軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

257話 続続 屋台の準備をしよう 再

魚を三枚に下ろす。

香草塩と酒を振り、寝かせる。

フリッター用のバッター液(さっきの豆用)をつけ、揚げる。

芋も揚げるのだ。

私は断然細切り派なのだが、魚の揚がる時間とそろえたいので適度な厚みで。

「やっぱり正統派はモルトビネガーだよねー。でも苦手な人もいるだろうし、〝ケチャップ〟も用意しようっと」

ハーブ塩を軽く振り、ビネガーとケチャップを添える。

でーきたっと。

ソードに味見してもらおうと、差し出した。

「ソード、どうだ?」

「エールも飲ませて」

…………。

いいけどね。

フィッシュ&チップスをつまみ、

「うん、うまい。俺はビネガーの方が好きかな。ケチャップだと、ケチャップの味しかしない」

らしい。

それを子供たちが羨ましそうに見ている。

「……しかたないな。ちょっとだけだぞ? 賄いは賄いで作るから、我慢しろ」

「「「「「やったー!!」」」」」

喜んでつまみ出した。

ソードが首に腕を絡めてきた。

もう酔ってるの?

「あと何作るの?」

「ダーキングオクトパスの〝アヒージョ〟……オイル煮だな。これは、パンを添えて、残ったオイルをパンに吸わせて食べると最高にうまいのだ。豆と肉を合わせた団子も作る。ハーブを入れて、炒めた玉ねぎと合わせたホワイトソースをかける予定だな」

伝えたら、ソードはニコッと笑い、

「俺、シャノン作る手伝い頑張っちゃうよ? あと、明日は一緒に行こうな?」

と、返してきた。

この、食いしん坊め……まぁ、メニュー聞いて喜ばれるとこっちもうれしいけどね……。

大体仕込んで賄いを出す。

聖女はともかく高飛車男は「下賤の者が作ったものなど食べない!」と言うかと思ったら、もらう気満々だ。

つーか、酒も飲みたいらしい。

お金を払うから、と言われてしまった。

「まぁ、一杯なら無料でいいぞ。今日で最後だし、飲みたいやつは飲め。子供たちにはコッチをやろう。土産に神官にも持っていけ」

アルコールなしシードルね。

わーっと喜び、飲めるやつは骨せんべいを肴に、飲めない子供たちはファラフェルモドキに豆ソースと野菜を挟んだピタパンを食べつつ飲んだ。

飲んだことのない連中及び子供たちが、飲んで驚く。

「すごーい! おいしい!」

「まぁ、拠点の酒造りチームのたゆまぬ努力と研究の成果だ。連中はこれに命を懸けてるからな」

冗談抜きでそれくらいの情熱で作っているのだ。

現在、各専門チームに分かれて研究しているらしい。

料理人の一人が総監督ぽいのに就いたと聞いた。

それはいいね! と軽く言っておいたけれど……うん、この世界の人たちって、ホンットーに酒が好きだよね!

聖女はシードルを飲んで、高飛車男はエールを飲んで驚いている。

「……こ、この味で、この値段で売ってるのですか?」

高飛車男が敬語になった!

ロブさんも酒飲んで変わったぽいし、酒マジックすごいな!

「まーな。だけど王都だと金貨が舞い飛ぶ金額だからな? これは、俺がまずい酒が飲めなくなっちゃったのと、インドラがこの町の雰囲気に合わせた酒場を開きたい、そこで演奏したいっつーんでこの価格にした。だから、今日ここで飲む分だけがこの金額だよ。他で買おうと思ったら、たぶん王都で知り合いの商人が売り出すだろうが、金貨で売るぜ。拠点では売ってないが、富豪の平民向けのレストランに出してる。そこも会員制だから、ま、今日で終わりだ」

ソードが言ったら高飛車男、ショックを受けたらしい。

「まぁ、この酒はちょっと質が落ちてるけどな。私が移動中に片手間で作ったものだから、拠点の酒にはかなわない。軽く飲んでつまんで帰る、という店をイメージしてるので、アルコール度数の強くない安酒を置いてるのだ」

全員、絶句。

「……あの、普通のエールって、もっと、全然違う味ですけど? インドラ様はともかくソードさん、飲んだことありますよね?」

おずおずと高飛車男がソードに聞いた。

そして『様』付けられた。

「……なんで俺が『さん』でインドラが『様』なんだよ? 毎度毎度! ……ハァ。ま、いいけどな」

ソードが頭をかいた。

「飲んだことあるに決まってるじゃねーか。俺だって駆け出しの頃はあったし、孤児みたいなモンだったから底辺の暮らししてたこともあったよ。で、インドラいわく、酒ってのは温度管理がなってなかったり放置しすぎたりすると、酸っぱくなるんだと。それがわかってねーのが大半だから、特に安酒場の酒なんてほっときすぎておかしくなってるのを仕入れて売ってんだよ」

ショックを受ける皆さん。

私は酒を飲まないので、子供たちを構っています。

「足りるか? 芋と魚も食うか?」

「「「「「食べるーーーー!!」」」」」

フィッシュ&チップスと骨せんべいを追加する。

「私はおかしくならないように処理をしているのだ。魔術を使ってな。だから、うまいと思う時点の味をキープ出来るのだ。それを道具で作るとなると、かなりの金がかかるだろう。手法も売らん。私の技術だからな。……子供たちよ、わかるか? こういった『自分だけが知っている技』を持った人間には価値が出るのだ。盗むなとは言わないが、闇雲に真似をするだけではなく、ちゃんと理解し、考え、実行するのが大事だぞ?」

「「「「「はーい」」」」」

たぶんわかっていないだろうが元気よく返事された。