軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

88.魔法アイテムの作成(1)

勢いよく執務室の扉を開けて、息を吸う。

「ロザンお父様! ファルスお兄様! ただいま! すぐに調合に取り掛かるから、邪魔しないでね!」

「お、おい……ルイ」

「ふふっ、分かったよ」

よし、これでイザベルお母様に次いで、二人にも帰ってきた挨拶が終わった。これで、調合に集中出来る。

急いで自室に入ると、テーブルに向かった。そして、テーブルの上に取ってきたばかりの素材を並べる。

「さぁ、調合の始まりだ!」

気合を入れると、すぐに錬金術の魔法を見てみる。

「さて、どんな魔法を使おうかな。まずは普通に【調合】してみて、様子を見よう」

何が正しいか分からないから、片っ端から挑戦していく。【道具召喚】で小さな釜を出すと、その中に【錬金水】を溜める。

「じゃあ、素材を入れるんだけど……。品質100の素材はまだ使わない。確実に成功したら、品質100を使おう」

選んだのは品質80程度の属性石。それと、メリネルト鉱石。親指大の大きさの量を釜の中に入れて、混ぜ棒を入れる。

「さて、どうなるかな……【調合】!」

まずは、全部混ぜ合わせてみる。すると、混ぜ合わせてすぐに反応があった。

「混ぜるんだけど、なんか凄い抵抗感……。あっ、これはまずい!」

そう思った時――ボォンッ! と釜が爆発した。

「げほっ、ごほっ! やっぱり、失敗かぁ……。まぁ、そうだよね。ただ、混ぜ合わせて出来るんなら、今まで苦労はしなかったもんね」

それでも、それが分かっただけましだ。釜の中に指を入れると、何かの固形の感触があり、それを拾い上げる。

机の上に転がすと、それは黒ずんだ金属の塊だった。

「これは、どういった失敗なのか、鑑定ちゃん教えて」

【不純物が含まれた金属】

・メリネルト鉱石からの不純物が多く含まれている。

・属性同士が反発しあって、効果が失われている。

「なるほど……。じゃあ、まずメリネルト鉱石の不純物を取り除く作業が必要みたいだね。あと、属性同士が反発して効果が失われているって致命的な感じがする」

メリネルト鉱石から不純物を取り除くことは可能だ。だけど、属性を合わせると効果が失われるのは痛い。

とりあえず、属性は後回しにして、メリネルト鉱石から順番に処理していこう。

「鉱石って確か、色んな成分が含まれているんだよね。それを、高炉などで鉄だけの成分を取り出して、鉄が出来る。不純物を取り除くには、どんな魔法が有効かな?」

錬金術の魔法の欄を確認して、役に立ちそうな魔法を探す。すると、見慣れた魔法が目に留まった。

「【成分消去】か……。これなら、不純物を取り除くことが出来るんじゃない?」

鉱石に含まれている不純物は成分だ。だから、【成分消去】が有効だと思う。

「よし、試してみよう」

釜の中にメリネルト鉱石を入れ、混ぜ棒を入れる。そして、【成分消去】を発動させた。

メリネルト鉱石から様々な気配がする。これは、相当の数の成分が含まれているようだ。

「えーっと、メリネルト鉱石の成分はどれかな。鑑定ちゃん、気配を教えて」

すぐに鑑定を発動させると、メリネルト鉱石から主成分の気配を感じた。だったら、この主成分を消さないように、他の成分を消していこう。

集中していらない成分を消去していく。一つ、また一つと消えていき。メリネルト鉱石の主成分だけが残った。最後に【調合】で形を整えると――。

「これでどうだ!」

混ぜ棒を取り出すが、特に反応はない。ドキドキしながら、釜の中に指を入れる。すると、物体があった。それを取り出してみると、綺麗な銀色をした金属が出てきた。

「普通のメリネルト鉱石とは違う。鑑定ちゃん、教えて」

【メリネルトインゴット】

・メリネルト鉱石の主成分が含まれた金属

・魔力を伝達する効果が含まれている

「出来た! 純粋な主成分だけの金属!」

不純物のない金属が完成した。これで、魔法アイテムの作成成功に一歩近づいた。

「じゃあ、問題なのは属性石の【調合】だよね。一緒にすると反発して効果がなくなる、か。……とりあえず、一つずつインゴットと【調合】してみる?」

思いつく対策は、別々に【調合】するということ。それをすれば、効果が反発し合うこともない。

「じゃあ、このインゴットと火石の【調合】から始めよう」

釜の中にインゴットと火石を入れる。混ぜ棒を入れてかき混ぜながら、【調合】を発動させる。

始めは別々だった二つの素材が【調合】によって、混ぜ合っていく感覚を感じる。これは思ったよりも良い調子だ。

そのまま【調合】を勧めていくと、突然感覚がなくなった。ということは、【調合】が成功したってこと?

釜に指を入れて、取り出してみる。すると、インゴットと融合した火石が出てきた。

「一応、これって成功? 鑑定ちゃん、教えて」

【火属性金属】

・火属性の効果が含まれた金属

・魔力を通すと、火属性の魔法が使える

「あっ、出来てる!? ……ちょっと、試してみようかな」

出来た金属を手で握り、人差し指を出す。金属に魔力を込め、火が出るようにイメージをした。

すると、人差し指から火がポッと出てきた。

「火! 火が出た! 私、魔法を使っている!?」

本当に火属性の魔法が使えるようになってる! 錬金術で作ったアイテムで魔法が使えるようになってる!

「凄いもの、出来ちゃった! これで、他の属性も成功させて、最後に一つにまとめれば――最高の魔法アイテムが出来る!」

気合が入ってきた。この調子で、他の【調合】も成功させていこう!