軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第123話 証明と香辛料

『うぉおおおおおおおおっ!!』

戦いの直後、観客席の冒険者たちが歓声を上げた。

「すげぇ!! 鉄壁のガンドが手も足も出なかったぞ!!」

「やべぇ!! 全く強そうに見えないのに、どこにそんな力が!?」

「だよな。どう見てもただの美少女にしか見えないのに!!」

「そうそう。どう見ても強く見えないのに!!」

驚いた以上の声量に観客席を見ると、結構たくさんの冒険者がいるのが見えた。

いったいいつの間に……それに、そんなの言われなくても分かってるよ!!

「手間を取らせたな。それじゃあ、戻るぞ」

「分かりました」

「お前たち、悪かったな。終わったから使っていいぞ」

『うぃーっす』

私たちはギルドマスターの部屋に戻り、クラウンフォレストの報告を再開。改めて話せることは全部話した。

そして、最後に魔石の処遇を尋ねる。

「買い取りたいところだが、予算が足りねぇ。俺が確認したってことでいいだろう」

「いいんですか?」

「クラウンフォレストの魔石なんて滅多にお目に掛かれないからな。それに色や形もかなり綺麗だ。これほどの魔石となれば相当な値がつく。冒険者ギルドの支部では無理だ。貴族が来るような大規模なオークションや国なら買い取ってくれるだろうが」

「なるほど」

冒険者ギルドが買い取れないくらいの値段っていったいどれくらいなんだろう。バンドールでの鉱山の崩落事件のことを考えると、金貨二万枚くらいは出せるはず。

それ以上だと考えると、ちょっと怖いかも……。

背筋にゾクッと悪寒が走った。

「本当にいいの?」

「はい、構いませんわ」

エリアたちとどうやって分けようかと思っていたけど、皆が断固として受け取りを拒否したので、クラウンフォレストの魔石は私がこのまま受け取ることに。

オークションに出る機会があったら、出してみようかな。

最後にランクの話になった。

「それと、本当なら俺の権限でお前さんをBランクに上げたかったんだが、こなした依頼数がまだまだ足りない。実力は申し分ない……どころか詐欺みたいなものだが、ギルドへの貢献度が足りない状態だな。悪いが、我慢してくれ」

「いえ、全然大丈夫です」

物語を嗜んできた者としてSランク冒険者とか憧れるけど、急いでランクを上げたいわけじゃない。のんびりやっていこう。

ギルドマスターとの話を終えて部屋を出ると、エリアたちがキラキラした瞳で私を持て囃した。

「まさか、ガンドさんに何もさせないなんてビックリしましたわ!!」

「えぇ、本当に」

「俺もガンドさんにはまだまだ手も足も出ないのに信じられないよ」

なし崩し的にガンドさんと戦うことになったけど、今回は自分の実力を測るのにちょうどいい機会だったと思う。

おかげで、元Sランク冒険者相手でも余裕で勝つことができることが分かった。

それに、Sランクくらいの実力があれば、中威力くらいのデコピンまでは耐えられるということも。

Aランク以下の相手にはデコピン"弱"以上の力を出さないように気をつけよう。弾けたスイカみたいになっちゃうからね。

そして、街中で護衛は不要ということで、ヒイロさんたちとはここでお別れ。

「アイリスさんがいなければ、今ここに俺たちはたどり着けなかったと思う。本当にありがとう」

「いえ、こちらこそ。ヒイロさんたちが守ってくれていたからこそ、全員無事に森を抜けられたと思います」

これは私の本心。

ヒイロさんたちくらいの実力者がいなかったら、トレントたちから商隊全てを守り切るのは難しかったと思う。

「ははははっ、謙虚だね。アイリスさんくらいの歳の冒険者なら調子に乗って言いふらすところだよ。それじゃあ、またどこかで会えることを願ってるよ」

「はい、また」

「それでは、お店に行きましょうか」

「よろしく」

冒険者たちと別れを告げ、エリアたちと一緒に商会へと向かった。

『匂いが強くなってきたな』

『ホント?』

アークの念話を聞いて鼻を鳴らす。

くんくん、この匂いは!!

作ろうと思っていた料理の匂いが漂っていた。

「カレーの匂い!!」

それは、嫌いな人はあまりいないんじゃないかと思われるカレーの匂い。転生系ファンタジー物語でも定番の料理だ。

「カレー? あぁ、これはクアリと呼ばれる、この辺りの名物料理ですわね。これから訪ねるクアトロ商会に併設されたレストランでも提供されておりますわ」

「それは楽しみ」

エリアによると、なんと、カレーはクアリと言う名前ですでに存在しているらしい。

前世でもほとんど食べたことないけど、とても美味しかったのを覚えている。カレーが出された日はとても嬉しかった。

是が非でも食べたい。

数分程でクアトロ商会に到着。グレオス商会よりは小さいけど、シックでアンティークのような趣のある建物だった。

「ここで待っててね」

「ふんっ」

「ピヨピヨ」

外にアークとエアを置いてクアトロ商会に入り口を潜った。

その瞬間、香辛料のスパイシーな匂いに包まれる。

「おお~」

店内には瓶に入った香辛料らしきものが至る所に整然と並んでいた。