作品タイトル不明
メタルモンスターの集団がいます
いつものダンジョンより、ちょっと床がツルツルするような。
しかも全部鏡みたいに反射してて、明らかに異質な場所に来た感じがする。
『今回のダンジョンでは、先日手に入れたデモリッション・スティックが有効です』
「あれかー。よし、じゃあ早速……ん?」
なんか入り組んだ通路を進んでいたら、シュシュっと何かが動いた気が。
『モンスター、メタルゴブリンが三体現れました』
「え、あのメタゴブが!?」
言われて注意深く見てみると、確かに銀色のゴブリンが三匹いる!
しかもあいつらときたら、俺を見るなり石を投げつけてきやがった。
「うわっと。この」
とりあえず避けつつ攻撃しようと追いかけたんだけど、奴らときたら逃げ足が早い。あっという間に通路から消えてしまった。
それにしても、あのメタルゴブリンが出てくるなんて!
あのモンスターは獲得できるEXPが半端じゃないんだけど、とにかく硬いから倒せないし、すぐ逃げることで有名だった。
:おいおいおい
:ちょっとちょっと、いきなりメタゴブ三体出現するって、なんだよこのダンジョン
:逃げられたかー
:あれって一度の探索で一匹見つければ超ラッキーなモンスターじゃなかった?
:三匹倒したらどうなってたんだろ
:残念だったね
:経験値めちゃ高いって噂よな
:超美味しかったよあいつら
:カゲ君ドンマイ
:涙拭けよ
:ああ、残念だったねえ
:ってか、このダンジョン鏡ばりみたい
:初っ端から撮れ高凄い
:次は頑張って倒そう!
:あいつら強くはないけど、逃げ足はすげー
:運良ければ低レベの人でも倒せるよね
:超硬いけど、頑張れ!
:まだフロア内にいるんちゃう?
:ドキドキしてきた
「よっし。次こそやっつけるぞ。でもあれだなー、また会えるのはいつになるかな」
曲がり角だらけの道を進みながら、俺は前途に不安を感じていた。しかし、うちのAIがとんでもないことを教えてくれた。
『奥の開けた場所に、メタルモンスターの集団がいます』
「え、マジで? は!? ホントだ」
壁に隠れて遠くを見ると、確かに広い箇所にメタルモンスターがいっぱいいる。メタルゴブリンが四匹、メタルイノシシが一匹、メタル骸骨剣士が一匹。
どれも見たことあるけど、戦うと超弱いけどすぐ逃げるモンスターばかり。うーん、どうしたもんか。
『先日手に入れたSRカードの使用をおすすめします』
「あ、そうか。どれにしようかなー」
喋ってる間に、どんどん開けた場所にモンスターが集まってきてる。半端じゃない数に増えてるみたいだ。もしも全部倒したら……どんだけEXP貰えるんだ?
そんなことを考えつつ、俺は一枚のカードを取り出した。
「これがいいんじゃないかな」
『はい。有効であると思います。効果は長めですので、今から使用しても問題ありません』
よし、じゃあやってみよう。俺はデモリッション・スティックを右手に持って駆け出し、左手でカードを投げる。
すると、虹色に輝くカードから、銀髪のイケメン魔術師が現れて空に浮かんだ。
ちなみに今回投げたのは、夢幻の大魔術師っていう名前のカードだった。少しして、イケメン魔術師が杖を振り周囲に光り輝く魔法をかける。
それがどんな効果を及ぼすのか、前もってカード効果を知ってはいたんだけど、実際に見ると驚かずにはいられない。
全てがスローモーションに映る。モンスターの動きはやたらゆっくりになり、ゴーグルのコメント欄も止まっているようだ。
ミリアの声は聞こえない。俺はただひたすら走り、目前にいるモンスターに攻撃を仕掛けた。
デモリッション・スティックは命中率が高いわけじゃないんだが、このゆったりと流れる世界では、外す方が難しい。
メタルゴブリン四体は、けっこう楽に一体ずつ倒していけた。続いてメタルイノシシ、メタル骸骨剣士、メタルバッタ、メタルトレントといったモンスター達に、ひたすら攻撃していった。
時折モンスター達が反撃してくるが、それすらも遅い。楽にかわせるし、向かってくるほうが倒すのは楽だ。
そんなことを繰り返しているうちに、魔法は静かに消えていく。
俺は肩で息をしつつ、周囲を見回していた。
「これ、何匹くらい倒したんだろ」
『おめでとうございます。五十二匹討伐しています』
「そっか。思ったより倒してんな……。あ、みんなー。今召喚カードを使ってさ……?」
あれ、コメント欄止まったままだわ。
と思っていたら、数秒ほどしてから一斉にチャットがなだれ込んできた。これまでにない滅茶苦茶な勢いで!
:……はい?
:…………なんだこれ
:え、
:ああ!?
:えええええええええ!
:化け物かよぉおお!
:ちょっと待って。なんだあのメタルモンスターの群れ!? なんだあのカゲの動き!?
:信じられないものを見た
:主は光の世界に生きてるの?
:もしかして、全部早送りしてたとか?
:はあああああ!?
:どうやったの?
:そういえばガチャの時から思ったけど、あんな召喚カード初めて見たぞ
:カゲ君が速すぎて意識すら追いつけない
葵:ビックリしました。こんなに凄い配信初めてです
:主がヤバすぎるのか、召喚カードがえげつないのか……多分どっちもだな
:怖すぎて草
:まさかメタルモンスターがスピードで圧倒されるとは
:ええええええええ
:何レベルくらい上がってるん?
:葵ちゃんがまたきてる!?
:うおおおおおお!
:葵ちゃんも夢中だ
:過去一のスピードスター
:エグすぎw
:このダンジョン、もしかしてメタルモンスターばっかり出るのか!?
みんなの反応が凄まじい。見てるほうが冷や汗出てくる。ってか葵ちゃんも来てるのか。
「葵ちゃんお疲れ! いやいや、召喚カードの力だよ。俺自身は全然。さて、ここはまだ続きがあるのかな」
『地下へと続く階段があります。景虎様は良い感覚を掴まれています。この調子で倒していきましょう』
「おっし! 行くぜ」
ミリアの言うとおり、下に続く階段がある。元気に降りていってみると、今度はさっきよりも壁や床がキラキラしていた。
これはさっきよりもヤバい何かがあるのかも? と思い進んでいると、案の定だった。