つずつ確認していく。

「えーっと……あっ! これ、火石じゃない!?」

石をどけていくと、赤い水晶の石が見つかった。鑑定をしてみると、火石と出た。これで、二つ目の火石だ。そう思って火石を見ていると、違和感を覚えた。

「さっきのとちょっと違うような……。えーっと、さっきのと見比べて……」

【素材保管】から先ほどの火石を取り出す。二つを見比べていると、その違いが分かった。

「あっ! 今取った方が色が濃い! ……この違い、何か理由があるのかな?」

……気になる。そういうのを調べるにはやはり鑑定を使うっきゃない。鑑定は私の意思で知りたい内容が変わっていく。ここで知りたいのは、色の違いだ。

「鑑定ちゃん、色の違いを教えて」

【火石】

・火属性の力が備わっている

・色が濃いほど、含まれた力が強くなる

「なるほど! 色の濃さって強さの違いなんだ!」

これは良いことを知ったぞ。ということは、色の濃い石を使った方が効果が大きくなるということだ。

「じゃあ、今取ってきた火石の力の強さを教えて」

【火石】

・品質:79

【火石】

・品質:84

「これで品質84かぁ……。ということは、もっと上を目指せる? ……ううん、どうせなら品質100を目指したい!」

最高級の素材を見つける。そう思ったら、俄然やる気が出てきた。素材の選別、やればやるほど沼っていく行為。久しぶりに極める時が来たか!

「四属性の石、品質100を目指すぞ!」

それから、素材の選別が始まった。

一日中、岩を掘り続ける。魔力が枯渇してフラフラになりながらも、魔力が切れるまでひたすら続けた。砕けた破片の中から素材を拾い上げ、ひとつひとつ品質を確かめる。

違う。また違う。

何度繰り返したか分からない。同じ動作を、ただひたすらに続ける。

「これは……品質95。こっちは……品質98……」

額から汗が滴り、視界がぼやける。そんなになるまで頑張っているのに、中々品質100は集まらない。

「まだ、まだだ……品質100じゃないと許さない……」

「えっと……ルイ? もう、そんなに素材が出てきたんなら、いいんじゃない?」

後ろからアマリアお姉様の声がする。けれど、私は首を横に振った。

「いや、品質100じゃないとダメ! ここからが勝負なんだから!」

「そ、そうなの……?」

呆れと心配が混じった声。それでも、手は止めない。

掘る。選ぶ。捨てる。ただそれだけを、延々と繰り返す。気づけば、日が沈み、また昇り――。

一日が経ち、二日が経ち、三日、四日。

途中で何度も心が折れそうになった。どれだけ掘っても、あと一歩届かない。99にすら届かない石が続いた時は、思わずその場に崩れ落ちそうになった。

それでも、やめなかった。やめた瞬間、ここまでの苦労が全部無駄になる気がしたから。

そして、五日目。もう何度目かも分からない採掘のあと、手に取った石を確認する。

「……え」

息が止まる。震える手で、もう一度確かめる。

「品質……100……?」

信じられない思いで呟いた瞬間、胸の奥から一気に熱がこみ上げた。

「や、やった……!」

思わずその場に座り込む。力が抜けて、しばらく立ち上がれない。

「とうとう……品質100の属性石が集まった……!」

手の中で、それは静かに輝いていた。今まで見てきたどの石よりも、澄んでいて、力強い光。何度も見惚れてしまう。

「くぅー……この時の為に頑張ったかいがあった……」

ボロボロになった手で、それでも大事そうに握りしめる。

「これで……最高級のアイテムが作れる!」

「ようやく、見つかったんだね。良かったわね、ルイ」

いつの間にか隣に来ていたアマリアお姉様が、優しく微笑む。

「うん……!」

短く頷く。その一言に、五日分の全てを込めた。

「アマリアお姉様が付き合ってくれたからだよ。本当にありがとう!」

「ルイが努力したお陰でしょ? じゃあ、そろそろ帰る?」

「うん!」

後は家に帰って調合だ! 絶対に最高級のアイテムを作ってやる!