軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

235話 ダンジョンボスと会話しよう

リョークとボス部屋に入る。

オーガっぽい、おっきい鬼が鎮座していた。

「こんにちは」

挨拶したけど返してくれない。

「会話できないタイプですか?」

「……会話する必要性を感じない」

ってオーガが返してきた。

私は朗らかに説得する。

「この世界も別世界も無駄なことだらけなので、そんなこと気にしない方がいいですよ。いくつか質問したいのですが、答えられるようでしたら答えてください」

「答える必要性を感じない」

「大丈夫です、この世界には不必要なものがたくさん満ちあふれています。今更十や二十増えたところで変わりません」

『うーわ。俺、やっぱお前を尊敬するわー』

とかソードが無線で言ってきた。

それにピクリと反応をするオーガ。

私はスマートウォッチをかざしてオーガに見せる。

「これですか? 無駄に魔術を駆使して作った、リストバンド型多機能時計です。とある世界では〝スマートウォッチ〟と呼ばれています。必要性ということならなくても生きてはいけますが、あると便利ですね。……さて。今、私の仲間がわざと罠にかかり、そこにいる魔物を倒して今この部屋の前に来ています。その罠のことですが、罠にかかった時点で、なぜかいくつかの罠が作動しなくなります。これは、ご褒美ですか?」

「……そうだ」

オーガ、答えた!

必要性ないのではないのか!

「ふむー。なるほど、やはりご褒美ですか。となると、その者が罠にいる魔物を倒してここまで到達します。一本道だそうですね、ここに来るしかないようですが、ここに来たら、宝箱の内容が変わりますか?」

「そうだ」

オーガ、素直!

でも、大丈夫?

ダンジョンコア様に怒られないのかな?

「そうですか。……もしやそれって、冒険者のパーティを認識していて、誰かが罠にかかったら残りのメンバーがここに来て貴方を倒しても適用されたりします?」

「その通りだ」

ワーオ!

ソードが入ってきた。

「……俺も質問がある。十年ほど前、俺はここに来て、罠にかかり、仲間は直接お前の元に来て戦った。ソイツらは、そのことを知っていそうだったか?」

オーガが、緊迫した顔のソードをじっと見た。

「……お前、覚えている。強かった。技倆はまだ 拙(つたな) かったが、それでも、俺をはるかに超える強さを手に入れるだろうと思わせるやつだった」

へぇー!

ソードって、印象に残る上に、人気者だなぁ。

「だが、お前以外は覚えていない。強そうだったのはお前だけ。罠にかかり、一人で全てを突破したのもお前だけ」

ふむん?

つまりは、そのことを知っている冒険者もいるようだし、わざと罠にかかるか生贄を用意して罠に掛けさせ、ここに来てボスに挑む輩もいるようだな。

そして、オーガがスラスラしゃべっているってことは、割と有名。

「ふむー。では、そのことを知り、全員で罠突破をしてここに来たり、あるいは生贄を用意して罠に掛けて、他の連中は直接貴方に挑むパターンは結構多いのか」

私が独り言のようにつぶやいたらオーガがさらに情報をくれた。

「そうだ。だが、罠にかからず直接オレに挑んできたら、ペナルティがある」

ほう。

ソードが青ざめ、私を見た。

「貴方と戦えばそのペナルティがわかるか?」

「わかる」

「オイ待て、やめろインドラ。俺が倒す」

ワクワクしてきたら水を差された。

「むー! 今、ワクワクしてきたところだぞ!」

「駄目だ」

ソードが厳しい顔で止めた。

「様子を見る」

「駄目だ!」

ぶっすーーーー!

私はふくれてソードに怒った。

「それじゃ、検証にならないだろう! まず私が軽ーく戦ってみて、お前が本格的に戦い中ボスとの違いを検証する! これぞ正しい……」

「駄目だ!」

ソードが怒鳴ってきた。

びっくり。

私が硬直したら、ソードがうつむいた。

「……俺は、お前を、死なせたくない」

泣きそうな顔で、顔を背けて、ボソボソ言う。

……ずるい!

そんなことされたら、わがまま言いづらいじゃん!

「あ、貴方はどう思う?」

オーガに振ってみた。

オーガは我関せずだったのに、すっごい慌ててる。

「なぜそんな質問をする!?」

「私は結構強いぞ! 当時のソードも強かっただろうが、今のソードはもっと強い! そして、それに匹敵するぞ! 軽く手合わせくらい、なんとかなるだろう!?」

訴えたら、オーガが困ってる。

……すさまじく人間味あふれるボスだな。

「……罠にいるやつを倒してここに来たら、私はハンデで半分の実力しか出せない。だが、仲間を犠牲にしてここに楽に到達した者には、ハンデとして九割の力を奪う。さらに、私に傷をつけられたら、このダンジョンにいる限り私を倒さない限りその傷は治らない」

「「…………」」

全然大したことなかった。

「ソード、私が倒すぞ? お前はハンデのある相手をいたぶる趣味はないのだろう?」

「うん、お前と違ってないな!」

爽やかに言われた。

「では、私が相手をさせていただく。……最後に、ありがとうございます。これほど答えていただけるとは思っても見ませんでした。このことは口外しませんので、ダンジョンコア様、かの者を責めないでやって下さい。私は、かつての恋人に裏切られた仲間の心残りを晴らすために聞いただけです」

って言ったらオーガが青ざめた。

「……怒られるのか?」

「大丈夫だ! きっと、ここのダンジョンコア様は、心の広い方だ! 他のダンジョンのボスやダンジョンコア様は秘匿が多かったが、貴方は快く回答してくれた! 貴方がたのその優しい心と誠意に私たちも返そう。全力を持って、貴方を倒す。あ、宝は通常分で結構です。今回、気前よく回答していただいたので」

ダンジョンコア様に言っといた。