軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

20.池袋ダンジョン③

その頃、池袋ダンジョンの 待合場(ロビー) では。慌ててダンジョンに入った人物が守だと認識したハンターが騒いでいた。

「絶対あいつだって! あの恰好してたし!」

「仁平だっけか?」

「ちげーよ、作務衣だよ!」

「なんか鉄の棒を持ってたぞ?」

その騒ぎを聞いた数人のギルド職員がダンジョンのゲート前に立っている。

「監視カメラの映像からだと、確かにあの人物っぽい」

「獄楽寺だったっけ。あそこにも救助要請を送ったのかよ」

「近県のギルド全部に送れって ギルド長(デブ) の指示だし」

「つーかわざわざ来たのに受け付けはスルーとか」

「まぁ受付に来たら来たで問題は起こってたかもだけど」

「どこでスタンピードが起きたか知らないだろ」

「一応確認しておこう」

ひとりがスマホを取り出し獄楽寺ギルドの番号にかける。数コールでつながった。

『こちら獄楽寺ギルドの勝浦です』

「あ、初めまして池袋ギルドの鶴見と申します。その、先ほどそちらのギルド長っぽい人を見かけたのですが……」

『 そっち(池袋) に行ってますよー。うちの旦那様は困ってる人を見捨てられない優しい人なのでー」

「そ、そうですか。その、受付にいらっしゃらないままダンジョンに入ってしまわれたようで――』

『あー、以前スタンピード鎮圧の支援で行った北浦ギルドと揉めたことがあって、たぶん受付に行ってないんだと思いまーす。あとこっちのダンジョンの管理もあって時間がないのでハイペースで走ってると思いまーす』

「かなり身軽な恰好で入ったようなんですが……」

『スキルがあるので問題ないと思いまーす。邪魔されると時間もかかるし危険なので傍観していてくださーい。なお、魔石は不要なので適当に処理しちゃってくださいねー』

「じゃ、邪魔って……切れた」

呆れるギルド職員とそばで聞き耳を立てていたハンターたち。そこにダンジョンから帰ってきたハンターらが駆けてくる。

「なんかすげー速さで走っていったやつがいたんだが、ありゃなんだ?」

「走りながら魔物を倒していってたぞ」

「スタンピードが起きてるって知らねーのか?」

ハンターらがギルド職員に詰め寄る。

「スタンピードの救助依頼で来てるそうで。でもどこで起きたかなんて知らないはずなんだけど」

「おいおい、二次被害は勘弁してくれよ?」

憤慨するハンターたち。彼らは歩哨として1階の警戒に当たっていたハンターだった。

「まぁ知ってて入ったんだから自己責任ということで放っておきましょう」

そんな流れになった。

1階を抜けて2階に来た。ここも林になってるけど木が松っぽいのに変わってる。これもまっすぐ伸びてて踏み固められた道もあって走りやすい。スタンピードが起きてるからかハンターも見かけなくなって、遠慮なく全力で走ってる。クワガタ虫とかセミとか蝶の魔物はいるから見つけ次第収納してるけどね。経験値にするのはあと回し。

「3階への階段はっと、あそこか」

大木の根元にぽっかり穴が開いてて階段になってる。でもその前に俺くらいの大きさの巨大アリが陣どってて階段に行けない。

「まさか階段を巣にしてないよな」

姿は虫でも生態が虫とは限らないけどさ。時間もないしさっさと収納しちゃおう。と思って近寄ったら『ギギギギ』と唸りだした。ガサガサと音がして、上から巨大アリが降ってきた。

「うぉぉぉぉお、びびったぁ!」

頭上を見たら木の枝とか幹に巨大アリがたくさんいた。50匹くらいかな。続々と落ちてきたから階段前にいたアリに金剛杖をぶっさして収納して階段に駆けた。

『ギギィ』

『ギィ』

巨大アリが追いかけて階段を下りてくる。

「面倒だな。ファイヤーボール!」

ファイヤーボール5発を階段に向けて放り出す。階段を下りている最中のアリに当たり、ドドドドと爆発する。ちょうど煙突みたいになって、爆炎は2階へ噴き出していった。ラッキー。

「やっつけたか確認したいけど、後だね」

念のためにさらにファイヤーボール5発を放っておいた。

3階を走り、4階へ到着した。現在時刻は10時半すぎ。時間の25%を使っちゃってる。やばい。

4階はやっぱり林で、でも木がイチョウに変わってる。秋になると銀杏がなるのかな、なんて思ったけどこれがイチョウに見えるだけで別物かもしれないし、銀杏がなっても食えるかは別問題だ。ダンジョンの中の植物を食べた人がいるらしいんだけど、腹を壊したって聞いた。

「5階への階段は、あっちか」

その方向に顔を向けた時、ゾゾゾット背筋が冷えた。ビニール傘を取り出し、広げてしゃがむ。ちょうど俺の頭があったあたりを、白い何かが通過していった。

ガサガサガサと周囲の木が揺れる。

「やられる前にやる!」

投げ網を取り出し真上に投げる。木から飛び降りてた何かをわさわさっと収納した。

【収納:毒蜘蛛×4】

「毒蜘蛛かー」

周囲の枝は結構遠くまで揺れてて、かなりの数の魔物がいるってのがわかる。もしかしたらスタンピードが4階に上がってきたのかも。

【駆け込み寺】を出してもいいんだけど、あれって移動できないからね。警戒して近寄ってこない相手だとあまり意味がないのよねー。

闇雲に襲ってこないのは厄介だなあ。と思ってたら何かが飛んできてビニール傘に当たった。もちろん即収納。

【収納:猛毒液×1】

うへぇ、毒を飛ばしてくるかよ。

「遠距離攻撃はずるいぞー」

と文句を言ったら毒液がたくさん飛んできた。

「うへぇぇ、キモイ」

【収納:猛毒液×56】

ビニール傘に当たったのは全部収納したけど、傘に毒が当たるのは気分がよろしくない。

じゃあ俺もだ。

ということでファイヤーボール乱れ撃ちでござる。適当な方向にボガスカ撃ちまくる。火のついた蜘蛛がボトボト落ちてきては光となって消えていく。虫だけに火には弱いのかも。

遠巻きにしても燃えるだけと判断したのか、毒蜘蛛が地面に降りて襲ってきた。

「ここを通しちゃうと上に行っちゃうから殲滅しないと!」

ビニール傘で毒液を防いで投げ網を駆使して毒蜘蛛を収納していく。ここは通さんでー。

【収納:毒蜘蛛×154】

【収納:猛毒液×122】

いや多い。ファイヤーボールで焼いた奴は入ってないでこれだ。木々のざわめきも減った感がない。むしろ増えてる気もする。ってことは、スタンピードの本体が近づいてる?

「たしか アラグネ(巨大蜘蛛) が率いてるって情報だったな」

本体はどんだけいるんだか。ちょっと想像したくない。でもこれが地上に出ちゃうとやばいから、ここで止めないと。

そう決意を固めたとき、遠くのほうで爆発音がした。