軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

86.錬金術魔法の応用

翌日、私たちはさらに中層を歩き回り、素材を探した。残るは属性石。濃い灰色と白い斑点が特徴的な白粒石に含まれる魔石だ。

その地層を探し、魔物を倒しながら進んでいく。目を凝らしながら地層を確認していくと――遠くで特徴的な場所を見つけた。

「ねぇ、あそこにある地層ってそれじゃないかな?」

「……それっぽいわね。近づいてみましょう」

期待に胸を膨らませ、その場所へと近づいていく。だけど、その時――ズシンッという音が響いた。岩の影から魔物が現れた。

三メートルは超える四足歩行のトカゲ。全身が岩で覆われていて、長い尻尾の先にはまるで鉄じゃないかと錯覚する固そうな色違いの岩がくっついている。

「……あれは、邪魔ね」

「倒すしかないよね」

「そうね。そこに気になる地層があるから、やるしかないわ」

アマリアお姉様が大剣を構えると、隙を伺うように近づいていく。私はショック玉を持ち、パチンコで狙いを定める。

狙うのは首元。しっかりと引き付けると、ショック玉を放つ。ショック玉は真っすぐと飛んでいき、首元で大きく破裂した。

「やった、当たった! アマリアお姉様、今だよ!」

「……待って、ルイ。様子が変わらない」

「えっ?」

その言葉に驚いてよく見てみると、その魔物は傷一つついていなかった。どうやら、身体を覆っていた岩が崩れただけのようだ。

すると、魔物がこちらを向いて雄たけびを上げた。

「ルイは下がって」

そう言って、アマリアお姉様は飛び出していった。一気に距離を詰め、自慢の大剣で切り裂く。

だけど、体を覆う岩が切り崩されただけで、体には一つも傷がついていない。

魔物は構わず体を動かし、強烈な尻尾の一撃を振りかぶった。風切り音がして、アマリアお姉様を襲う。

咄嗟に大剣を構えたが、その強烈な一撃で体が吹き飛ばされる。

「くっ……!」

それでも、足で踏ん張って耐えた。強引に態勢を元に戻すと、大剣を振りかぶり魔物に立ち向かっていく。

その様子を見ていて分かった。体を覆う岩をどうにかしないと、あの魔物は倒せない。どんな事をすれば、あの岩が崩せる?

ありったけのショック玉をぶち込む? だけど、ショック玉がなくなると、困るのは自分だ。だから、他の方法を考えなくちゃいけない。

私にできることは……錬金術の魔法を使うこと。錬金術の魔法に攻撃手段は――。

「あっ、なんか、出来そう!」

例えば、岩を崩すために使っていた【粉砕】。それを魔物に向かって発動出来れば、体を覆う岩を失くすことが出来るかもしれない。そうなると、私たちの攻撃が届くようになる。

「やるっきゃないよね……」

覚悟を決めて、魔物ににじり寄っていく。魔物は激しく尻尾を振り、アマリアお姉様に攻撃を仕掛けている。動きが止まるのは、尻尾を振った後。

タイミングを見計らい、私は駆け出していった。一気に魔物との距離を縮め、目の前にたどり着く。

「ルイ!? 危ないわ!」

その大きさに少しだけ恐怖を感じたが、気持ちを振り絞って錬金術の魔法を発動させる。

「【粉砕】!」

全力の錬金術魔法を叩き込む。すると――。

ドガァンッ!

魔物を覆っていた岩が粉砕され、生身の体が晒された。

「アマリアお姉様、今だよ!」

「はぁっ!!」

合図を送ると、アマリアお姉様が飛んだ。大きく振りかぶった大剣を、渾身の力を込めて振り下ろす。その力を防ぐ力のない魔物は、肉や骨を断たれ、真っ二つに切られた。

ドスン、と魔物が地面に横たわり、ピクリとも動かない。どうやら、上手くいったようだ。

「アマ――」

「ルイ、大丈夫!? 怪我をしていない!?」

声を掛けようとしたが、凄い剣幕で詰め寄られた。

「魔物の攻撃は当たってない!?」

「う、うん……」

「よ、良かった……。いきなり前に出てくるから、ビックリしちゃった。でも、無事ならそれでいいわ。私の前では、絶対にルイに怪我をさせたくないから。昔のようには絶対にさせないから」

そう言って、私の頭を撫でる。心配かけちゃったかな、と少しだけ反省をした。

アマリアお姉様がこんなに過保護になったのは、森で一緒に遊んでいた時に魔物に襲われて怪我をしたから。その時、姉なのに守れなかったことを後悔して、今度は守れるように強くなるって宣言したっけ。

まぁ、あの時の事がなくても、アマリアお姉様は過保護になっていたと思う。もう、その星に生まれた人な感じだ。

「今回はルイのお陰で助かったわ。今のも錬金術の魔法よね?」

「うん。掘削に使えたんだから、魔物にも使えるって気づいたの」

「そうなの。やっぱり、ルイは凄いわ。偉い、偉い」

「むぅ……そんなに子ども扱いしないでよ」

褒められるのは嬉しいけれど、子ども扱いは複雑だ。ふくれ面をしていると、アマリアお姉様が可笑しそうに笑う。

「それは、これからの活躍次第ね。さっ、魔物も倒したし、問題の地層を見に行きましょう」

大剣をしまうと、私たちは地層に近づいていった。その地層は探していたものに酷似している。鑑定をしてみると――。

【白粒石】

・濃い灰色と白い斑点が特徴的な石

・属性石が含まれる

「うん、当たりだよ!」

「そう、良かった! これで後は掘り出すだけね。フォローは任せて!」

目的の地層が見つかった。これで、属性石を見つけられれば、素材は揃う!