作品タイトル不明
31 最終話
*フラヴィア視点*
「どうして私達が辺境地に行かなきゃいけないのよ!?行くならお義母様だけ行けばいいでしょう!?」
「なっ……何ですって!?今迄、あんなにも良くしてあげた私に向かって──」
「だってそうでしょう?お金を横領したのはお義母様じゃない。私は知らなかったわ。盗人はお義母様だけなんだから、罰を受けるのもお義母様だけでいいじゃない!」
「ラヴィー……母上……」
アシューとの子を身籠り、既に居たブレイザー伯爵夫人を追い出して、私がブレイザー伯爵夫人となった。その座に就いて、跡継ぎとなる男の子も産んで、伯爵夫人としての役目も果たした。お金が沢山あって裕福とまではいかなかったけど、それなりのお金は自由に使えて快適な暮らしを送っていた。
アシューも、私の言う事やお願い事は何でも聞いてくれて、私にはいつも優しかった。
それが、崩れ始めたのはいつだったのか──
マリレーヌ
あの女を 落(・) と(・) す(・) のは簡単だった。ただ、アシューに囁くだけで良かったから。アシューは簡単に私の言葉を信じた。
あの女の庭園を奪った時は、何とも言えない清々しい気持ちになった。少し残念だったのは、一度見た不思議な蝶を、あれ以来見る事がなかった事。それでも、あの女の居場所がなくなった事の方が嬉しかった。
マリレーヌとの離婚が成立して、私は正式なブレイザー伯爵夫人となった。
それなのに、その頃からアシューとの時間が少なくなっていった。
「仕事があるから」
と、毎日毎日朝早くから夕食の時間まで、執務室にこもりきりだった。アンセルが手伝っていると言っていたけど、それでも思うように進まないと言っていた。
「ま、仕事の事は私には何の関係もないけど」
領地運営は当主のアシューの仕事だから。
それでも、税収が減り領民の不満もたまりかけ、義母の提案で、あの女を連れ戻しに行ったアシュー。あの女は気に食わないけど、 使(・) え(・) る(・) のなら我慢してもいい──と、寛容な気持ちでアシューを見送ったのに、あの女は拒絶して戻って来る事はなかった。
それからは、あっという間だった。
領地運営に失敗した上、義母が公費に手を出していたのを使用人に告発されて、アシューはブレイザー伯爵の座を譲る事になった。
アシューの跡を継いだのは、アシューよりも5つ年上の遠縁の者だった。
「お前達の今迄の行いを鑑みると、辺境地に行ってもらうのが妥当だろう。この王都にお前達の居場所はない」
「分かりました」
「アシュー!?」
その理不尽な罰を素直に受けるアシューには驚いた。何故言い返さないのか。本来なら、次期伯爵は ディラン(私の子) だったのに。罪を犯したのは義母だけなのに。
「私は辺境地になんて行かないわ!私はディランと王都に残るわ!」
「ラヴィー、それは無理だ。君は私の妻だから」
「なら、離婚すればいいじゃない」
「ラヴィー……それもできない。これは3人で償うべきもので、離婚は認められる事はない……一生……」
「一生……」
離婚できないという事は、私は一生アシューの妻で、辺境地から出る事ができず、王都どころか社交界にも出る事ができない。
「嫌よ……どうして……」
それから、どんなに泣こうが喚こうが、新しいブレイザー伯爵に強制的に辺境地に送られた。ディランは、まだまだ幼いという事で、『二度と関わるな』と言われ、遠縁の男爵家の養子にさせられてしまった。
伯爵夫人の座を奪われ、子供も奪われた。
辺境地に追いやられた私達が住むのは、使用人の居ない小さな家だった。
義母のせいで、お金がないどころか横領していたお金を返済しなければならない為、マイナススタートだった。
「どうして私が?」
私が嘘をついたから?
私があの女の居場所を奪ったから?
私は、私の幸せを掴み取っただけだったのに
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“フラヴィアは、身売りをしてまでお金を欲し、贅沢を諦められず──”
“アニエスは、行方知らず──”
“アシュトンは、毎日強制労働を強いられて──”
「リシュー、まだ起きてたの?」
「マリレーヌこそ、まだ起きていたのか?早く寝ないと体に悪いよ」
サザリアンからの報告書を見ていると、寝室からマリレーヌが出て来た。お腹も随分ふっくらしている可愛らしい妊婦さんだ。マリレーヌはどんな姿でも可愛い。
「まだ時間がかかりそう?」
「いや、丁度、今終わったところだ」
「なら、もう寝れる?」
「ああ」
そう返事をすると、マリレーヌが嬉しそうに微笑む。
「1人だと……何だか眠れなくて。でも、リシューが一緒だとよく眠れるの」
「くっ───そうか、なら、今すぐ寝よう。マリレーヌが寝たい時は、いつでも俺を呼んでくれればいつでも喜んで侍るから」
「『侍る』って……ふふっ……ありがとう……ふふっ……リシュー、愛してるわ」
「ぐぅ───っ」
ー妻が可愛いー
抱きしめたいのに(妊娠してるから)抱きしめられないのが、こんなにも苦痛になるとは思わなかった。
マリレーヌの言葉通り、一緒にベッドに入り、横向きに寝るマリレーヌの背中に寄り添うと、すぐに寝息が聞こえてきた。俺の腕の中で安心するマリレーヌ。そんなマリレーヌを、更に愛おしく思う。
「マリレーヌ、俺も愛している……」
頭に軽くキスをして、俺もあっという間に眠りに落ちた。
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これにて完結となります。
最後迄読んでいただき、ありがとうございました。
( ∗ᵔ ᵕᵔ) ˶ᴗ ᴗ͈)⁾⁾⁾ ♡ᵗʱᵃᵑᵏᵧₒᵤ♡
↑としていましたが、夜にもう1話投稿します。
.....φ(・∀・*)