軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

カッコいい……です

決戦の日はあっという間にやってきた。

土曜日の朝、俺はなんだか落ち着かない気持ちで家を出ると、氷堂さんとの待ち合わせ場所であるギルド【リベリオン】へと向かった。

ちなみに、電車の中ではいろんな人に話しかけられた。これじゃ落ち着かない気持ちがどんどんエスカレートしちゃう。

ギルドに辿り着くと、一番最初に待っていたのは葵ちゃんだった。

「おはようございます!」

「おはよ。葵ちゃんが一番乗りか。真面目だね」

「えへへ。ちょっと緊張しちゃって、早く起きすぎちゃったんです」

そりゃ緊張するよな。ダンフェスって言えば探索界隈で最もアツいイベントなわけだし。

『景虎様、探索者カードの受け取りをお忘れなく』

「ああ、そうだった!」

AIミリアに言われて、大事なことを忘れずにすんだ。しばらくここに探索者カードを預けていたんだけど、受付に行って返してもらうことにした。

これがないとダンフェス参加できないし、マジ危なかった。

受付に行くと、お姉さんがカードを持って来てくれたんだけど、なんだか気まずそうな顔してる。どうした?

「あの、すみません。どうも故障しちゃってるみたいで……引き続き直させていただきたいんですけど、今日ダンジョンに向かわれますよね?」

「故障? でもダンジョン行かなきゃなんで、とりあえず今日は返してもらっていいですか」

お姉さんは困った顔のまま頭を下げつつ、カードを手渡してきた。俺はそのカードを見たあと、しばらく頭の中が真っ白になった。

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名前:竜牙景虎

探索者レアリティ:SR

レベル:あああ

体力:あほ01/あほ01

魔力:段い10/段い10

力:いいいあ9

速さ: 64

頑丈さ:◾️5◾️◾️

器用さ:7////

運:12 78

Sスキル:

竜◾️◾️

スキル:

回転 見 り

使える魔法:

ファイアボール ◾️◾️◾️◾️エゴ

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「な、なんだこりゃあああ!?」

あまりに意味不明なステータス画面に、俺は絶叫してしまう。

その声にびっくりしたのか、葵ちゃんが駆けてきてしまった。

「どうしたんですか! え、その探索者カード……」

「お、俺ってば……どうなっちゃったの」

まさかレベルがカンストするどころか、【あああ】などという訳の分からない表記になってしまうなんて。

葵ちゃんも初めて見る光景らしく、一緒になって固まっている。

すると、唯一落ち着いているAIミリアがアドバイスをくれた。

『このカードは表示できるレベルの上限が低く、まだ景虎様のステータスを完全に表示することができません』

「そうなのか? でも俺、HPがアホになってたよ! 本当に大丈夫?」

『はい。ご心配には及びません。景虎様のステータスは低下どころか、現在も自動周回により上昇しております。周回途中のためステータス表示はできませんが、ご安心ください』

ああ、自動周回ね。そう言えばログボで毎日ダンジョンキー配ってもらえてるから、ずっと使ってたっけ。

でも本当かなぁ。もしかして俺、実はめっちゃ弱くなってないか。ひょっとしてレベル上げすぎて、HP1になって即死状態じゃないよね?

すると、心配している俺を見上げながら、葵ちゃんが励ましてくれた。

「AIさんが言うなら、きっと大丈夫ですよ。受付嬢さんも、故障っておっしゃってましたし。あの、さっきはすみません。勝手に探索者カード見ちゃいました」

「あ、あー。別にいいよ。俺、普通にカード見せちゃうことあるしさ」

「そ、そうなんですか。景虎さんっていつでも堂々としてて、大人って感じがします」

いやいや、俺なんて全然大人じゃないよ。この子は悪い大人に騙されないか心配だ。

「その、良かったら……私のも見ますか」

スッと両手で差し出された探索者カード。俺は思わず見てしまった。

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名前:水鏡葵

探索者レアリティ:SR

レベル:49

体力:808/808

魔力:2039/2039

力:208

速さ:1112

頑丈さ:189

器用さ:1034

運:1375

Sスキル:

未修得

スキル:

自動魔力回復

使える魔法:

癒しの風、女神の光、ホーリーライト、解毒光、マジックバリア、ダメージバリア、デバフバリア

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「おおお! 葵ちゃん、すげえいろいろ魔法覚えてるじゃん!」

「えへへ。ずっと頑張ってました」

「やるなー! まだ高校生なのに、すげえよ」

「な、なんか照れちゃいます」

『………』

あれ? そういえばミリアがちょっと静かになってないか?

最近ゴーグルの調子悪いのかなぁ。

とまあ、そんな感じでいろいろと喋っていたら、黒いスーツ姿がキマってる氷堂さんが颯爽とギルドに入ってきた。でもスマホを耳に当てながら、何か険しい顔してる。

俺たちが挨拶をすると、彼はようやくこっちに気づいたみたい。

「おはよう。二人とも時間前に集まってくれてありがとう」

「あの、何かあったんですか? 困った顔をされているみたいでしたけど」

葵ちゃんが心配して聞いてみると、氷堂さんは首を横に小さく振った。

「チャットの起床報告がない人がいてね。彼らは現地集合だが、ちゃんと移動しているか心配になったんだよ」

氷堂さんのチームでは、ダンフェスのような大型イベントの際には朝起床報告をチャットですることになっている。

俺も一応起きたことをチャットで伝えたけど、そう言えば返事してくれたの葵ちゃんと氷堂さんだけだったな。

なんか心配だなぁ、と思いつつ……俺たちは車でダンジョンがある街へと向かうことにした。

車の運転は氷堂さんがしてくれたんだけど、時たま停車しては、連絡がないチームメンバーに電話をかけていた。

ちょっと嫌な予感がするなぁ、とか考えていたら、ようやく車はとあるダンジョン近くの駐車場に到着した。

闇竜の魔窟。そんな不気味な名前で呼ばれているダンジョンは、都会の公園の中に存在している。

ぽっかりと開けた洞窟の入り口は、周囲とのギャップがもの凄い。今回はダンジョン近くに救護用のテントや、探索で手に入れた品物をすぐに売り飛ばせる質屋が並んでる。

それだけじゃない。テレビ番組のアナウンサーや野次馬、それから探索者たちが大勢集まっていて、ただ事じゃない空気感が出ていた。

湧き上がる熱気を前にして、俺も自然と緊張感が増してくる。

「あ、そうだ。もう鎧着ておくか」

葵ちゃんと二人でポカンとしていたけど、そういえばまだ鎧を着てないんだった。AIミリアがボックスを開放してくれたので、唐突に飛んできた鎧や盾が一瞬で体に装着された。

「ええ!? か、景虎さん。今のって……」

「ああ。サブスクのサービスでさ。ボックスに入れてある鎧とか、瞬時に着せてくれるんだよ。めっちゃ便利だよね」

「カッコいい……です」

「この鎧いいよな! 俺もカッコいいと思う」

こういう異世界RPG風の鎧って、どことなく男にしか分からないカッコ良さかもと思っていたんだけど、ちゃんと理解してくれる女子もいる。それが嬉しかった。

ちなみに葵ちゃんは、白を基調としたパイロットスーツみたいなピチッとした感じの服を着てる。

これはダンジョンスーツという市販の防具の一種で、彼女が着るとなんでも可愛く見えるから不思議。ちなみに長い杖を手に持っていた。

最後に額当て付きのゴーグルを装着し、とりあえず準備はできた。後は他メンバーと合流して、スタート時間になったらダンジョンに突撃するのみ!

俺はとにかく気持ちを高め、その時を待っていた。