軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第149話 一家に一台

「今日はこの辺りで野営しようか」

「かしこまりました」

相当なスピードで進んだけど、さすがに一日では次の街にたどり着けなかった。馬車を下りて、いつものように野営の準備を進める。

「それはマジックテント、マジックトイレ、マジックバスルームですか?」

レインが私が取り出した道具を見て口を挟んだ。

「うん、それがどうかした?」

「それらを一つのアイテムにまとめることができますが、いかがしますか?」

「ほんと!? お願い!!」

話を聞くなり、私はすぐにそれぞれのアイテムを渡す。

最近いちいちそれぞれ出すのが面倒になってたんだよね。

初めはマジックテントもなかったんだけど、楽を覚えるとダメだね。もっと楽できないか考えてしまうんだから。

でも、やってくれるっていうんだから甘えちゃおう。もう自由に生きることにしたんだから楽しても良いよね。

「お任せください」

レインは各々のアイテムを仕舞い、すぐに別の一つのアイテムを取り出した。

以前見たことがあるエリアが持っていたテントによく似ていた。

「こちらがマジックテント改になります」

「ありがとう」

折りたたまれたテントを受け取って展開。

中に入ると、エリアのテントと同じような造りになっていた。今までよりも全てがバージョンアップしている。

「なかなかやるではないか」

「ピピィッ」

「お褒めいただき、ありがとうございます」

テントが快適になってアークとエアもご満悦。これで外でもゆっくりと休むことができるし、アークも外で寝る必要はなくなる。

亜空間倉庫といい、アイテム作成といい、レインと出会えたのは本当に運が良かった。

「腹が減ったぞ。早く飯を作るのだ」

「ピピィッ」

「はいはい、分かったよ」

アークとエアに急かされ、外で夕食の準備を始める。

お昼にカレーを食べたので、夜はまた別の物が食べたい。

正直、ご飯を食べるのなら、前に食べた生姜焼きや豚の角煮が非常に合うんだけど、今日は魚があるから魚料理にしよう。

「マスター、お手伝いいたします」

「ほんと? それじゃあ、まずブリブリを捌いてくれる?」

「分かりました」

ブリブリは言ってしまえば、名前の通り、そのまんまブリだ。ただ、その大きさは普通のブリの数倍はある。これだけあれば、足りなくなることはないはず。

海の中で襲い掛かってきたので返り討ちにしたやつだ。

――ズバッ!!

レインがブリブリを空に放り投げて軽やかに飛び上がり、まるで体操の技でもしているかのように美しい所作でブリと交差する。

レインが着地すると、身と骨が分離して身がバラバラになる。レインが落ちてきた身を一度亜空間倉庫に仕舞い、皿に乗せて外に出した。

適度な大きさに切られた身をもらって料理を作っていく。

まずは、しょうゆや蜂蜜、白ワインや砂糖などを組み合わせて煮詰め、焼いたブリの切り身にタレを煮絡めて完成。

そう、ブリの照り焼きだ。

「うん、美味しい!! すっごくご飯が進みそうな味だね」

味見したけど少し濃いめで、食べたことのあるブリよりも圧倒的に美味しかった。

大味になるかと思ったけど、そんなこと全然なくていくらでも食べられそう。

「はい、どうぞ」

私とレインの分は亜空間倉庫にひとまず保存。まずアークとエアの前に料理を置いた。

「食欲のそそるあまじょっぱい匂いがたまらんな」

「匂いを嗅いだだけでパンやお米を食べられそうです」

「ピピィッ」

三人とも涎を垂らして待ちきれない様子。

「食べといていいからね」

「そうか。それでは悪いが先にいただこうではないか」

「ピィッ!!」

量が量だけに、作るのに物凄く時間が掛かるので、アークとエアには先に食べていてもらう。レインは全部作るまでお預けだ。

大根もどきとブリを煮込んだブリ大根。カラッと揚げたブリの唐揚げと竜田揚げ。ブリを使った海鮮鍋。

思いつくはしからブリ料理を作った。

「それじゃあ、私たちも食べようか」

「はい」

「いただきます」

「いただきます」

ようやく料理を作り終わったので、私とレインも食事に舌鼓を打つ。

「うっまぁ……!!」

「マスター、お米を口に運ぶのを止められません。どういうことでしょうか」

「それがご飯が進むってことだよ」

食材が新鮮なおかげでどの料理も絶品に仕上がっていた。

それだけに今のお米では物足りない。早く日本産に近いお米を探さなければ。

私たちはブリブリ一本なくなるまで食べ続けた。

「ふぅ〜、お腹いっぱい」

「洗い物はお任せください」

「いいの?」

「はい、マスターの身の回りのお世話は私の仕事ですから」

「分かった。よろしくね」

料理を終えたあと、片付けもレインがやってくれた。もう至れり尽くせりって感じ。

私たちは風呂に入ってベッドに潜り込んだ。

そして、翌日。

「マスター、街が見えてきました」

「ほんと? あっ、見えた。 うわぁ、なんだかこれまでの街と毛色が違うね」

第三の独立都市、バッカーノが見えてきた。

これまでの街とは違い、煌びやかな建物が立ち並んでいるのが見える。

情報によると、バッカーノは交易の街として栄えていて、ギャンブルが有名。それに、オークションも開催されているみたい。

ギャンブルなんてやったことないから面白そうし、オークションには何が出るのか興味がある。

楽しみだな。