作品タイトル不明
32 後日談
*リシュー視点*
「ちょうちょ、きれいねー」
「流石はママの庭園だな」
俺とクラウスが居るのは、マリレーヌが手入れをしている庭園の一角にあるガゼボ。
今日は、マリレーヌは王太子殿下主催のお茶会に行っているから、俺はクラウスと2人でガゼボへとやって来た。
精霊の加護を受けたマリレーヌの庭園には、相変わらずエメラルドグリーンの蝶が飛んでいる。
精霊の加護の象徴である蝶。この蝶やマリレーヌを護る為に、俺はこの一角に守護の結界を張っている。結界に入れるのは、俺とマリレーヌとクラウスの3人だけ。
この結界の外からも、マリレーヌが育てている花は見る事ができるが、蝶は見えないようになっているし、蝶が結界から外に出られないようにもなっている。
クラウス=コペリオン
俺と同じ赤色の髪に、マリレーヌと同じチョコレート色の瞳をした息子が生まれたのは3年前。男の子だけど、マリレーヌにそっくりな可愛い子供で、何をしても可愛いのだから……本当に困る。笑うと更にマリレーヌにそっくりで、クラウスが笑うと仕事に行くのも嫌になる時があるのだから、正直、自分でも驚いている。更に、マリレーヌがクラウスを抱いて笑ったりなんてしていると、(2人が可愛くて愛おしすぎて)部屋に閉じ込めてしまおうか?と思ってしまうのだから、ある意味病気なのかもしれない──という事は、マリレーヌにも秘密にしている。
ー“ヤバい旦那”と思われたくないからなー
『 あ(・) の(・) リシューが、ここまで嫁好きで親バカになるとはね……ある意味、 あ(・) の(・) ク(・) ズ(・) 達(・) に感謝ね』
と言ったのは カロリーヌ(叔母上) 。マリレーヌさんを傷付けた事は赦せないが、離婚してくれた事だけは感謝だ。
“ 先代伯爵夫人(アニエス) ”
行方不明だったアニエス。公費を使い込んだとして、領民からの怒りを食らい、馬車で移動中に襲われて大怪我を負い寝たきりになり、入院先で亡くなっていた。
“フラヴィア”
あれからも、贅沢を止められず浮気を繰り返し、挙げ句の果てに私生児を身籠った。その浮気相手が伯爵だったが、その伯爵は婿入りで伯爵になれただけで、実権は先代の伯爵と、その娘が握っていた事もあり、フラヴィアが身籠った後は切り捨てられ、更には慰謝料の請求をされた。勿論、それを払う財力はなく、生まれた子供は取り上げられ、どこかの貴族の養子に入れられた。
“アシュトン”
一生フラヴィアと離婚できない夫婦。強制労働で稼いだお金も、慰謝料で消えたどころか足りない始末。そこで思い立ったのが……元嫁のマリレーヌ。ホランド伯爵家に助けを求めて行ったが、門前払い。
ー当たり前だろうー
そうして、マリレーヌに会いにスカレティアにやって来たアシュトン。5年経ったから入国できると思ったのだろう。
『入国拒否の期間は5年ですが、一度その対象になった人は、その期間が終わっても、入国する際には保証人と保証金が必要になり、事前に“特別入国申請”をして“特別入国許可証”がなければ入国できません』
『なっ!?そんな事は聞いてない!それに、ここまでわざわざ大金を払って来たんだから、融通してくれても──』
『融通なんてできません。これは国のルールですから。貴方が貴族であろうがなかろうが関係ありません』
そんな法制度も知らなかったクズ。やっと稼いだなけなしのお金でスカレティア迄やって来たが、入国前に追い返された。
そもそも、マリレーヌに助けを求めようと思うところがあり得ない。あれほどの拒絶をされて、助けてもらえると思った事がすごい。フラヴィアと2人で、稼いでいくしかないのだ。
ちなみに、事故前の記憶も戻っていない。
「これが最後の報告書になるか?」
この5年間、定期的に3人の報告書を受け取り動きを見張っていたが、これからは必要ないだろう。勿論、この3人の事はマリレーヌには伝えていない。マリレーヌが『知りたい』『聞きたい』と言えば伝えるつもりだったけど、本人が全く興味がないようで、3人の話になる事が一度もなかった。だから、今回の報告書の事も伝えるつもりはない。
*マリレーヌ視点*
「ママ、おかえりなしゃい」
「クラウス、ただいま」
2人がガゼボに居ると聞いて、邸に帰って来てそのままガゼボにやって来ると、クラウスが私に抱きつきながら出迎えてくれた。
ーこの舌っ足らずが可愛すぎるわ!ー
「マリレーヌ、おかえり」
「ただいま」
そんな私達を、まとめて抱きしめて来るのはリシュー。子供が生まれてからは、更に愛情表現が増えた。プライベートでは、仕事馬鹿なリシューはどこにも居ない。勿論、仕事中のリシューは、相変わらず容赦が無い。オン、オフがしっかりしている。
「そろそろ家に戻りましょうね」
「はーい」
「それじゃあ、パパが抱っこしてあげようか」
「はい!!」
満面の笑顔のクラウスを抱き上げるリシューは、自分がどんな顔をしているのか……きっと知らないだろう。まるで宝物を見るような、優しい温かい眼差し。幸せで泣きたくなるような微笑み。
「リシューと結婚して……良かった……」
「それは、俺も同じだよ。まぁ……できれば、2人きりの時に言ってもらえると助かるかな」
「助かる??」
『嬉しい』ではなく『助かる』とは?それに、何故2人きりの時なのか?別に、クラウスに聞かれても困る事じゃない。
「 我(・) 慢(・) す(・) る(・) のが大変なんだ」
「がま────っ!?なっ!!」
「はははっ……マリレーヌは可愛いね」
「ママ、かわいい!」
「可愛いのはクラウスよ」
「クラウスも可愛いな」
キャッキャッと笑うクラウスを、2人でギュッと抱きしめて笑い合う。そんな私達の周りで、蝶がキラキラと輝きながら飛んでいた。
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これにて(本当に)完結となりますw
|ョ* ̄ ꒳ ̄) ✧
最後迄読んでいただき、ありがとうございました。
(*˘︶˘人)♡*。+