軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

33 これからよろしくね

さて、部屋へ戻ったケイトは、部屋の扉を閉めるなり深く息を吐いた。

「疲れましたねぇ……」

変なものを拾ってしまったから……

肩掛け鞄を机へ置く。

口を開けると、細長いものが見えた。

「あ――」

ちゃんといる。あれは現実だった。

細長い。だってそう言ったのはケイトだ。

だから、細長かった。

鞄の中から、するり、と顔が出る。

そして、その全貌が現れた瞬間、ケイトは思わず瞬きをした。

「え……可愛い」

翼の生えた蛇? だった。蛇を可愛いと思うなんて……疲れているんだ。

長い体は、ケイトの三つ編みの形だ。

虹色に輝いている。

しかも妙に得意げだ。

『どう?』

蛇が言った。

頭の中へ直接響く声。

『可愛いでしょ。綺麗でしょ。褒めていいよ』

ずい、と顔が近づいて来る。

圧がすごい。

ケイトは思わず笑ってしまった。

「可愛いわ。綺麗ね」

すると蛇が身体をくねらせた。その時気が付いた。足がある。

『へっへっへ』

嬉しそうだ。

翼がぱたぱた動いている。

「でも……」

ケイトは首を傾げる。

「その姿なんですね」

『いいでしょ』

「別の姿になれる?」

少し期待して聞く。

猫は?鳥はどう?

せめて普通の蛇とか。

『なれるけど』

蛇は堂々と言った。

『これがいい』

「そうですか」

なんだろうか、この押しの強さ。

ケイトは椅子へ腰掛けながら、改めて細長い生き物を見る。

近くで見ると、編み込みも凝っている。

綺麗で上手だ。ちょっと悔しい。

「これから、ずっと一緒にいるの?」

『うん』

さらっと返って来た。

『この世のことや人のことをインプットするの』

聞き慣れない単語に眉が寄る。「インプッ……?」

『インプット』

首をかしげている?考えてるの?

『学習』

「あぁ、学ぶの?」

『だいたいそんな感じ』

ケイトは、ふぅん、と小さく頷く。

やっぱり変な言葉を使う。

でも、悪い子ではなさそうだ。

そうでないと、困る。もう連れて帰ってしまったのだから

「その姿だと、外では隠れていてもらわないとですね」

『なんで?』

「なんでって……」

ケイトは蛇を指差した。

「翼の生えた、おさげ蛇なんて目立ちすぎるでしょう?」

『可愛いのに』

「可愛いですけど」

『綺麗なのに』

「綺麗ですけど」

『じゃあ問題ない』

「問題しかないんですよ。そこをインプット」

蛇は少し考えたあと、

『あぁ、いいよ』

あっさり言った。

『しばらく鞄にいる』

「助かります」

ケイトがほっとすると、蛇がふと首を傾げた。

『えっと、ケイトだよね』

「そうそう。ケイトよ」

そこでケイトは小さく笑う。

「あなたは?」

蛇は身体をくねらせながら答えた。

『好きに呼んで』

「えぇ……」

ケイトは蛇の三つ編みを見た。

リボンに鈴が付いていて、耳元に響く声。

「リン? ベル?」

『りん?ベル?』

『リンベル!いいね』

「ううん、リンかベルのどっちか」

『リンベルがいい。気に入った』

「そう、そうなの。気に入ったなら、リンベルね」

『うん、ケイトありがとう』

翼がぱたぱた揺れる。

『ケイト、もっと褒めていいよ』

「もう褒めたでしょう」

『足りない』

「欲しがりますねぇ」

ケイトは思わず笑った。

なんだか、とんでもないものを連れて帰って来た気がする。

でも、こんなにぎやかな温もりは初めてのような気がした。

◆◇◆◇◆

わたしが最初に想像したのは翼の生えた蛇でした。それをネットで調べると可愛くない。

リンベルは可愛い翼の生えた蛇だと決めました。

それから、そうだと絵を描いてもらおうと思い立ちました。

youtubeでジェミニを知りまして、絵がうまいと……

それで描いて貰ったら、なんと足がありました。ちゃんと蛇だと言ったのですが……

まぁそれを見て思いつきました。伝説のドラゴンコースもありだ!

それでリンベルは足つきになりました。