軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

236話 ダンジョンコア様と会話しよう

「では、いきます」

木刀を抜いた。

お・ニューの木刀!

ソードが新しく堅い木を探して買ってくれたんだー。

それを、サハド君に削ってもらって、麗しのプラナに漆がけまでしてもらったんだー!

オーガも、大剣を構えた。

「……なるほど、お前も強い。覚えておく」

「私の名はインドラ。次に会うときは、インドラと呼んでくれ」

一閃。

振り下ろされた大剣とはぶつかり合うこともなく、木刀は全て切り裂いた。

オーガが粒子となって消えると、宝箱が二個出た。

「一個でいいのに……」

私がつぶやいたら、

『……ルールですから』

と、声が聞こえた!

「ダンジョンコア様! ……お初にお目にかかります、私、Sランク冒険者ソードとパーティを組んでいる、インドラと申します。この度は、こちらの質問に快く回答して下さり、感謝の言葉もございません」

騎士の礼をした。

『面白い方ですね。今まで永くここにいて、オーガに真面目に質問する者を初めて見ました。大体が命乞いでしたから……』

うん、それは確かに会話の必要性を感じないな。

「人間はとかく不可思議で理解しがたい行動に出る生き物です。そしてその行動で惑うのもまた人間という生き物。惑ったパートナーの憂いを晴らしたいと思うのもまた、人間という生き物なのです」

『貴女は、非常に面白い生き物ですね』

うん、人間という生き物が面白いんであって、私だけが面白いんじゃないよ?

『貴女にとって、このダンジョンのカラクリが多少わかったところでどうということはないでしょう。ですから、オーガが質問に対して回答したことをとがめはいたしません。最強の者よ、またの来訪をお待ちしています』

と、気前よく言われた。

うむー。

そうは言われたけど、もらいすぎだな。

「……では、このダンジョンの攻略した報酬は正しく攻略した、ということで受け取っておく。だが、それでは質問に対して回答していただいた礼を欠いてしまう。これが、私からの質問の礼だ」

王都のダンジョンコア様に好評だった蛍っぽい光を飛ばす。

『!! ……なんて綺麗な……』

これ、好評だよねー。

「これの作用はちゃんと理論的にあって化学式で説明したいところだが、まず化学とはと言うところから始まって非常に長い年月をかけて語らなければならないので、割愛しておく。魔術は見せたので、出来るなら真似してくれ。……きっと、どこかに、こういった光をともす魔虫がいると思うのだが」

「ソレ、誘い込まれて頭から食われるパターンな」

ってソードが情緒のないツッコミを入れた。

早速真似したダンジョンコア様に蛍の光で見送られショートカットの道を使わせてもらい帰途に就く。

「憂いは晴れたか?」

何が分かったわけでもない。

やはりというか、ボスは覚えてなかった。

中ボスにも聞いたらしいが、最初私に返してきたような「必要ない」で終始したらしい。

――推察するに、そのボーナスに関しては当時のソードを嵌めた連中は知っていたようだ。

だがペナルティの方は知らなかったんだろうな。

だったら、頑張って皆で中ボス倒してボス倒した方がいいもんね。

だって、パワーが十分の一になるんだよ?

なら、皆で力を合わせて隠し部屋からのボス連戦の方がいいと思うんだよなぁ。

……って考えてたら予想外の返事が来た。

「んー、大体晴れたかな」

『晴れるわけない』って答えが返ってくると思ったのに。

「……晴れたのか?」

「ん」

ソードを見たら、サッパリした顔をしている。

あ、ホントに晴れたのか。

「……ボスが気前よく答えてくれて良かったな」

「お前が最強だったからな」

笑うと、頭をなでてきた。

「……あんときさ、俺が罠にかかって、お前が気楽な感じで『またな』っつったじゃん?」

ん?

「それがどうかしたか?」

「お前、俺があの罠でどうにかなるなんてみじんも考えなかっただろ?」

…………?

「当たり前だろう? 剣の余波で壁を斬る男の心配をどうやってすればいいんだ。戦わなくても、罠や壁をぶち破ることだって出来るし、おまけにリョークがお供にいるんだぞ。どう考えてもお前があの罠を突破できない理由が見つからない」

当たり前のことを当たり前に答えたら、また笑った。

「うん、俺も負けるなんて思ってないし、今の俺じゃむしろあの罠突破できない理由がないよな。……でも、あの罠にかかって、お前が『またな』って言うのを聞いたら憂いが晴れた。お前が俺をボス部屋で待ってるんだって、そう思ったら、なんか、こだわっているのがバカらしくなった」

…………。

なんでぇ?

「でもさ、ホントに待ってるのかなって怖くなって、ちょっと無線してみたら、お前、真面目に検証してるから、俺の心残りっつーよか、このダンジョンのカラクリを解くぜ! みたいなノリになってきて、楽しくなった」

…………。

いや、ダンジョンのカラクリはそれはそれで解かないとさ、それが分かった上で、彼女たちがどう行動を採ったのかって考えるべきじゃね?

「とどめがあのオーガに向かっての言葉だよな! お前、ホント最強だわ。俺が『話になんねーわコリャ』ってさじを投げたのによ、お前はマイペースでどんどん話進めてアイツに答えさせてるんだからな。俺が最後にアイツに聞いたのは、念のためって感じで、ホントはどーでもよかった」

ソードのセリフを最後まで聞いた私は、唇をとがらせた。

「私はかなり気にしていたんだぞ? そんな簡単に憂いを晴らされると、私の立つ瀬がないのだが」

……抱きしめられた。

「お前は俺を裏切らない。ダンジョンで罠にかかろうと、俺とお前と違うルートで攻略するだけ、それだけだ。『また後で』っつってくれたお前が、今、ここにいる。だから、俺は、昔のことなんてどうでもよくなった」

…………。

なんでそういうことを言うんだろうコヤツは。

そして私はなんて答えれば良いんだろう。

ううん、答えないよ?

聞いてませんでしたー!

以上!