軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

20.池袋ダンジョン②

「スタンピードはアラグネという魔物が引き起こしたようで、毒蜘蛛の大群のようです」

「アラグネっていうのは巨大な蜘蛛の魔物ね。池袋ダンジョンでは有名な魔物でランクは20」

「……この情報はどこから?」

「池袋ギルドのネットワークをハックして侵入しました、えっへん」

胸を張る京香さん、ほめてほめてって顔してるけど、ほめちゃいけないんだろうな本当は。

だが俺はほめる。俺のために調べたんであって、これを引き起こしたのは俺の責任である。

「さす京香さん。つまりこいつを何とかすればスタンピードも収まると」

京香さんを抱き寄せてぎゅーしておく。

さて俺が行くとして、なるはやで解決して戻らないとこっちが心配だ。勝浦でサハギンが増えてるって聞いたし、じゃあうちでも出るだろうなって、そもそも池袋でスタンピードが起きてるんじゃうちでも起きるんだよな。

日中は智がいないから零士さんに頼るしかない。戦力としては不足はないけどずっと見ててもらうのは気が引ける。

もっと専属ハンターが欲しいなぁ。

「東金から池袋だと最短でも2時間はかかっちゃうわねー」

「うわ、遠いなぁ……往復するだけで4時間もかかるのか……」

「車だと渋滞に巻き込まれるからもっとかかりそうよー」

「うーん、電車一択だ」

瀬奈さんが俺をちらちら見てくるのでおいでおいでしてぎゅーする。デレる年上お姉さまとか萌えるしかないでしょ!

「今の時刻が朝の6時過ぎ。智と一緒に出たとして駅に7時。できれば夕方5時には寺にいたい。移動時間を除くと最大で6時間か。いやもっと少なく見積もっておかないと」

ダンジョンはひたすら走るとして、5時間でいけるか? 行くしかない。

「ダンジョンの地図とかってあるんですかね」

「ギルドのデータベースにあるから印刷しておく」

「俺には有能な奥さんしかいない!」

もちろん智も有能だ。

「急いで朝食作るんで、零士さんを呼んでもらえます?」

「オッケー!」

今の時間は本堂で座禅してるはず。

朝食の時に父さんと智に事情を話して、出発だ。池袋には9時についた。朝のラッシュにもまれて駅も人が多すぎて人酔いしそうだ。

池袋ダンジョンはサンシャイン60の地下にある。地図アプリを頼りにしたけどサンシャインにつくまでに10分以上かかった。田舎もんでサーセン。

「大きな荷物を持ってるのがハンターっぽいな」

サンシャインの周囲にはそんな感じの人しかいない。避難命令が出てるしね。ボケっとしている時間もないのでさっさと地下へ向かう。

地下へのエスカレーターを降りれば、そこがギルドの 待合所(ロビー) で、受付もゲートもここにあった。全部がここにあるのは合理的だ。

ゲートは2つあって、ダンジョンはそこまで広くはないんだってのがわかる。

受付のカウンターを見れば人だかりが見える。もしかしたら救助依頼で駆け付けたハンターたちかな。

「北浦のときは京香さんが対応してくれたんだよな。でも向こうの対応が悪かったし、ここは黙ってダンジョンに入っちゃうかな」

出た後に魔石の分配だとかいらないから。それよりも早く帰らないとだし。さっさとダンジョンに入っちゃおう。

「おいあんた、そんな恰好で、何も持たないなんて自殺行為だぞ!」

背後からガシッと肩をつかまれた。振り返ればそこにはさわやかなイケメン。

俺はいつもと同じく作務衣だしね。そう思うよね。でも、プロテクターとかつけてても一発で壊れるから意味ないんだよ。

「何も持ってないように見えますが、ちゃんと持ってますよ」

金剛杖を出す。ちなみにこれ、殺し屋である(違う)市川さんに作ってもらった金剛杖でハイマンガン鋼製とか。ともかく硬くて折れない、素晴らしい棒だ。

市川さんはスキルがあるので色々な金属を扱えるらしい。お値段は友達価格で10万円ほど。お買い得なので10本作ってもらってる。

「というかあんたどっかで見た気がするんだが」

イケメンさんが考え込んでしまった。

「おい、あれってもしかして動画の」

「アイツは千葉にいるんじゃ?」

「ここのボケが近隣のギルドに救助依頼出してるって話だぞ」

周囲からそんな声が聞こえてきたので失敬することに。

「じゃそーゆーことで!」

ビッと右手を挙げてその場から去る。さっさとゲートをくぐって階段に逃げた。階段は14段でした。チクセウ、13段はうちだけかよ。

降りたそこは林だった。木の種類はわからないけど杉っぽい感じだ。まっすぐ生えてるしね。落ち葉はなく、下草があって土は見えない。ただ、獣道めいた通路はあった。

「森林といっても木の間隔は広いし踏み固められた道もあるから走れそうだ」

印刷してもらった地図を、階段を背にして現地とあうようにぐるぐる回す。

「階段を背にして右斜め45度に4キロいくと2階への階段か。結構あるな」

もたもたしてる場合じゃないので【師走】を使って走り出した。下へ行くルートは、たぶんみんな歩くから道になってるはず、と信じてね。

全力で走ると遭遇したハンターとぶつかっちゃうから100メートル世界記録くらいで走る。このくらいならへっちゃらになってしまった。

林の中で何かと戦っているハンターを見ながらひた走る。

「前方の大木にでかいカブトムシ!」

50メートルくらい先にそんなのが見えた。距離感がバグるからやめていただきたい。そして当然のごとく飛んで襲ってくるので金剛杖で殴って収納する。

【収納:ポーンビートル×1】

ポーンてことはナイトとかキングもいるんだろうか。メスはクイーンかな。

走ってるとハンターの集団と遭遇するのでジャンプしてよける。木の幹を足場にした三角飛びなんだけど。むかーしのサッカー漫画でゴールキーパーがこんなことをやってたな。素直にボールに飛んだほうが早いじゃん。

「なんだありゃ」

「そっちはあぶねーぞ!」

背後からそんな声も聞こえた。急いでるんでサーセン。