軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

128話 抜け道

発想を変えてみよう。小嵜を探す方法じゃなくて、ダンジョンマスターをダンジョンに来させる方法を考えてみるとか。

富良野ダンジョンのマスターは一度だけ人類の前に姿を現している。俺が捕まえた探索者達の前にだ。

おそらくそれは探索者達が他の人達を殺していたからで、シンプルにそれが不愉快だったのだと思う。富良野ダンジョンってすごい作り込んでるし、自分が頑張って作ったモノが他人に利用されたら嫌だろ。

だからわざわざ目の前で殺し合いをさせた。

けど、全員殺さなかったのはなんでだろうな?

探索者達は襲いかかって返討ちにされたらしいし、生き残った奴らを殺すことは簡単だったはずだ。わざわざ人類を誘拐してダンジョンに連れてくるような奴がまともな倫理観をしているとも思えない。なのに殺し合いだけさせて、残りは逃した。

自分の設定した条件には逆らわないみたいなプライドがあるのか?

それとも、生存者をあえて出すことで自分の存在をアピールしたかったのか。

「スキルを取っても直接小嵜を見つけることは難しそうです。だから、小嵜を探すと同時にダンジョンマスターを来させるような何かをしたいんですけど、どうすれば釣れると思います?」

「ふむ。1番手っ取り早いのは例の探索者達がやった事と同じ事をすれば良いのだろうが、流石にそれは出来ない。現在わかっている情報は2点のみ。定期的に市民を誘拐している。自分のダンジョンで人を殺していた探索者に殺し合いをさせ、生き残りは見逃している。

その事から冷静で用意周到な計画者。人当たりは良く装えるが、裏では人を殺し合わせて楽しむサディストで強い縄張り意識を持つ人物と予想が立てられる。彼の縄張りはもちろんダンジョンだ。

つまり、富良野ダンジョンを荒らせばノコノコやってくる可能性が高い」

「うわ、よくそんな予想簡単に立てられるね」

「なに、あくまでもただの推測だ。情報が少なすぎて何も確証はないし、予想が立てられていない部分もある」

「荒らすって言ったって難しくないですか?ダンジョンの壁は破壊不可能だし、汚れだって自動で綺麗になります」

「そうだろうか?自分のダンジョンに他のダンジョンマスターが来るのは充分荒らしているうちに入るだろうし、もし、そのダンジョンマスターがモンスターをダンジョン内で発生させたら?流石に様子を見に来るだろう」

「いや、モンスターはもう外で配置出来ないようになったって」

そうだ。ドラッグ&ドロップの直接配置するやり方が出来なくなった。それは配信で言ってるし動画にもまとめてる。

奈那さんには直接メッセージで伝えてる。

「本当そうだろうか?朝陽くんはモンスターのアイコンをドラックしてドロップするようなやり方でドラゴンを出したと言っていた。そしてそれが現在は使えなくなったのも知っている。

しかしあの時蒼斗くんが出したスライムは足元から無数に湧き出るように出現していた。到底一体一体出現させたとは思えない。なにか別の方法で出現させたんじゃないか?

たとえば、AIにお願いするとかな。また、スキルは今もダンジョンの外で使えていそうなことから、本当にダンジョンの外でどんな行動も起こせなくなった訳ではないのだろう。

果たして外でモンスターを配置する方法2種類のうち、どちらも出来なくなったのだろうか?」

こっわ。なんであんな状況でそんな細かいところまで見てるんだよ。しかもあってるし。

別に、スキルを使えることを隠し通したかった訳じゃないけど、やはりバレていたか。使えなくなったとは公言してないから、気づく人は気づくよなぁ……一応奈那さんの真識眼が発動しないよう距離には気をつけてたんだけどな。

「……正解です。スキルは現在も外で問題なく使用できるし、あの時は出現させたスライムはAIに頼んで配置してもらった、であってます。そして元日に告知された仕様変更の中に俺のやり方は含まれていませんでした」

「は?スキル使えんのかよ」

もちろん蓮見も使える。空間魔法持ってるから、蓮見はテロし放題だな。

他のダンジョンマスター達もスキルは使える筈だが、モンスターを外で出現させるだけと違って、スキルを使って事件を起こすには直接自分の手でやる必要がある。リスクを起こしてもポイントは得られないからか、進んでやる人はいなかった。今の所、それっぽい事件の情報も俺は知らない。

また、ダンジョンマスターが表に出てきてるのは日本以外の国だと数人しかおらず、表に出てきてる奴でわざわざスキル使えますって人類にアピールした者もいなくて、一応人類にはダンジョンマスターはダンジョンの外でスキルを使えると言う情報は表に出てきていない。

俺も外でスキルを使えるままだという人類から危険視されそうなことを言うメリットが無さすぎてずっと言わなかった。

外で奈那さんの眼を借りる必要が出てきたら話すつもりではあったけど。

「でも、俺のやったやり方が出来なくなったとアナウンスはされませんでしたけど、AIに頼んだらダンジョン外にモンスターやアイテム配置を手伝う行為は禁止されているって断られたんですよね。サイレント修正ってやつかと。なので、結局モンスターを出すって方法は使えないと思います」

「おや、その理由だと出来るのではないか?富良野ダンジョンはダンジョンの中だろう?」

……確かに、ダンジョンの外では無理ってってことは逆に言えばダンジョンの中なら出来るってことだよな。

え?いけるのか?他人のダンジョンで自分のモンスター出すなんて、領域の侵害すぎるというか、俺がされたら普通にキレる。

あと、これ出来ちゃったら他人のダンジョンに勝手にモノを配置することも出来るってことじゃん?岩とかそういう邪魔になるやつもさ。その場合はどうなるんだろう。向こうのダンジョンマスターは俺が出したモノを消せるのか?

いや、まだ出来ると決まったわけじゃない。今までの経験から出来るような気がするけど、実際にやってみるまではわからないんだ。

「早速富良野ダンジョンに戻って試してみましょうか」

「え、普通に考えて出来るわけ無くない?他のダンジョンで自分のダンジョンのモンスターを出すなんて。絶対無理だって」

「試しもしないで無理って断言出来ないだろ。それに、出来なかったら15階層の攻略ルート沿いのトラップ巡ってまた作戦会議したらいいよ」

「そうだな。何事もまずはやってみてからだ」

ということで富良野ダンジョンに戻った。

周囲に視線が無いのを確認してから、雑面をつけ顔を隠し、中に入る。

そして1階層の、誰も来ないような行き止まりまで来た。

「じゃ、まずはアイテムからやってみます。俺の足元に導きの棒を配置してくれ」

『承知しました』

その声と共に、何も無いダンジョンの床に突然50cmくらいの木の棒が現れた。

出来ちゃったなぁ……他人のダンジョンにアイテム配置。

やっぱりガバガバシステムじゃんか。

ゲームじゃないけどデバッガーみたいなの居なかったのか?

これは流石に修正した方が良いと思う。今から使うからAIに進言しないけどな。