軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

302話 拠点に戻ったら(前回の閑話より時系列が戻ります)

――そういえば、内海の町から拠点に戻ったときに式部をアマト氏に紹介して、連れ回さずに牧場に放牧することになったのだ。

私たちの旅は危険が伴うのと、式部はリョークがいれば寂しくないようだしついでにアマト氏になついたので、なら拠点で安全に暮らした方がいいんじゃないかということでまとまった。

「え? コレ、リョークじゃなくて、本物の蜘蛛?」

って、アマト氏は最初戸惑ったが、「ギチギチギチ」と式部が挨拶をすると、

「あ、声が違うね。はいはいよろしくー」

って簡単に意思疎通をし、牧場に案内をしていた。

…………それにしても、声が違う?

そりゃあリョークは私の声だけれども、式部はそもそも鳴いてない気がするけどな?

まぁいいけど。

お気楽メンバーたちは屋敷に部屋を持つことを辞退している。

一応、最初に拠点に着いたときに屋敷を案内しているのよ。そうしたら、

「「「「シャールの中がいいです!」」」」

って、全員が異口同音に言った。

人見知りさんかなー?

でも、兄妹従兄弟で固まって過ごしていたら、ますます嫁さん婿さん探しが難航するよね。本当に結婚する気があるのかなーっと。

私は腕を組んで悩みつつ答える。

「うーむ……。まぁ、お前たちがそれでいいならばいいが……。だが、風呂は屋敷のを使え」

ちゃんと洗って、湯船に浸かりなさいね。と、説教した。

ベン君のお店が落ち着いて拠点の屋敷に戻ってきたら、私の前に現れたメイド嬢たちがソワソワしている。

いつも落ち着いているメイド長までがソワソワしているなんて、とっても珍しい。

「どうしたのだ?」

とメイド長に聞くと、メイド長はかしこまった後、せきばらいをした。

「……アリオス・サマーソル様より、贈り物が届いております」

「誰だそれは」

知らんやつが何を送りつけてきた。

「アリオス・サマーソル様は、サマーソル公爵家のご令息です」

と、メイド長が教えてくれたが、そんなやつ、知らん。

「送り返せ。知らんやつが送りつけてきた物など怖くて受け取れん」

そう言ったのに、メイド長は「かしこまりました」と言わず、もの言いたげに私を見る。

「ん? まだ何かあるのか?」

「…………アリオス・サマーソル様は、インドラお嬢様の、叔父にあたる方です」

あ。

思い出したぞ。

あの、私を口説いてきたかと思いきや、母親の弟だったっていうオチのあの方か。

私は手をポンと打った。

「知らんやつではなかったな。王都で会ったことがある」

私がそう言ったら、メイド長はホッとしたようだけれど。

「だが、物を贈られるような仲ではないな。送り返せ」

そうメイド長に言ったら、またもの言いたげになった。

何? もらってほしいの?

「…………こちらにお手紙がありますので、まず目を通していただいてから、再度お考えいただけるでしょうか」

――メイド長、送り返す気がないね?

しかたないので、メイド長から手紙を受け取り、自室に戻って読む。

……しかしまた、すごい数の手紙が届いているな。しかもいちいち便せんの枚数が多いし。

開けて読んだら――――うん、なんか、熱量がすごいね。

私は確かに美少女だけど、私のことをとっても愛らしい深窓の令嬢のように思い込んでいるような、私への賛美がず━━━━っと綴られている。

流し読みで全部読んだが、全部がそんな感じ。

で、手紙を送るごとに一緒に何か贈ってきているのだろう。私に似合うであろうドレスとか、私に似合うであろう髪飾りとか、私に似合うであろうアクセサリーとかを買ったと書いてあるよ。

確かに、送り返すのが怖いね。送り返したら、もっとすごいのを買って送りつけてくるんじゃないかな?

――と考えていたら、ノック音。

メイド長と、その後ろにメイドがたくさんのプレゼントの箱を抱えて入ってきた。

うーわー。

「アリオス・サマーソル様からの贈り物でございます」

メイド長、送り返すつもりはまったくないらしい。

「服やアクセサリーだそうだ。送り返したらもっとすごいのを贈ってきそうだから、おとなしく受け取っておく」

私が観念してそう言ったら、メイド長以下、全員がニッコリと笑った。

しかたがないので包装を解いてクローゼットにしまっておくよう指示をする。

「インドラお嬢様も、ご確認をお願いいたします」

と、メイド長に叱られたので一緒に贈り物を見たら。

「…………叔父殿の、私のイメージは、こうなのか」

ベビーピンクのフリフリのドレスが現れたぞ?

私が着るの? それを? マジで?

メイド長以下、ドン引き……していない。

「とっても愛らしくなりそうですよ、インドラ様!」

「ぜひ、袖をお通しくださいね! 私どもが着付けいたします!」

メイド嬢たちは似合うと口々に言うし、メイド長も同意するようにうなずいている。

マジで?

「こちらもインドラ様に、とても似合いそうですわ!」

と、サリーが掲げて見せてくれた。

……これまたかわいらしいボンネットみたいなヘッドドレスが出てきたな。

デザイン的には悪くはないが、私に似合うかどうかは謎なんだけど。プリムローズのほうが似合いそう。

私はもっとカッコいいのが好きなんだよなぁ。スチームパンク系とかさー。

今着ている衣装だって、すごく似合っていると思いません?

……と、言いたいが、メイド嬢たちは盛り上がっているし口をそろえて似合うと言う。

そして、押し切られて着ることになった。

いいけどね。

「――と、いうわけで、こういうことになった」

メイド嬢たちにあれやこれやされて磨かれた挙げ句すさまじいロリータな格好を着付けさせられたので、メイド長に命じられたソードが私を迎えに来たときに弁解したのだ。

私のドレス姿にいつも微妙な顔をするソードは、今回、微妙どころではなく絶句してフリーズした。

メイド長が大きくせきばらいをして、ついでに軽くたたき、ようやく戻ってきたよ。

ソードが、私を憐れむような同情するような表情で見たぞ。

「…………お前も、大変だな」

ソードのその言葉に、私は大きくうなずいた。